顔ぶれは変わらず。バケットは一部で入替え
グローバルな金融システムの監視などを行なう国際機関であるFSB(金融安定理事会)は、11月27日、年に1度のG-SIBs(Global Systemically Important Banks、ジーシブズ)の見直し結果を公表しました。
G-SIBsとは、「グローバルな金融システム上、重要な銀行」のことで、今回の見直しでは、昨年と同じ29行が選ばれました。バケットと呼ばれる区分けについては、ドイツ銀行がバケット2から1へ引き下げられ、バンク・オブ・アメリカと中国工商銀行がバケット2から3へ引き上げられました。バケットは、数字が高いほど金融システムの安定において重要度が高い銀行であることを示します。
G-SIBsの選定やバケットのランク付けは、①総資産や事業規模、②他の金融機関との関連性、③他の金融機関へ機能を代替できるか、④事業の複雑な取引実態、⑤海外での事業規模、といった5項目が数値化され、そのスコアよって判断されています。
金融システムの健全性維持のために
FSBは、銀行規制の国際合意に基づき、G-SIBsを選定しています。そのうえで、自己資本の強化に加え、レバレッジ規制やリスク管理、ガバナンスの強化、ストレステストなどをG-SIBsに課し、金融システムの健全性維持に取り組んでいます。
例えばG-SIBsは、バーゼル規制(国際的に活動する銀行の自己資本比率や流動性比率などに関する国際統一基準)で定められている自己資本に、上乗せが求められます。バケットが高いほど上乗せは高く、自己資本の強化が求められます(下表参照)。
もしもの事態にも備えるために
また万が一、G-SIBsが破たんするような事態にも備えており、FSBはG-SIBsに対してTLAC(総損失吸収力、Total Loss-Absorbing Capacity、ティーラック)の確保を求めた規制などを設けています。TLAC規制とは、G-SIBsが破たんした場合に、公的資金(税金)に救済を頼ることなく、秩序ある処理を可能にするための仕組みです。損失を株主や債権者に負担させ、資本再構築を行なうことができるように、G-SIBsには、元本削減や株式転換により損失を吸収できる資本や負債を、予め積み増すことが求められています。
こうした国際的な取り組みが機能し、G-SIBsが高い健全性を維持することにより、倒産リスクが低減され、グローバルな金融システムの安定確保につながっています。
- 上記銘柄について、売買を推奨するものでも、将来の価格の上昇または下落を示唆するものでもありません。
また、当社ファンドにおける保有・非保有および将来の銘柄の組入れまたは売却を示唆・保証するものでもありません。 - 上記は過去のものであり、将来の運用成果などを約束するものではありません。