ここがポイント!
- AI・半導体:青天井の成長期待からリスクを意識へ
- 日米中央銀行は臆病さから抜け出し、緩やかな円高に進む
- シン・高市トレードへのシフトに期待
AI・半導体:青天井の成長期待からリスクを意識へ
25年の世界株式は大幅に上昇し、その多くの部分をAI(人工知能)・半導体関連銘柄の上昇が押し上げた。背景には、AIに対する予想以上の開発の進展や、実務利用での拡大、それらを支える特定の半導体の需要拡大、意思決定を支援するAIエージェント、ロボットなどが現実世界での行動を知覚・理解・実行するフィジカルAIへの発展期待などがあった。実際、25年に日経平均株価が1万円程度上昇したうち、その約7割がAI・半導体関連で説明できると報じられた。
- 信頼できると判断したデータをもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
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26年以降もAI・半導体関連の売上や利益の成長は続くとみている。ソフトウエア面ではAIエージェントの導入企業が増加し、業務効率の改善が今まで以上に期待され、ハードウエア面ではデータセンター投資が拡大し、半導体や電力設備、ケーブル、建設などの需要も拡大するだろう。こうした需要拡大は長期のトレンドとみることができる。
一方、さまざまな短期的懸念も増えそうだ。まず、ハードウエアの不足による成長率の低下だ。半導体そのものが不足しなくとも、それを設置する設備の不足が昨年以上に成長の抑制要因となる恐れがある。また、一部企業では負債を使って投資する例が出ている。多くの企業では利益が拡大しているため、その点では関連業界のバブル性は低いが、負債による資金調達で設備投資をしたとしても、競争激化で利益を生まないリスクが心配される。
また、これまでのAI・半導体業界では、半導体製造装置や検査装置、露光装置、ファウンドリー(製造受託)など、バリューチェーンでの勝ち組が明確で、利益率も高かったと思われる。しかし、技術革新で新しい半導体が開発されたり、効率的なソフトウエアが出現すると、業界全体の需要拡大は想定通りでも誰が勝ち組になるのかが見えにくくなり、株式市場では模様眺めになりやすくなるリスクがある。また急激な技術革新で効率の良い半導体ができれば、ハードウエアが突然供給過剰となるリスクもある。
まとめると、26年の世界株式は、AI・半導体への市場の期待と不安の心理戦が動かすことになるだろう。この分野の予想は難しいが、産業としては順調で、株価としては勢いを弱めるものの上昇すると期待している。
日米中央銀行は臆病さから抜け出し、緩やかな円高に進む
24年9月から始まった米FRB(連邦準備制度理事会)による利下げが25年に思いのほか進まなかった背景には、トランプ政権が各国に課した関税率が意外に高く、米国内(特にFRB)でインフレが強まるとの懸念が台頭したことにあった。関税は米国民の収入増に直結していないことから本来インフレ懸念は小さいが、その後の政府機関閉鎖という政治問題で経済指標が発表されず、FRBは情報不足で意思決定しづらくなったこともあったのだろう。
今後、米国の政策金利は0.25%ポイントずつ2回程度引き下げられ、26年末に3.25%になると予想している。米国景気の減速が続く中、インフレ率は目標の2%まで低下していないものの3%割れで安定しており、手遅れにならないうちに追加利下げするとみている。賃金上昇率は景気減速で勢いを失っており、FRBのインフレ懸念も後退し、臆病さ(慎重すぎる政策判断)から抜け出せると考えている。FRBは今年5月に予定されているパウエル氏の議長退任後も、新議長の下で経済状況に応じて淡々と利下げを続けるだろう。ただし、中間選挙を控えてトランプ政権が大型の財政政策を打ち出す可能性があり、その場合、利下げのペースは遅くなろう。
一方、日本では高市政権の下でも日銀(日本銀行)が利上げを継続するという姿勢が明確になるとみている。インフレ率は、人手不足で賃金上昇率が2%を超えていることなどから、2%程度をしばらく維持するだろう。26年のベースアップ率も昨年程度かそれ以上を維持するとみられ、臆病になりがちだった日銀も利上げに前向きとなり、政策金利は年内に1%程度に到達すると予想している。
●雇用契約などにより支給される給与と特別に支払われた給与(ボーナスなど)の合計額
●雇用契約などにより支給される給与のうち所定外給与(超過労働給与)以外のもの
出所:厚生労働省、総務省のデータをもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
※上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。
市場の注目点は、日銀が「いつまでに、どこまで金利を引き上げるか」に移っている。本来、利上げで円高要因となりやすいが、昨年末の利上げ後には円安が進んだ。これは、市場が日本のインフレ継続に自信を強めている一方で、日銀が様子見の姿勢を取っていることが意識されたためだ。今後、政策金利の着地点が1%とみる市場参加者の想定を変えようとする対話を始めるかもしれない。市場参加者が人手不足や賃金上昇の維持を踏まえて1%を超える利上げを織り込めば、長期金利も上昇する余地が出てくるだろう。
まとめると、年内にFRBが0.5%ポイントの利下げ、日銀が0.25%ポイントの利上げを実施することで、日米金利差は0.75%程度縮小し、緩やかな円高に進むとみている。
シン・高市トレードへのシフトに期待
これまで、アニメ「アルプスの少女ハイジ」の主人公の友人で、病気が治ったにもかかわらずなかなか立ち上がれなかったクララを、22年頃に「余剰」から「不足」に体質変化が進んだものの、賃金や設備投資に変化がみられなかった日本経済に例えてきた。25年の日本経済は「余剰」から「不足」へと体質変化が進み、賃金上昇や設備投資の拡大を実現させたが、「クララが歩いた」との評価には至らなかった。これは、輸出依存から消費主導で経済成長に向かう「クララが歩く」状態ではなかったからだ。
しかし、今年は「サナエ(高市政権)がクララを歩かせる」かもしれない。これから議論される26年度予算は、少数与党であることから、野党の政策にも配慮したインフレ対策を含む消費者目線の政策が含まれるだろう。賃金上昇が続く中、消費者に消費する自信を与え、消費拡大が日本経済(クララ)をけん引する(歩く)ことが可能になる。
- 出所:日本銀行のデータをもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
- 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。
その場合、放漫財政の恐れが市場で強まる可能性があるため、高市政権と市場とのコミュニケーションがより重要になるだろう。例えば、昨年度に成立した補正予算の規模拡大は、景気回復による税収増を活用するもので、放漫というよりも経済が縮小しないための適切な対応であったのだが、国民に丁寧に説明されているとは言えず、自民党内ですら十分理解されなかったようだ。26年度予算審議では、高市政権の「責任ある」財政拡大が説明される機会がより増えるだろう。市場も漫然と放漫財政を恐れず、財政政策が将来の成長に寄与することを考慮して適切に評価するようになり、金利水準は昨年よりも安定するとみている。
結果として、昨年後半から進行していた放漫財政や低金利維持への期待と円安進行という高市トレードは終焉を迎えるだろう。26年中頃までには、高市政権が財政規律の考え方を頻繁に説明するなどして、財政のあり方についての理解が市場で深まり、シン・高市トレードへ質的に変化していくとみている。シン・高市トレードでは、消費回復期待の高まりがカギとなり、内需関連業種がけん引する株高、短期金利の上昇、長期金利の安定、緩やかな円高の継続がメインシナリオとなる。為替市場では、財務省による(口先を含めた)介入は不要となるはずだ。
