クリプトコラム

環境破壊、犯罪の温床、ねずみ講。いまの数字で確認すると?

公開日2026年07月27日

「環境に悪い」「犯罪の温床」「ねずみ講だ」。ビットコインには、昔から定番の批判がいくつもついて回ります。どれも一度は耳にしたことがありそうな話を、いまの数字で見直すと、どう映るのでしょうか。

電力を使うことは、悪いこと?

マイニング(ビットコインの採掘)が大量の電力を使うのは、ほんとうです。ケンブリッジ大の推計では、ビットコインの年間電力消費は世界全体の電力のおよそ0.5%にあたるとされます。ただ、電力を使う=環境に悪い、と結論づけるのは、まだ早いかもしれません。

同じケンブリッジ大の2025年の調査では、マイニングに使うエネルギーのうち、水力や風力、原子力など持続可能とされる電源の割合が52%まで上がっています。発電所で余った電気や、採掘現場で本来なら燃やして捨てるはずのガスをマイニングに回す動きも広がってきました。これまで捨てられていたエネルギーを活用できるため、環境負荷の低減につながるという見方もあります。

比べる相手の問題もあります。銀行のATM網、データセンター、紙幣を刷って運ぶコスト。いまの金融システム全体が使うエネルギーも相当なものですが、こちらはあまり話題になりません。ビットコインだけを切り取ると、印象は実態から離れていきます。

現金より、追いにくい?

「匿名だから犯罪に使われやすい」という話もよく聞きます。これが、実際にはむしろ逆に近いのです。

ビットコインの取引は、すべてブロックチェーンに記録され、誰でも見られます。「匿名」というより「偽名」に近く、アドレスと人物が一度ひもづけば、過去の取引をさかのぼれます。ふだんは追跡されにくい暗号資産を使っていた人物が、たった一度ビットコインを受け取ったことから足がついて、身元を特定された例もあります。

ブロックチェーン上で確認できる資金洗浄(マネーロンダリング)は、近年増えています。分析企業チェイナリシスの推計では、2025年に約820億米ドルにのぼったとされます。それでも、現金や既存の金融を通じた資金洗浄の規模と比べれば、まだ一部にとどまるとされています。初期にダークウェブで使われていたイメージが、いまも強く残っているのかもしれません。

誰かを儲けさせる、仕組み?

「先に参加した人が、あとから来た人のお金で儲かる」という批判もあります。ねずみ講やポンジスキームと呼ばれることもありますが、その定義には当てはまりません。

ポンジスキームには運営者がいて、新しい参加者のお金を古い参加者への配当に回します。ビットコインには、その運営者がいません。生みの親のサトシ・ナカモトが姿を消してから15年以上、誰かが配当を払い続けているわけでも、資金を集めて分け直しているわけでもありません。それでもネットワークは、いまも動き続けています。

価格が上がれば早く買った人が有利になるのは事実ですが、それは株や金(ゴールド)など、ほかの資産でも同じです。そして、こうした資産の値段は、上がることもあれば下がることもあります。

3つの批判に共通するのは、部分的な事実から全体を決めてしまう傾向です。電力を使う、犯罪に使われた例がある、先に買った人が得をした。どれも、正しい主張です。ただ、そこだけを取り出して全部を語ると、実体とは違う印象になってしまいます。

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