Vol.7では、ご自身の目的に合った組み合わせ方として、資産形成世代は、投資の中心にリターンを稼ぐ株式を、引退世代は利益の多くを分配するリート(不動産投資信託)を含め、リスク・リターンの調整は債券で、ということをお伝えしました。今回は、いつ投資をはじめれば良いか、についてお伝えします。

投資は「お金を持っている人」がやるもの、は戦前のこと
明治から戦前までの間、資本を財閥が支配し、投資はお金持ちにしかできない傾向にありました。例えば、当時、鉄道の敷設や鉄工所を建てる時は、お金持ちが合名会社を設立し、そこで利益が出れば出資した者が総取りする仕組みでした。株式もリスクの高い清算取引(現金・現物の受渡ではなく、一定期間内に反対売買を行なって差金決済する取引)が主流でした。まさに、マルクスが説いた資本論(「持てる人」の資本の価値増殖が永遠に続く)だったといえます。

戦後は、財閥が解体されて世界的に「経済の民主化」が進み、財閥が保有していた大量の株式が放出され、誰もが株式を保有できるようになりました。そして今、世界の主要国では小口でも企業の資本の一部を所有することができる株式の仕組みが整ったのです。

小口で分散投資できる投資信託やリートが誕生
日本では、1950年代から投資商品として投資信託が利用され始め小口で複数の銘柄を間接的に投資できるようになりました。そして、幅広い不動産物件に小口で投資できるリートは、1990年代以降急成長し、日本では2000年に解禁されました。こうして、多くの人から集めたお金をまとめて運用する投資信託の仕組みが広まり、小口の個人投資家でも、世界中の株式や債券、不動産(リート)などに幅広く分散投資することが可能になったのです。

個人で投資用不動産を取得して賃貸した場合、空室になれば賃料収入が入らなくなるリスクがあります。しかし、リートを通じて実質的に多くの不動産を持てば、家賃収入を原資とした分配金の安定が期待されるのです。さらに、日本だけ、米国だけではなく、世界中の株式に投資する投資信託を持てば、世界経済の成長で、引退後の「潤いのあるくらし」を送るための元手(お金)を作ることもできそうです。また、元本の保全を目的とする債券でも、金利の高い外国債券に分散して投資できれば、多少の円高でも金利差でカバーして余りあるような投資ができるかもしれません。

いつ投資を始めれば・・・、これからの人生の中で今日が一番若い!
少し異なる観点でお伝えします。

「人間、今が一番若いんだよ。明日より今日の方が若いんだから。いつだって、その人にとって今が一番若いんだよ」(永六輔(放送作家、作詞家))、これは筆者の心に残っている言葉です。

長期投資として考えれば、世界は成長しているのですから、先送りするよりも“今”始めるほうが良いでしょう。「いつ投資を始めれば良いの?」と問われれば、人生100年時代を乗り切るために、投資の残り時間を一番長くできる「今でしょ!」と思うのです。世界に投資する場合、今の高いとか安いとかの判断は、10年も経てば些細なことだったと思えるのではないでしょうか。

いつ投資を始めれば・・・、これからの人生の中で今日が一番若い!
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