米国では2025年7-9月期の企業決算の発表が続いており、11月7日時点(米国市場開場前、以下同じ)で主力企業(S&P500指数の構成企業)の89%が発表を終えました。そこで本稿では、米主力企業の7-9月期決算の状況や今後の業績に関する市場予想などをご紹介します。
7-9月期決算は市場予想を上回る良好な内容
11月7日時点で発表済の7-9月期決算において、純利益の実績が市場予想を上回った割合は83%、一致した割合は4%、下回った割合は13%となりました(グラフ【A】)。また、主力企業全体の純利益の伸び率(未発表企業は市場予想に基づく、以下同じ)は前年同期比で16.8%と、今年4-6月期の13.8%から加速しました。決算発表シーズン前の10月3日時点では、米景気の減速やインフレに伴なうコスト増加への懸念などから、8.8%まで落ち込むと予想されていましたが、実際には予想を上回る良好な決算内容となりました。
業種別にみると(グラフ【B】)、7-9月期の純利益の伸び率は、原油価格の低迷の影響を受け、エネルギー(前年同期比▲1.9%)のみマイナスとなりましたが、情報技術(28.5%)や、金融(25.0%)、資本財・サービス(23.0%)など10業種でプラスとなりました。個別企業の決算に目を向けると、クラウド(インターネット上で提供される情報処理サービス)事業などの成長に支えられ、巨大ハイテク企業が全般的に好調だったほか、10月に一部の地方銀行の経営が不安視された金融では、大手銀行を中心に、投資銀行部門の収益などの寄与により、好決算が相次ぎました。なお、米関税政策の影響は、製造業や消費関連の企業で大きいものの、こうした企業の業績にも一定の底堅さがみられました。
市場は概ね堅調な企業業績の伸びが続くと予想
今後の業績に関する市場予想に目を向けると、主力企業全体の純利益の伸びは、10-12月期に8.0%まで鈍化すると見込まれています(グラフ【C】)。しかし、これは比較対象となる前年同期の伸びが高かったという一時的な事情が一因とみられます。
2026年については、①AI(人工知能)関連需要の好調継続、②2025年7月に成立した減税・歳出法や利下げによる景気押し上げ、③米関税政策の影響の一巡、などを背景に、二桁成長が続くと予想されています。
今後の株式相場を展望する上では、米国の景気やトランプ政権の政策などの動向に引き続き留意が必要です。しかし、7-9月期の決算を経て、足元の企業業績の堅調さと、2026年にかけての利益成長の継続シナリオが確認できたことは安心材料と考えられます。
- 上記は過去のものおよび予想であり、将来の運用成果等を約束するものではありません。