2会合連続で政策金利を据え置き
ユーロ圏の物価上昇率が2%の目標水準前後で推移するなか、ECB(欧州中央銀行)は9月10・11日に開催した政策理事会で、市場予想通り、政策金利の据え置きを決定し、主要政策金利のうち、市場金利の下限となる「中銀預金金利」を2.00%で維持しました。また、ラガルドECB総裁は会見で、ユーロ圏の経済成長に対するリスクはより均衡し、ディスインフレ(物価上昇率の鈍化)の進行は終了したとの見方を示しました。

11日のユーロ圏金融市場では、ラガルド総裁の発言などを背景に追加利下げ観測が後退し、国債利回りが短期債では上昇しました。ユーロは、対米ドル、対円などで売りが先行したものの、同総裁の発言に続き、経済指標の発表を受けて米国で利下げ観測が強まると、一転して買われました。株式相場は、米利下げ観測が強まったことなどから上昇しました。

ユーロ圏経済は良好
今回は、EU(欧州連合)と米国の通商協議が7月下旬に合意に至ってから初の政策理事会でした。ラガルド総裁は、欧米関係が再び悪化すれば、輸出がさらに落ち込み、投資と消費が冷え込むおそれがあるとしながらも、同合意により不確実性は低下したと述べました。

また、ECBスタッフの最新見通しでは、今年の実質GDP成長率が、1-3月期の米国向けの駆け込み輸出や、4-6月期の内需の堅調などを背景に、0.3ポイントの上方修正となりました。一方、2026年については、0.1ポイント下方修正されました。消費者物価指数の伸びについては、食品価格の上昇などを背景に、2026年にかけては上方修正された一方、ユーロ高を踏まえ、2027年については下方修正されました。

なお、フランスでの政局不安などに伴なう国債利回りの上昇について、会見で対応を問われると、ラガルド総裁は、ユーロ圏の国債市場は秩序をもって円滑に機能しており、流動性も確保されていると答えるにとどめました。

追加利下げ観測は一段と後退
ラガルド総裁は、会合ごとにデータ次第で政策を判断していくとして、特定の道筋を確約しない姿勢を維持しました。金融市場では、12月や来年3月を中心に利下げが見込まれているものの、今回の会合を経て、そうした観測は後退し、利下げサイクルが終了した可能性も示唆されている状況です。

【図表】[上図]2026年前半までの政策理事会の予定、[下図]  ECBスタッフの経済見通し
【図表】[左図]金利・為替の推移、[中央図]物価・賃金(前年比)の推移、[右図]PMI(購買担当者指数)の推移
  • ECBなどの信頼できると判断したデータをもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。