2026年11月3日に予定されている米国の中間選挙まで1年を切り、それに向けた動向は、今後の株式相場を展望する上での注目点になるとみられます。そこで、本稿では、現段階での選挙情勢に加え、中間選挙の年の株価(S&P500指数の配当なし、米ドルベース)推移パターンなどについて解説します。
上院は共和党優位も、下院は接戦に
全100議席のうち35議席が改選される上院については、改選対象の議席の多くが共和党が地盤とする州にあることなどから、民主党が議席を奪取することは難しいとみられています。実際に、米選挙サイトの270toWinが公表している、複数の調査機関の平均的な議席数予想では、「やや優勢」まで含むと、中間選挙後に共和党が過半数の51議席を確保する見通しとなっています(図【A】)。
他方、全435議席が改選される下院については、同予想の「やや優勢」までを合計しても、共和党は209議席、民主党は206議席と、両党とも過半数の218議席に届きません。下院については、「ゲリマンダー」と呼ばれる政権与党主導の選挙区の区割り変更が、共和党に有利に働くとの見方があります。しかし、賭けサイトでは民主党が下院多数派を奪還する確率が足元で7割超となっています。これは、連邦政府の一部閉鎖などを受けて共和党への逆風が強まり、民主党が直近の州知事選挙で勝利を重ねたことと整合的です。もっとも、11月上旬に実施されたニューヨーク市長選挙で、民主社会主義を掲げたマムダニ氏が当選したことは民主党にとって追い風とみる向きもあるものの、同氏が主張するような急進左派的な路線を進める場合、中道派有権者の支持を失うリスクもあります。民主党は中間選挙に向けた戦略で難しい舵取りを迫られるとみられ、下院については両党の接戦が続く可能性があります。
選挙の株価への影響は長い目でみれば一時的か
ここで、1932年から2024年までの長期データに基づく米国における年間の株価推移と選挙との関係に目を向けると、興味深い傾向があることがわかります(図【B】)。即ち、選挙のない年(大統領選挙も中間選挙も行なわれない年)は、株価が年間を通じて上昇傾向となるのに対し、大統領選挙や中間選挙がある年は、年初から、こう着相場が続く傾向がみられます。特に中間選挙の年は、両党の大統領候補者が夏場に確定する大統領選挙の年とも異なり、投票日直前まで、先行きへの不透明感が株価への重荷となりがちです。しかし、どのパターンでも年末に向けて株価が上昇基調を辿る傾向があり、選挙実施年でも、結局は企業業績などのファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が重要なことがわかります。
以上を踏まえると、2026年は中間選挙を巡る不透明感が株価を抑える可能性に留意が必要です。しかし、金融市場で米主力企業全体の利益成長率が前年比二桁増と予想されていることなどから、長い目でみれば、一時的な足踏み程度にとどまると思われます。
- 指数の著作権等の知的財産権その他一切の権利は、指数の算出元または公表元に帰属します。
- 上記は過去のものおよび予想であり、将来の運用成果等を約束するものではありません。