たまには具体的なファンドで教えてください。~ARK(アーク)助言の「グローバル・フィンテック株式ファンド」(1)~
今福 啓之
アモーヴァ・アセットマネジメント
今回言及するファンド
当サイト「20年後ラボ」は、「投信会社ならでは」の内容にこだわりたいと思って運営しています。一方で、単なる自社商品の宣伝サイトにはなりたくないとも、思っています。
ということで、ほとんどのページに当社商品の名前は出て来ませんが、今日はひとつ具体的なファンドを取り上げます。
私は2000年4月からずっと、25年以上にわたって投信積立を続けているのですが、その私が2021年から新たにそれまでの日本株ファンドに追加した積立ファンドが、「グローバル・フィンテック株式ファンド」という当社のファンドです(リスクや費用についてはこちらを必ずご確認ください)。
最初に言っておくと、万人向きとはとても言えない値動きをしてきたファンドです。ちょうど私の積立スタート直後から、恐ろしいほどに下がったのです。
それでも一度もやめずに積立を継続した私の過去データを分析してみたところ、非常に興味深い結果でした。もちろん、単に現時点ではうまく行っているという「結果論」でしかありませんが、その中には結構、普遍的なヒントもあると考えています。
当記事は当社社員の個人的な経験に基づくコラムであり、当社としての意見ではありません。また、当ファンドや投資銘柄への投資を推奨するものでも、今後の値動きを保証するものでもありません。あくまでもお客様ご自身の責任による投資判断をお願いします。
実感① やっぱり「コストよりリターンが先」なんだなぁ。
まずは結果からお見せします。
2021年1月末から2025年9月末まで毎月、このファンドに積立を行なってきた結果です。金額は、さすがに私の実額だと生々し過ぎるので月5万円としました。
基準価額は信託報酬控除後の1万口当たりの値です。信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成。上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。積立投資が必ず利益があがると保証するものではありません。
累計285万円の積立元本に対して、2025年9月末時点の時価評価が577万円。リターンは103%、つまり2.03倍になっています。
同じことを世界株式指数(インデックス)でシミュレートしたものが下のグラフです。同じ285万円の積立元本に対して、評価額は453万円、58.9%のプラスです。
「世界株式指数」はMSCIワールド指数(税引後配当込み、米ドルベース)をアモーヴァ・アセットマネジメントが円換算。グラフ起点を10,000円として指数化。なお、基準価額の算出方法に対応させるため、前営業日の値に当日の為替を適用して算出。上記指数は当ファンドのベンチマークではありません。上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。積立投資が必ず利益があがると保証するものではありません。指数の著作権等の知的財産権その他一切の権利は、各指数の算出元または公表元に帰属します。
これを見て最初に感じたことは、やっぱり「コストよりリターンが先」なんだなぁでした。
ネット証券ならほとんどすべてのファンドがノーロード(購入時手数料ゼロ)で買えることを前提に、この「コスト」とは信託報酬を意味しています。
ちなみに、上の「グローバル・フィンテック株式ファンド」のグラフは基準価額を用いて描いていますから、既に「コスト控除後」のグラフです。信託報酬は基準価額の日々の算出過程で引かれるので、基準価額自体が既にコスト控除後だということです。
その信託報酬は、年率1.925%(税抜1.75%)。正直これは、今のインデックスファンドのものに慣れた方からすると驚くほどに高い水準でしょう。手厳しい識者ならこれだけで、「検討の必要ナシ!」と言うかもしれません。
もちろん日々の基準価額を引き下げる信託報酬ですから、一般論として低いに越したことはありません。その点、いわゆるインデックスファンドの信託報酬は総じて低く、最近では税込で年率0.1%とか0.2%程度のものも目につきます。
1.9%と0.1%ではまったく勝負になりません。コストだけを見れば、誰も「グローバル・フィンテック株式ファンド」を選ばないでしょう。しかしコストを控除する前のリターンが違うのなら、話は別。それが上のグラフに現れていたことです。
実感② でもこれって「結果論」なんだよなぁ。
しかし同時に、これはただの結果論、いわば「後出しジャンケン」に過ぎないことも事実です。今からこのファンドに積立をすればインデックスファンドへの積立よりも優位な結果となるかどうかは、まったく分かりません。
お見せしたグラフだって、時期が異なれば違う景色になります。実際、2023年10月までのグラフならマイナスです。
この翌月から私の評価額はプラスに転じ、すごい勢いでリターンが増えて行くわけですが、2023年10月当時の私はそう予想して積立を続けていたわけではもちろんありません。
約2年にわたって続く大きなマイナスに打ちひしがれながらも、「これは将来大きく報われるコンセプトのファンドなんだ!」との信念を胸に、スマホの評価額を「見ないように、見ないように」と頑張っていただけだったように記憶しています。
実感③ 「ハイリスク・ハイリターン」とはまさにこういうことなんだなぁ。
実はインデックスファンドの積立の方も2022年はずっと冴えない状況でした。
ただ両者を比べると一目瞭然、「グローバル・フィンテック株式ファンド」の含み損の大きさは強烈です。最大の含み損は2022年6月のマイナス47.5%でした。
ちょうど積立スタートから1年半経ったところで、累計の積立元本が約半分になったわけです。我ながらよく耐えて、積立を続けられたと思うほどです。
そして現在は、その逆の現象が起こっているのだと思います。両者のグラフを並べてみます。
下落の時期は比較にならないほど大きく凹み、上昇の時期になると驚くほどの上昇。「ハイリスク・ハイリターン」という言葉がありますが、まさにそれを地で行っているようなファンドです。
さて、3つの「実感」についてお話してきました。ではその個人的な、単なる「n=1」の経験から、果たしてどんな汎用的なヒントをお伝えできるかを考えてみます。続きは次回に。
当記事は当社社員の個人的な経験に基づくコラムであり、当社としての意見ではありません。また、当ファンドや投資銘柄への投資を推奨するものでも、今後の値動きを保証するものでもありません。あくまでもお客様ご自身の責任による投資判断をお願いします。
※各指数の著作権等の知的財産権その他一切の権利は、各指数の算出元または公表元に帰属します。
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今福 啓之
アモーヴァ・アセットマネジメント