4会合連続で政策金利を据え置き
ユーロ圏の物価上昇率が2%の目標水準前後で推移する中、ECB(欧州中央銀行)は12月17・18日に開催した政策理事会で、市場予想通り、政策金利の据え置きを決定し、主要政策金利のうち、市場金利の下限となる「中銀預金金利」を2.00%で維持しました。
ECBは声明で、特に内需のけん引により、経済成長は9月時点の予測よりも力強くなると考えられると指摘しました。そして、同時に発表した経済見通しでは、2027年にかけてのGDP成長率を上方修正したほか、新たに示した2028年の予測を1.4%としました。また、2027年にかけての物価見通しも概ね上方修正し、2%近辺での推移となるものの、2028年には2%に着地するとしています。
市場では、利下げ局面は終了、次の一手は利上げとの見方も
金融市場では、ECBの予測の上方修正に見られるように、ユーロ圏の見通しが改善していることなどから、今後、何らかのリスクが顕在化しない限り、2024年6月から続いてきた利下げは今年6月で打ち止めとの見方が拡がっています。また、ECBの次の一手が利上げになるとの見方も台頭しつつあり、同行のシュナーベル理事は12月8日、近いうちではないとしても、ECBの次の動きは利上げとの見方が市場にあることに違和感はないと述べています。
ECBは今後の方向性を示さず、データに基づき、会合ごとに判断する方針を再確認
ただし、ECBのラガルド総裁は今回の政策理事会後の会見で、われわれは良い位置につけているとしたものの、そうした状況が今後も不変ということではないと述べました。
同氏は、地政学リスクや、過剰生産能力を抱える国との貿易を巡る動き、国境での動静など、現在直面している不確実性が大きく、景気及びインフレについて、国際事情を背景とした、上振れ・下振れ両方のリスクを指摘しました。そして、金融政策の先行きの道筋を示すことはできないとした上で、今後もあらゆる選択肢を排除せず、会合ごとにデータに基づいて判断するとの方針を改めて示しました。
- ECBなどの信頼できると判断したデータをもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
- 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。