リスク管理に向け、6会合ぶりに利下げ
米FRB(連邦準備制度理事会)は、9月16・17日のFOMC(連邦公開市場委員会)で、市場予想通り0.25ポイントの利下げを決定し、政策金利(FFレートの誘導目標)を4.00~4.25%としました。利下げは2024年12月以来、6会合ぶりです。なお、トランプ大統領の指名で16日にFRB理事に就任したミラン氏は0.5ポイントの利下げを求め、0.25ポイントの利下げに反対しました。

声明では、インフレは幾分高止まりしているとの見方を維持しました。加えて、雇用の伸びは鈍化、失業率はやや上昇したとして、雇用下振れリスクの高まりを指摘し、従来は堅調と評価してきた労働市場についても懸念を示しました。また、経済見通しに関する不確実性については、依然として高水準としました。そして、会合参加者の見通し(中央値)では、6月時点の予想より1回多い、年内にあと2回の利下げ(1回の利下げ幅=0.25ポイントとの前提)が想定されています。

17日の米金融市場では、FOMC参加者の見通しで利下げペースが上がったものの、パウエルFRB議長が会見で、今回はリスク管理のために利下げを行なったと述べたことなどから、利下げを急いでいるわけではないと捉えられ、国債利回りが上昇しました。また、主要株価指数はマチマチで引けました。外国為替市場では、円相場が一時、1米ドル=145円50銭前後と、7月上旬以来の円高・米ドル安水準となったものの、その後、反落し、147円前後で引けました。

利下げを待ってきたことは適切、急な行動は不要
パウエル議長は会見で、今回、利下げを決定するに際して、前回7月の会合以降、労働市場のリスクに対する見方が大きく変化し、同市場が冷え込みつつあることを考慮したと述べました。その一方、米関税政策の影響については、インフレ上振れのリスクが4月より低下したものの、全体的な影響はまだ明らかでなく、リスクを管理・評価する必要があると述べました。また、利下げを待ってきたことは適切だったとしたほか、今後も急な行動を取る必要はないとの認識を示しました。

金融市場では年内の追加利下げ観測が強まる
米金利先物市場では、今回の会合の内容などを受け、次回10月とその次の12月の会合でも追加利下げが行なわれるとの見方が強まりました。

【図表】[上図]来年前半までのFOMC開催予定、[下図] 25年9月のFOMC参加者の見通し(中央値)
【図表】[左図]米国の消費者物価上昇率(前年同月比)と金利の推移、[右図]米労働市場の主要指標の推移
  • 米労働統計局、全米経済研究所(NBER)、FRBなどの信頼できると判断したデータをもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。