クリプトコラム

ブロックチェーンの渋滞、ソラナの直し方

公開日2026年07月10日

道路が混んだとき、脇道を増やすか、その一本をとことん太くするか。ソラナ(Solana)は、道を増やすより、土台のチェーンそのものの処理能力を高める方向を重視してきたブロックチェーンです。

「混むと高くなる」の続きの話

ブロックチェーンの世界では、混雑すると手数料が上がるという話を聞いたことがあるかもしれません。みんなが一斉に使うと処理が詰まって、列に割り込むための上乗せ料金が高くなる、という仕組みです。

混雑は、たくさんの取引を一本のチェーンでさばこうとすると、どうしてもぶつかる壁です。そして、この壁への向き合い方で、性格がくっきり分かれます。

イーサリアムが主な拡張策として進めてきたのは、本線の上に別の層を足して、処理をそっちへ逃がすやり方です。L2と呼ばれる仕組みで、混んだ高速道路の脇に、新しい道を何本も通していくイメージに近いです。本線はなるべく身軽にして、重い処理は外側で済ませる発想です。

ただし道を何本も増やすと、利用者や資産が複数のネットワークにまたがるぶん、使い分けが少し複雑になることもあります。

ソラナは道を太くする

ソラナはこれとは異なるアプローチを選びました。道を増やすのではなく、一本の道そのものをとことん太くする。全部の取引を一つのチェーンで受け止めて、それでも処理しやすいように設計する発想です。

多くのブロックチェーンでは、取引がどんな順番で起きたかを、ネットワークを動かすコンピュータどうしが確認し合って決めます。ソラナは、その順番と時刻を、あとから誰でも検証できる形で記録しておきます。すると順番の確認にかかるやり取りを減らせるので、道が太くても詰まりにくい、という発想です。(この仕組みはProof of Historyと呼ばれます)

結果として、ソラナは高い処理性能を重視したチェーンとして語られることが多いです。

太い道には、太い道なりの事情がある

では一本に全部通すのが全面的に正解かというと、そう単純でもありません。

全部の処理を一つのチェーンに集める作りは、うまく回っているときは気持ちよくさばける反面、想定を超える負荷や不具合が出たときに弱さも出ます。

実際、ソラナは過去に何度かネットワーク停止や大きな性能低下を経験しています。2021年9月にはボットによる大量の取引が引き金となり、約17時間の停止がありました。2024年2月にも約5時間、ソフトウェアの不具合が原因でブロック生成が止まりました。

つまり、弱さが表れる場面は「人気で混みすぎたとき」だけではありません。高負荷への耐性やソフトウェアの安定性も問われます。こうした課題に対して、その後は高負荷への対策や、ネットワークを動かすソフトウェアそのものの改良も進められてきました。

一本の道に賭けるというのは、その思いきりのよさと引き換えに、こういう難しさも引き受ける、ということでもあります。

同じ問いに、逆向きの答え

興味深いのは、イーサリアムもソラナも、出発点は同じだという点です。どちらも「混雑をどうさばくか」という同じ問いに、それぞれ異なるやり方で答えています。

外へ逃がして身軽でいるか、一本に集めて太さで押し切るか。どちらが偉いという話ではなく、性格の違いです。

次にこの二つの名前を見かけたら、「外へ逃がす側」と「一本で押し切る側」、同じ渋滞を逆向きに解こうとしている、と思い出してもらえれば十分です。渋滞の直し方は、ひとつではありません。