雇用下振れリスクに対応し、3会合連続で利下げ
米FRB(連邦準備制度理事会)は、12月9・10日のFOMC(連邦公開市場委員会)で、市場予想通り0.25ポイントの利下げを決定し、政策金利(FFレートの誘導目標)を3.50~3.75%としました。利下げは10月に続き、3会合連続で、雇用の下振れリスクに対応したものです。なお、トランプ大統領の指名で9月にFRB理事に就任したミラン氏が、今回も0.5ポイントの利下げを求め、0.25ポイントの利下げに反対したほか、地区連銀総裁2名は金利据え置きを主張して、反対票を投じました。FRBはまた、短期金利の上昇圧力が高まっていることへ対応し、金融政策とは異なる技術的な措置として、短期国債の買入れを開始すると発表しました。
FOMCの声明文では、経済活動は緩やかなペースで拡大、インフレはやや高い水準で推移、との見解を維持しました。一方、雇用の伸びは鈍化し、失業率がやや上昇したとして、従来の、「失業率は低水準」との表現を修正し、ここ数ヵ月で雇用の下振れリスクが高まったとの判断を示しました。そして、経済見通しの不確実性は依然、高水準としたものの、今後の政策調整の程度とタイミングの検討に際しては、慎重に評価するとして、利下げを一時停止する可能性を示唆しました。
また、会合参加者の見通し(中央値)では、2026、27年のGDP成長率を上方修正、26年の物価上昇率を下方修正と、総じて楽観的なものとなりました。成長率上方修正の背景としては、政府機関閉鎖の反動のほか、財政支出や、AI(人工知能)関連投資および消費者の支出の継続などを挙げています。
一方、政策金利の見通しに変化はなく、26、27年にそれぞれ1回の利下げ(1回あたり0.25ポイントの利下げとの前提)が想定されています。
次回1月会合までに発表される統計に注目
パウエルFRB議長は会見で、これまでの利下げの結果、政策金利は推定される中立金利のレンジ内にあり、今後の景気動向を見極める態勢が整っていると述べ、利下げを一時停止する可能性を示唆しました。その一方、次の動きが利上げになる可能性は低いと述べました。
金利先物市場では、26年に少なくとも2回の利下げが想定されています。ただし、政府機関閉鎖の影響で遅れていた経済指標の発表が次回1月の会合までに進む予定であり、その結果などにより、景気認識や政策見通しが大きく変化する可能性もあり得ます。
- 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。