日興アセット時代からの堅固な日本ビジネスの成長と、かねて注力してきた海外拠点の充実はもちろんのこと、慎重かつ積極的なM&Aや提携戦略を通じて今、多面的なグローバルビジネスの基盤が確立してきました。
一般に、日本の運用会社における「グローバル」とは、あくまで日本の投資家に海外の投資機会を提供するための拠点の開設であったり、海外運用会社との提携などを指すことが多いようですが、当社の「グローバル」はそれとは異なります。
私達にとっての「グローバル」とは、海外の投資家から欧米などの運用会社との比較の結果として当社が選ばれるような、グローバル水準を満たした運用会社となることを意味します。もちろん、そのための商品・戦略とサービスの拡充は、日本の投資家の皆様の選択肢を増やすことにも繋がります。
つまり私たちは世界各地のお客様のニーズに根差したユニークで先進的なアイデアを、日本から海外へ持ち込んだり、海外から日本へ持ち込んだりといった有機的なグローバル展開を行なっています。
日本のお客様に対しては、これからも全力で「日本が本社」だからこその、日本のニーズをとらえたイノベーティブな商品開発と海外の魅力的な商品・戦略の紹介、そして「日本が本社」だからこその丁寧なサービスを、時差のないクイックレスポンスでご提供してまいります。
当社は他の大手証券会社が系列運用会社を作ったのと同じ1959年に、日興證券(当時)の子会社の運用会社「日興アセット」として誕生しました。しかし2000年代半ばから現在までの20年強は、そうした大手金融機関系列の運用会社とはかなり異なる歴史を刻んできました。ひとことで言えば、「外資系“的”運営の日本企業」でした。
特に株主が日興證券ではなくなった頃からは、旧日興證券グループ出身の社員の比率は下がり続け、代わりに専門職の中途採用の社員が増えました。今で言う「ジョブ型採用」です。外国籍の社員は海外ではもちろん日本においても増え、今では約1,000名の社員のうち約半数はノンジャパニーズという、極めて珍しい「日本が本社」のグローバルな運用会社となりました。
日本本社においても外国人社員が多く活躍していますが、一般的な外資系企業の日本拠点の様相とはまったく異なります。仮に英語が話せない日本人であっても、本人に能力がある限りまったくその活躍が妨げられることはありません。私は日々リモートも含めて日本語しか話さない日本社員とたくさんの会議をしていますが、常に同時通訳がセットアップされ、言語の壁はありません。またAIを活用した事前事後の効率的コミュニケーションの仕組みが確立しており、生産性を高めています。
当社は65年を超える日本株式と日本債券の運用経験への信頼をベースに、グローバルで戦える世界株式と世界債券の運用力をロンドンなどに備えています。また、世界中のユニークで先進的な運用会社との連携を、彼らの元々の魅力を活かしながら協業するジョイントベンチャーのかたちで実現し、お客様に提供できるソリューションの充実を図っています。
2009年には主要株主が住友信託銀行(当時)になりましたが、同社はそうした日興アセットのユニークで独立色の強い経営方針を全面支援し、私達はユニークなポジショニングとグローバル水準の経営体制(2025年3月末現在、取締役会は11人名中社外取締役が9名で構成され、5名が女性、5名が外国人)の構築に邁進することができました。
そんな当社が、設立65周年の2024年に社名変更を決断したのは、当社にとっての「グローバル」を完成させると共に、資産運用への関心が急速に高まった日本の個人や、資金運用の更なる高度化に取り組まれている日本の機関投資家の皆様に対して、新たな気持ちで向き合いたいと考えたからです。
当社は2025年9月に日興アセットマネジメントから「アモーヴァ・アセットマネジメント」へと社名を変更しました。先に述べた経営方針や株主構成などの変更を一切伴わない、社名のみの変更であり、主要株主は引き続き三井住友トラストグループです。
社名変更はお客様はもちろん、関係各所にもお手数のかかることでした。しかし私は、当社がどんな特徴や優位性を持ち、どんなことを大切にする会社なのかを社員全員で改めて見つめ直す、とても意義深いプロジェクトだったと振り返っています。
アモーヴァ(AMOVA)はAMとMOVEとNOVAの3語から成る造語です。AM(アセットマネジメント/資産運用)を常にNOVA(新しい/イノベーティブ)な気持ちで前向きにMOVEしていこう――そんな気概をもって日本そして世界中のお客様に貢献していきたいと考えています。
当社は“どこにも似ていない”、イノベーティブで前向きなマインドを持った「日本が本社のグローバルな運用会社」です。日興アセット時代から変わらないこのユニークな特性を、それを体現した新社名AMOVAのもとで、さらに磨き上げていきます。
日本の金融機関で働いたことのない外国人、しかも女性の私を社長に任命したことが象徴するように、当社はやはり「外資系“的”運営の日本企業」なのでしょう。しかし日本本社の社員は皆、日本の個人と機関投資家のお客様に最善の利益を提供することを目標に日々邁進しています。これからのアモーヴァ・アセットの「MOVE」に、ぜひご期待ください。
アモーヴァ・アセットマネジメント
代表取締役社長 兼 CEOステファニー・ドゥルーズ
2014年に日興アセットマネジメント(当時)入社。以後、国内外の商品開発、マーケティング、広報、営業・戦略、ETFおよびコーポレート・サステナビリティを含む多くの事業部門で要職を担う。2019年5月に常務執行役員、2022年4月に代表取締役社長に就任。25年4月よりCEOを兼務し、現職。当社入社以前はモルガン・スタンレー、バークレイズ・ウェルス・アンド・インベストメント・マネジメントにて要職を歴任。オックスフォード大学卒。ハーバード大学大学院経営学研究科でMBA取得。