お互いの違いを受け入れるカルチャーがある会社
さらなる発展のために、チャレンジしたいことがたくさんあります

H.Tさん
財務会計部

――ご自身の障がいのことや、今までどのような活動をされてきたのか、教えていただけますか?

私は重度感音性難聴です。産まれた時の病気の影響で、聴力を全て失いました。小さい頃からスポーツが大好きで、2015年のロシア冬季デフリンピックでは、アルペンスノーボード日本代表として出場しました。

前職は外資系製薬業界で、20年間在籍したのですが、日本代表引退後は、ダイバーシティ&インクルージョン推進活動に関わり、障がい者の働きやすい環境作りや問題の改善に取り組みました。

――コロナの影響で、前職を早期退職されたのですよね。転職活動は大変でしたか?

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転職活動は予想以上に厳しかったです。40社以上に応募しましたが、「コミュニケーションが不便」「遠距離通勤」ということにマイナスイメージを持つ企業が多く、なかなか受け入れてもらえませんでした。

「コミュニケーションは会話(口)で」という条件の企業が多かったです。現実を知りとても悲しく残念でしたが、退職してから6か月後に当社への採用が決まった時は本当に嬉しくて、感謝の気持ちも大きかったです。在宅勤務制度があり出社と在宅勤務のハイブリッド勤務ができる職場環境も、とてもありがたいと思っています。

――私たちも一緒に働けて嬉しいです!それにしても、大変だったのですね。挫折しそうになりませんでしたか?

もちろん挫折しそうにもなりました。でも自分のためというよりも、社会を変えるために諦めたくないと思いました。

偏見やいじめを受けたこともありますが、その時にメンタルを鍛えられたので(スーパーポジティブです!)、「不可能を可能にする」「失敗を繰り返して最後は成功する」「1%の確率だとしても自分を信じる」「採用してもらったら、社風やコミュニケーション方法を変革することで、会社に貢献する」という気持ちで頑張りました。

――当社に入社してから、ご自身で心がけていったことや変えていったことはありますか?

「できないからやらない」のではなく「どうやって理解し、できるようになるか」が、自分の不可能を可能にしていくことだと思っています。指摘されて落ち込むのではなく、気持ちを切り替えて、上司や同僚と向き合い、前向きに問題解決に取り組もうと努めています。周りの環境に勇気を出して飛び込み、交流を深めることを心がけた結果、周囲の共感を得られたように思います。仕事に対してのモチベーションも上がりました。

――逆に、周囲が変わったと思うことはありますか?

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電話対応ができない私にとって、メール・チャット・筆談は必須です。私の状況は、入社前に所属部署に伝えてもらっていたので、対面では筆談をしたり、オンライン会議では字幕機能を使ったりということをしていました。初めてのことで、最初はみんな慣れていなかったようでしたが、今では随分慣れてきたように思います。

日英同時通訳が入る会議は、聴覚障がい社員のためのサポートが十分とは言えなかったのですが、勇気を出して会社に相談したところ、時間はかかりましたが文字通訳の対応をしてくれるようになりました。

入社した2022年に、「デフリンピック体験からビジネスリンピックへの挑戦」というテーマで、社内プレゼンテーションをしたのですが、私の手話→手話通訳→英日同時通訳という、会社で初めての取り組みとなりました。日本だけでなく海外含むグローバル社員に配信し、大成功のうちに終えることができました。その後も数回、グローバル向けのプレゼンテーションをしていますが、少しずつ、聴覚障がい者への理解が深まっているように感じています。

――最後に、これからやっていきたいことを教えて下さい!

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財務業務の傍らで、ジャパン・アビリティーズ・グループの活動にも参加しています。日本の社員が参加できるサステナビリティ・グループは6つあり、さまざまな部署の社員が任意で参加し、関心のあるサステナビリティテーマについて自由に話し合うものです。ジャパン・アビリティーズ・グループでは、それぞれの障がいに対する価値観や文化等の情報共有ができ、お互いフラットな関係を築くことができています。今は日本だけのグループですが、グローバル・アビリティーズ・グループを作りたいですね。海外拠点とも連携し、それぞれの国の障がい者の文化、その理解を深める取り組みを推進できたらと思います。

障がいを持つ親や子供たち、自身の病気・事故により障がいになった方が前向きに仕事に復帰できるように気持ちを切り替えることのサポート等もできたらいいですね。

多様性が増すことでビジネスも発展します。お互いの価値観を理解し、偏見をなくすために意見交換し、さらに働きやすい環境が生まれることに貢献できたら、素晴らしいですね。

※2025年9月時点のインタビュー記事となります。