グローバル・ロボティクス AIとロボティクスが拓く未来
少子高齢化や人手不足という社会課題の解決に向け、AI(人工知能)とロボティクスの融合がかつてないスピードで進んでいます。生成AIの登場をきっかけにAIは「学習」から「推論」の時代へと移行し、さらに現実世界でロボットなどが自律的に動作する「フィジカルAI」の実用化も始まりました。こうした変化は、産業構造や投資機会にどのような影響を及ぼすのでしょうか。グローバル・ロボティクス株式ファンドの実質的な運用を担うラザード社*の日本法人所属の岸田 有央氏に聞きました。(2026年6月にインタビューを実施)
*ラザード社:ラザード・アセット・マネージメント・エルエルシー。同社が「グローバル・ロボティクス株式マザーファンド」の運用を行ないます。
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ラザード社 日本法人所属 |
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AIは「学習」から「推論」の時代へ ― 何が変わったのでしょうか。
生成AIは、2022年11月にChatGPTが世に出て以降、急速に進化してきました。当時のモデルはGPT-3.5でしたが、現在ではより新しいバージョンへと進化し、回答の精度も大きく向上しています。こうしたAI自体をより賢く、より使い勝手の良いものにしていくプロセスを「学習(トレーニング)」と呼びます。
一方で、私たちがChatGPTに質問を投げかけたり、コードを書かせたり、プレゼンテーション資料を作らせたりと、AIを実際に活用していく段階を「推論(インファレンス)」と呼びます。生成AIの普及に伴ない、いま利用の主戦場は学習から推論へと移りつつあり、まさに「推論の時代」に入ったと言えます。
学習と推論の違い
推論時代の到来は、データセンターや半導体にどのような変化をもたらしますか。
推論に求められる計算能力は、学習とは少し異なります。学習では大量のデータをAIに読み込ませることが重要でしたが、推論ではAIに対して何かを問いかけ、答えを返してもらうというやり取りが膨大に発生します。そのため、データセンターや半導体の構成もこれまでとは変わってきています。
従来の学習用途では、膨大な計算を並列に処理できるエヌビディアのGPUが中心的な役割を担ってきました。一方、推論ではGPUだけでなくCPUの重要性も高まっています。CPUは、ユーザーからの指示を受け取り、必要なデータを呼び出し、GPUに処理を振り分ける「司令塔」のような役割を担うためです。推論の利用が増えるほど、CPUとGPUが連携して処理を行なう場面が増えるため、推論用データセンターは学習用データセンターとは異なる構成になりつつあります。
特に、目的を伝えるだけで自ら考え、複数の作業を順に実行する"AIエージェント"が普及し始めたことで、CPUの重要性は急速に高まっています。さらに、AIエージェントがヒューマノイドロボットや人協働ロボットといったフィジカルAIをAIエージェントが動かす時代になれば、現実世界の変化に応じて瞬時に判断を下すCPUの役割は、ますます欠かせないものになっていきます。
学習用DC(データセンター)と推論用DCとの役割の違い
※上図はイメージです。
フィジカルAIの進展に伴ない、エッジAIの重要性が高まっていますか。
フィジカルAIとは、AIが制御して現実世界のハードウェアを動かす技術です。その代表例が、自動運転車やロボタクシーです。
ただし、これらの車両が走行中に常にデータセンターと通信し、処理結果を待っていては、通信遅延によって事故につながる恐れがあります。そのため、周囲の状況を認識し、瞬時に判断する処理は車両側で完結させる必要があります。
こうした課題に応えるのが「エッジAI」です。エッジAIとは、クラウド(データセンター側)ではなく端末側(エッジ)でAIの処理を行なう仕組みであり、フィジカルAIを支える頭脳の役割を果たします。エッジAIにはCPUやGPUが活用され、カメラやLiDAR(ライダー)などのセンサーから得た情報をもとに、アクセル、ブレーキ、ハンドル操作といった次の行動をリアルタイムで判断します。これにより、通信ネットワークやクラウドの負荷を抑えながら、安全性と応答性の高い自律動作が実現します。
こうした仕組みは自動運転車だけに限りません。農業機械や建設機械の自動運転化も進んでおり、エッジAIが現場で推論処理を行なうという点では、自動運転車と同じ構造です。
さらに、鉄道車両に搭載したエッジAIで架線の状態を監視したり、変電所単位で電力需給を自律的に制御する電力グリッドの自動化(スマートグリッド)の実現に活用されたりするなど、インフラ分野への展開も進んでいます。
このように、さまざまなハードウェアにAIが組み込まれることで、自動化の対象は自動車やロボットだけでなく、農業、建設、鉄道、エネルギー分野へと広がっています。人手不足が深刻化するなか、フィジカルAIによる自動化が進めば、人はより付加価値の高い仕事に注力できるようになるでしょう。
フィジカルAI普及のためには、どのようなインフラやリソースが必要になりますか。
AIを活用するためには、まず膨大な計算能力が必要です。AIエージェントの利用拡大に加え、推論の増加により、GPUだけでなくCPU、そして記憶を担うメモリの重要性が急速に高まっています。GPUの処理性能を支えるメモリである「HBM」は世界の生産能力に限りがあり、価格上昇と供給不足が続いています。
その補完として、スマートフォンなどに使われていたNANDフラッシュメモリをAI向けに転用する動きも出てきています。AIエージェントやフィジカルAIの性能が上がり、利用者が増えれば、さらに学習と推論が増加し、GPU・CPU・メモリ・データセンター・電力といったインフラ需要が連鎖的に拡大していきます。
※米国ラスベガスで開催された「CES2025」にて、HBM大手・SKハイニックスのブースを収録(収録日:2025年1月10日)。本動画はアモーヴァ・アセットが現地取材したものであり、掲載企業の許諾を得ています。
※当資料で紹介している銘柄について、売買を推奨するものでも、将来の価格の上昇または下落を示唆するものでもありません。また、当ファンドにおける将来の銘柄の組入れまたは売却を示唆・保証するものでもありません。
ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)による「過剰投資懸念」については、どうお考えですか。
半年ほど前までは「データセンターを建てすぎではないか」「いずれ余るのではないか」という見方が多かったのは事実です。しかし現在は、AIの利用者が想定を超えるスピードで増えており、むしろデータセンターが足りない状況になっています。
米国はもちろん、日本や欧州でもデータセンターの新設計画が相次いでおり、「何年までにどれだけ建てておく必要があるか」という議論が世界各地で行なわれています。「過剰投資」というよりも、AI社会を支えるための「構造的な供給不足」と捉えるのが実態に近いと考えています。
グローバル・ロボティクス株式ファンド*(1年決算型)は2015年の設定から10年を超えました。この10年をどうご覧になりますか。
当ファンドは2015年の設定当初から、「ロボティクスの領域が広がった先に、どのような世界が実現するのか」というストーリーを、アモーヴァ・アセットマネジメントとともに投資家の皆さまへお伝えしてきました。当時はまだ実現していなかったことが、10年を経てまさに実装フェーズに入ってきたと感じています。
「フィジカルAI」という言葉が広く語られるようになった現在は、ある意味で新たなスタート地点でもあります。ファンド設定から約11年、ここからさらに10年をかけて、自動化はさまざまな領域へと応用が広がり、人手不足という社会課題の解決に貢献していくと考えています。こうした流れの中で、当ファンドは成長の「第二ステージ」に突入したと捉えており、今後の展開に強く期待しています。
〈グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)の基準価額推移〉
(2015年8月31日(設定日)~2026年6月30日)
※基準価額は信託報酬控除後の値です。
※世界株式:MSCIワールド指数(税引後配当込み、米ドルベース)をアモーヴァ・アセットマネジメントが円換算。なお、基準価額の算出方法に対応させるため、前営業日の世界株式の値に当日の為替を適用して算出。
※同指数は当ファンドのベンチマークではありません。
※各指数の著作権等の知的財産権その他一切の権利は、各指数の算出元または公表元に帰属します。
※信頼できると判断したデータをもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成。
※上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。
*グローバル・ロボティクス株式ファンドの各ファンドの設定日は以下の通りです。
<1年決算型>/<年2回決算型>:2015年8月31日
<為替ヘッジあり・1年決算型>/<為替ヘッジあり・年2回決算型>:2017年1月23日
<予想分配金提示型>/<為替ヘッジあり・予想分配金提示型>:2025年4月22日
最後に、投資家の皆さまへのメッセージをお願いします。
AIの進化とロボティクスは、もはや切り離せない関係にあります。学習から推論へ、そしてフィジカルAIへと進化するAIは、現実世界のあらゆるハードウェアに実装され、社会課題の解決と生産性向上の両立を可能にしていきます。
グローバル・ロボティクス株式ファンドは、こうした産業変革の潮流の恩恵を受けるロボティクス関連企業に投資しています。第二ステージに突入したロボティクスの成長ストーリーに、是非ご期待いただければと思います。
2026/07/27 作成