神山解説

  • 2025年9月24日

vol.64 市場が注視する日米中央銀行の政策と総裁選



日米中央銀行の政策スタンスは?

先週は9月17日に米国の連邦公開市場委員会(FOMC)、19日に日本銀行の政策決定会合があり、中央銀行ウィークでした。どちらも市場の予想通りで、米国は0.25パーセントの利下げ、日銀は変更なしでした。

まずFOMCについては、パウエル議長がトランプ政権の関税率引き上げでもインフレ・リスクが低いと判断し、その一方で雇用の先行きを心配していることが明らかになりました。ミーティング参加者の政策金利の予想を示すドット・チャートでも、市場が想定していた12月利下げに加えて10月も利下げするとのシグナルが強まり、米国経済への安心感が高まりました。ただし、ドット・チャートでは来年に入ってからの利下げペースが思いのほか小さい可能性が示され、利下げで起こりがちなドル安円高の動きも限定的でした。

一方、日銀の政策金利引き上げは市場の予想通り見送られました。ただし、参加者の中に金利引き上げを求めるタカ派票が2票あり、意外に日本のインフレの持続に日銀の一部では自信を強めているとの印象を受けました。
また上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(REIT)の売却方針発表*は予想外でしたが、売却完了までに100年以上かけるという植田和男総裁の会見でのコメントで市場は落ち着き、今後の日本株への影響は小さいとみています。

*出所:日本銀行 金融政策に関する決定事項等 2025年

※日本銀行のサイトに移動します

日米中央銀行の政策スタンスは?

自民党の総裁選での注目点と気になる日本株動向 ~神山解説

10月4日の自民党の総裁選では、誰が総裁になるとしても、自民党が野党と妥協しなければならない点に注目しています。野党はいずれも「インフレを抑える」「手取りを増やす」などの消費者目線の政策を主張しているので、賃金上昇で消費がけん引する日本経済の後押しになる政策が出てくると期待します。

そして、このところ最高値を更新している日本株については、その上昇スピードの早さからバブルではないかなどと言われていますが、上昇理由があることがバブルとは違うとみています。

まず人工知能・半導体関連についての成長期待感が重要ですが、その中身は我々の生活にどんどん入り込む人工知能の利用を反映しています。また、トランプ関税の不確実性が低下して、輸出産業の利益の大幅な底割れはなさそうという安心感があります。さらに人手不足の継続で賃金上昇が続き、遅かれ早かれインフレ率を凌駕して消費の伸びが期待できるところにきています。株価は期待の塊であり、それらの期待が萎む可能性はあるのですが、バブルのような意味不明な上昇とは捉えていません。

自民党の総裁選での注目点と気になる日本株動向


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神山直樹

<解説者>
神山直樹(かみやま なおき)

チーフ・ストラテジスト。市場環境に応じて、投資の考え方や市場の見方をわかりやすく伝えるレポートや動画、コメントなどをタイムリーに発信している。1985年、日興證券(現SMBC日興証券)入社。日興ヨーロッパ(当時)を経て、1999年に日興アセットマネジメント(現アモーヴァ・アセットマネジメント)で運用技術開発部長・投資戦略部長に就任。以後、大手証券会社・投資銀行でチーフ・ストラテジストなどを歴任。2015年より現職。

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