日本企業の株主への還元姿勢の変化
かつて日本企業は、安定配当を重視する傾向が強く、株主への利益還元は控えめでした。しかし近年、資本効率や株主価値を重視する動きが加速しています。特に2023年以降、東京証券取引所が「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を求めたことを機に、企業は従来の安定配当重視から、資本効率を意識した積極的な株主還元へとシフトしました。

そうしたこともあって、2024年度の東証上場企業の配当金総額は過去最高の23兆円に達しています(左グラフ参照)。その後も、配当性向の引き上げや柔軟な配当政策の導入が進み、企業が持続的な成長を通じて利益を増やすだけでなく、株主に積極的に還元する姿勢が伺えます。こうした動きは、投資家にとって投資機会が拡がることを意味します。

インフレ局面での高配当株式の魅力
足元では、日本でもインフレに備えた資産形成の重要性が高まっています。そうした中、高配当株式は、企業の利益成長を配当という形でも得られるため、インフレ環境下における資産形成の手段として魅力が相対的に高いと考えられます。また配当は、中長期的に再投資することで複利の効果が期待できます。

インデックスへの注目で、手軽に、高配当株式投資
投資するなら有望な銘柄を選びたいものです。しかし、個人投資家が多くの銘柄の中から有望な高配当銘柄を選ぶのは大変な作業です。そこで、配当に焦点を当てたインデックスに注目することは有効といえます。

例えば、日経平均高配当株50指数は、日経平均株価採用銘柄の中から予想配当利回りの高い50銘柄で構成された指数であり、2020年以降は日経平均株価を上回るパフォーマンスを示しています(右グラフ参照)。このインデックスは高配当銘柄を単純にパッケージ化したものではなく、3期連続最終赤字の銘柄や、株価が著しく下落した銘柄などを除いたうえで毎年、構成銘柄を見直し、流動性(売買代金)を加味した組入比率にするといった、ルールに基づいて算出されています。また、定期的に構成銘柄が見直されるため、長期投資にも適しているといえます。こうしたインデックスに連動するインデックスファンドやETF(上場投資信託)などを活用すれば、厳選された高配当株式への分散投資を手軽に行なうことができます。

日本企業の株主還元の高まりと物価が上昇する中、インデックス運用を活用した日本の高配当株式投資は、改めて注目すべき選択肢といえるのではないでしょうか。

【図表】[左図]日本企業の配当金総額の推移、[右図]日経平均高配当株50指数の推移
  • 信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
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