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日本のロボティクス産業 その可能性を聞く

少子高齢化という社会課題の解決に向け、活躍が期待される日本のロボティクス関連企業。市場改革や高市政権の成長戦略に加え、人工知能(AI)や半導体分野への関心の高まりは、株式市場におけるこうした企業の追い風となっています。注目度が高まる日本のロボティクス産業について、伴 明泰ポートフォリオマネジャーに聞きました。(2026年3月2日にインタビューを実施)

アモーヴァ・アセットマネジメント
株式運用部 リサーチアクティブチーム
ポートフォリオマネジャー
伴 明泰

運用しているファンドについて教えてください。

私たちが運用する「ジャパン・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)/(年2回決算型)」は、2016年1月から運用を行なっており、2026年に10周年を迎えました。当ファンドは、日本における有力なロボティクス関連企業の株式に投資する投資信託です。

後に詳しく説明しますが、日本には高いロボットの技術とそれを活用する機会が多く存在しています。その中でも高い技術力を持つ企業やロボットを活用して、社会の課題に応えられるような企業に厳選して投資を行なっています。

そもそもロボティクスとは何ですか。ロボットとは違うのでしょうか。

ロボティクスとは、手足を持ったロボットそのものだけを指すものではありません。様々な技術の集合体としてロボティクスが成り立っています。

例えば、ロボットが動くためには、まず周りの環境を把握するためのセンサーが必要になります。企業としては半導体や電子部品などが関連します。そして、センサーを通して取得した情報を集約して、どう行動すれば良いかを判断する知能が必要となります。これがソフトウェアであり、今後AIが活用される分野になります。最後に実際に手足を動かすためには、正確にものを動かすモーターなどの技術も必要とされます。これらの技術を組み合わせてロボットにするのがロボットメーカーです。

このようにロボティクスには、ハードウェア、ソフトウェアの両面が重要であり、当ファンドではそれらを支える企業に幅広く投資しています。

なぜロボティクスに注目するのですか。

ロボティクスに注目している背景には、世界共通の社会課題があります。日本だけでなく、先進国や中国では、少子高齢化が進んでいます。その結果、生産年齢(15~64歳)人口減少による労働力の減少、生産者の高齢化による生産性の低下が起き、モノやサービスの供給サイドである企業の大きな課題となっています。更に高齢者人口の増加による介護・医療負担の増加など、様々な解決しなければならない課題も出てきています。

こうした中で人の代わりに、あるいは人を助けながら働いてくれる存在が、ロボットやAIです。足りない人手を補い生産性を高めてくれる、その役割が今後ますます重要になると考えています。

生産年齢(15~64歳)人口の推移

期間:1980年~2050年予想

※上記は過去のものおよび予想であり、将来の運用成果等を約束するものではありません。
出所:World Population Prospects 2024

どうして日本の企業なのでしょうか。

日本企業に注目している理由の1つは、産業用ロボットの分野で日本企業が世界トップクラスのシェアを持っていることです。工作機械や産業用ロボットの分野では、世界のトップ10の中に多くの日本企業が入っています。また、日本は世界の中でも少子高齢化が進む「課題先進国」という側面を持ちます。国内で生じた課題を解決する中で得たソリューションを世界に輸出するという動きも期待できます。

近年では、政府の政策による恩恵も期待できると考えています。高市政権の17の戦略のすべてにこのファンドは関わっています。例えば、造船の分野では、国土交通省の発表によるとヒューマノイドやロボティクスを活用して造船量を倍増する計画がなされています。防衛分野においても、ロボティクスはかなり重要な技術要素になっています。そして、熊本や北海道、そのほかの地域でも建設が進む半導体工場において、様々なロボット技術が使われています。このように現在、日本ではロボット技術が多く求められる状況であり、日本のロボット市場も拡大が見込まれています。

高市政権の17の戦略分野

  • AI・半導体

  • 造船

  • 量子

  • 合成生物学・バイオ

  • 航空・宇宙

  • デジタル・
    サイバーセキュリティ

  • コンテンツ

  • フードテック

  • 資源・エネルギー
    安全保障・GX

  • 防災・国土強靭化

  • 創薬・先端医療

  • フュージョン
    エネルギー

  • マテリアル
    (重要鉱物・部素材)

  • 港湾ロジスティクス

  • 防衛産業

  • 情報通信

  • 海洋

※上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。
内閣府の資料をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成

ここで一点、注目するトピックスをお伝えします。先端半導体の製造とロボット技術についてです。今、AIの進化を支えている画像処理装置(GPU)を含む先端半導体ですが、これには日本企業、日本のロボット技術がとても重要になっています。これまでムーアの法則と呼ばれる1つの半導体の性能アップにより、パソコンやスマートフォンは進化してきました。AIでは、更なる半導体の進化が必要になり、ムーアの法則だけでは足りない状況になってきています。そこで重要になってきたのが、日本のロボット技術です。

* 米インテル社の創業者ゴードン・ムーア氏が提唱した「半導体の性能は、およそ18~24ヵ月ごとに倍増する」という経験則。

現在、1つの半導体で性能が間に合わない中で、複数の半導体をつなげたり積み上げたりすることでより性能を高めようとしています。AIの先端半導体には、この技術が使われています。ここには日本の多くの技術が使われています。例えば、小さくて薄いチップを精密に積み上げたり繋げたりするには、とても精密なロボット技術が必要になってきます。国内では、この技術に関連する製造工程で世界トップの企業が存在し、AIの普及によって恩恵を受ける日本のロボット関連企業も多くいます。

リスク要因としては、中長期でみると大きなものはないかと考えています。地政学的リスクは、一時的に関連する地域へのロボット販売が減る可能性はありますが、その後は他の地域での代替生産のために新たな工場が建つことが予想され、結果的にロボット需要につながる可能性もあります。

地政学リスクが高まると2018年頃の米中貿易戦争に似た展開になる可能性があると話す伴ポートフォリオマネジャー。

AI時代における日本のロボティクス関連企業の魅力を教えてください。

最近はAI、中でもフィジカルAIを巡る報道が増えています。今までのAIは、パソコンやスマートフォンを通して、様々な情報を提供してくれるデジタルの世界「デジタルワールド」でのAIでした。フィジカルAIは、私たちが触れられる「リアルワールド」の中でAIが自律的に判断・行動する技術のことであり、自動運転車などはその一例といえます。

そのフィジカルAIは、日本のロボティクス関連企業に大きな追い風になると考えています。その理由は2つあります。1つ目は、工場など様々な場所でのロボット利用の拡大です。2つ目は、その中での日本企業の優位性です。

まず工場におけるロボット利用の拡大についてです。今までロボットを動かすためにはロボット本体に加えて、ロボットを動かすための専門的なプログラミングが必要でした。今後はAIによって、そのプログラミングの部分が短縮され、コストを抑えることができるようになります。また、AIがロボットに組み込まれて柔軟に判断できることで応用力も増してきます。このコスト低減により、これまでコスト的に導入が難しかった中小企業や、ロボット投資による恩恵が少なかった少量多品種生産の工場などでのロボット投資が広がってくる可能性があると考えています。

先進国における生産年齢人口の減少に加え、労働コストの増加も、ロボットの導入を積極化させる要因になり得る。

そして、その状況において日本のロボットメーカーの優位性が、より発揮されると考えています。それは「壊れにくいロボット」という点です。日本のロボット企業は、高いモノづくりの力を持っていることから壊れないロボットを作ることが得意です。工場においては、生産がストップしてしまうと億円単位の損失が出てしまいます。AIにより柔軟性は高まりましたが一方で、よりロボットが苛酷に使われたり、予期しない動きが出てしまうリスクもあります。その時に生産を止めない日本の壊れないロボットが、より真価を発揮してくるのではと考えています。

工場での活用は、ほんの一例ですが、フィジカルAIによる市場の広がりや、その中での優位性を発揮できる日本のロボット企業やそれを支える部品メーカーなど、フィジカルAI時代に活躍できる企業は、多く存在すると考えています。その成長をこのファンドでは、しっかり押さえて投資していきたいと考えています。

ファンドの運用体制について教えてください。

このファンドは、私が所属する株式運用部の複数名で運用にあたっています。弊社アモーヴァ・アセットマネジメント(旧 日興アセットマネジメント)には、株式調査を専門に行なうアナリスト部隊がおり、ファンドマネジャーとアナリストで協力しながら銘柄の選定などを行なっています。

日本に拠点を構える運用会社として、幅広い日本企業に対してリサーチを行なっていることは強みだと話す伴ポートフォリオマネジャー。

多くの企業の中からどのように銘柄を選んでいるのですか。

このファンドは、30~60銘柄程度でポートフォリオを構築しています。日本には多くの企業が上場していますが、その中から企業調査グループによる徹底したボトムアップアプローチにより、ロボット関連技術、AIなどロボティクス関連事業をもつ企業やその技術を活用することで社会に貢献する企業という観点で銘柄を絞り込んでいます。

その観点で選んだ100~200銘柄ほどの重点対象銘柄の中から、さらに徹底したボトムアップアプローチにより、投資魅力度や割安性の分析を行ない絞り込んでいきます。企業調査によるボトムアップアプローチをもとに、業界構造や企業の変化、株価バリュエーションの変化に応じてウエイトや銘柄の入れ替えを行なっています。

現在は、AIの進化やフィジカルAIの台頭など、AIを含むロボティクスの分野は 急速に進化しており、常に新しい技術やトピックスが出てきています。それらの変化を投資機会として正しく捉えるために、国内外の展示会の視察、関連企業の工場見学や訪問取材、専門家との議論を積極的に行なうようにしています。

マザーファンドの運用プロセス

※上記は2025年1月末現在の運用プロセスであり、将来変更となる場合があります。※市況動向および資金動向などにより、上記のような運用が行なえない場合があります。

最後に投資家の皆さまにメッセージをお願いします。

私たちが運用するジャパン・ロボティクス株式ファンドは、世界での飛躍が期待できる日本企業を多く組み入れています。日々進化を遂げるロボティクス分野で活躍する日本の企業に注目し、アモーヴァ・アセットマネジメントの調査力を駆使することで投資家の皆さまの期待に応えてまいります。

ジャパン・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)

ファンドの詳細リスク・費用


ジャパン・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型)

ファンドの詳細リスク・費用

2026/03/19 作成