政策金利は約30年ぶりの高さに
日本銀行(日銀)は12月18・19日に開催した金融政策決定会合で、市場予想通り政策金利(無担保コール翌日物金利の誘導目標)を0.25ポイント引き上げ、0.75%程度とすることを決定しました。利上げは1月以来、7会合ぶりで、政策金利の水準は1995年9月以来、約30年ぶりの高さとなります。
賃金・物価の緩やかな上昇が続く可能性が高い
日銀は、今回、2027年度までの見通し期間の後半には、基調的な物価上昇率が2%の物価安定目標と概ね整合的な水準で推移するとの見通し実現の確度が高まっているとして、利上げを決定しました。なお、こうした見方の背景として、次の3点を挙げました。
- 米国経済や各国通商政策の影響については、不確実性は残っているが、低下している
- 賃金については、2026年も引き続き、しっかりとした賃上げが実施される可能性が高く、企業の積極的な賃金設定行動が途切れるリスクは低い
- 物価については、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続く中、基調的な物価上昇率は穏やかな上昇が続いている
そして、今回の利上げ決定後でも実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持されるため、引き続き経済活動をしっかりサポートしていくとしました。その上で、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、政策金利の引き上げを継続し、金融緩和の度合いを調整していくとの方針を改めて示しました。
植田総裁の会見を経て、円相場は157円台に下落
市場では、今回の利上げ局面での最終到達点を測る基準として、景気を熱しも冷やしもしない「中立金利」が注目されています。植田日銀総裁は今回の会見で、日銀が2024年に示した1~2.5%との中立金利の推計を念頭に、政策金利は中立金利の下限にはまだ少し距離があるとして、利上げ余地があることを示唆しました。ただし、推計には相当なばらつきがあるとして、再推計を行なう考えを示しました。
金融市場では今回、中立金利の新たな推計が示され、それが更なる利上げを示唆することになるのではないかとの憶測が拡がっていました。しかし、それが見送られたことなどから、19日のニューヨーク市場では、円相場が1米ドル=157円台に下落したほか、対ユーロでは一時、1999年のユーロ導入以降の最安値をつけました。
- 日銀や総務省などの信頼できると判断したデータをもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
- 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。