3会合連続で政策金利を据え置き
ユーロ圏の物価上昇率が2%の目標水準前後で推移するなか、ECB(欧州中央銀行)は10月29・30日に開催した政策理事会で、市場予想通り、政策金利の据え置きを決定し、主要政策金利のうち、市場金利の下限となる「中銀預金金利」を2.00%で維持しました。
同理事会の声明では、物価上昇率について、引き続き2%の目標近辺にあるほか、見通しは概ね不変としました。経済については、世界的な課題の多い環境にもかかわらず、堅調な労働市場、民間部門の健全なバランスシート、さらに、これまでの利下げに支えられ、成長を続けているとした一方、見通しについては、引き続き不確実性が高いとしました。そして、会合ごとにデータ次第で政策を判断していく方針を改めて示しました。
経済下振れリスクは低下、物価の不確実性は高い
ECBのラガルド総裁は会見で、前回9月の理事会前のEU(欧州連合)と米国との通商合意のほか、中東での停戦合意や米中通商協議の進展などもあり、ユーロ圏の経済成長への下振れリスクは一部和らいだとの見解を示しました。一方、物価については、世界的に通商政策が大きく変化している状況下、不確実性が高く、リスクが後退したとは言えないとしました。また、依然として不安定な通商環境がサプライチェーン(供給網)の混乱につながれば、輸出をさらに抑制し、消費や投資を圧迫したり、物価上昇率を押し上げる可能性があるとして、状況を見守っていると述べました。
なお、金融政策の観点からは、足元の状況は良好と評価したものの、そうした状況を持続させるために、必要な措置は何でもするとも述べ、政策を見直す可能性を排除しませんでした。
市場が織り込む、来年半ばまでの利下げの可能性は40%弱
金利先物市場では、来年3月や6月を中心に、更なる利下げが行なわれるとの見方があるものの、その確率は来年半ばまでを見越しても40%弱にとどまっており、少なくとも当面、政策金利は不変との見方が有力となっています。ただし、次回12月の理事会では、四半期ごとに見直される経済見通しにおいて、新たに2028年の予測が示されることから、その行方が政策判断に影響することも考えられます。
- ECBなどの信頼できると判断したデータをもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
- 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。