機関投資家の間で注目されている「ESG投資」。最近の調査によると、ESGに取り組む企業ほど長期的に市場平均を上回るリターンが得られる傾向にある、との結果も示されました。トランプ政権が嫌っているなどと報じられていますが、そもそもどんな意味かを知っておく価値はあります。

ESG投資の歴史は意外に浅い
ESG投資」は、2006年に国連責任投資原則が提唱して機関投資家が採用するようになりました。その後、2021年には気候変動対策グループが設立され、多くの金融機関が賛同しました。

2023年末頃からは、米国で“脱炭素や社会課題などを促進する取り組みは独占禁止法違反の可能性がある”と批判されたことをきっかけに、金融機関が看板の掛け替え、投資手法の表現変更などで対応しましたが、その志は残っています。

ESG投資とは
投資家が、企業の持続的な成長をE環境)、S社会)、Gガバナンス)の視点から銘柄を選び、投資開始後も投資先と対話を続けていくことをESG投資と呼びます。環境と社会は、各課題に適切に対応した経営がされているか、ガバナンスはその課題を解決するための経営基盤が整っているか、といったことを重要視します。

ファンドマネジャー(運用者)は、企業業績や短期的な株価動向だけでなく、課題対応力を確認することにより長期的な株主価値を重視しており、単に正義漢ぶる投資ではありません。

引退後の「潤いのあるくらし」を目指すために投資をする長期投資家は、世界が求めている環境問題や社会問題の解決策を提案できる企業に投資したいと思うのではないでしょうか。そのためには、企業が長期的な視点でESGにおける説明責任を果たしていることを見極める力が必要になるのです。

普通の株式投資と何が違うの?
例えば、自然災害が増えてきた日本では、被災により直接影響を受ける工場を持つ製造業に加え、損害保険会社や融資をしている金融機関なども、気候変動を事業環境の変化として考えざるを得なくなっています
さらに、人手不足の問題解決と女性・高齢者の活躍を求める社会のつながりも、経営の視野に入るでしょう。このような企業なら、長期成長が期待できそうですね。

このように、環境社会に対して機動的かつ規律を持った経営が求められる時代の株式投資において、プロの投資家はESGの視点から企業をモニターし、社会を代表して対話することが求められるのです。

特別に探して投資しないといけないの?
すでに運用中の株式投信などの中にも、将来、企業の財務に影響を与えるESG分野を含めて企業を分析し投資するようになってきました。

ファンドマネジャーは、企業が開示するESG関連の情報などを競合他社と比較し、特に長期的な売り上げや費用、資産、負債にどう影響するかを読み取ります。ESG投資を謳う商品を選ぶ場合、単に寄付などをする会社ではなく、長期的に世界の課題解決を担おうと工夫して経営する企業に投資する機会がある、という視点で見ていくと良いでしょう。

ESG投資とは
  • イラストはイメージです。