政策金利を据え置きも、経済見通しを大きく修正
ユーロ圏の物価上昇率が2%の目標水準前後で推移する中、ECB(欧州中央銀行)は3月18・19日に開催した政策理事会で、市場予想通り、政策金利の据え置きを決定し、主要政策金利のうち、市場金利の下限となる「中銀預金金利」を2.00%で維持しました。

ただし、ECBは声明で、中東での紛争に伴ない、見通しは著しく不確実になっており、インフレの上振れリスクと経済成長の下振れリスクが生じているとしました。そして、エネルギー価格の上昇により、短期的にインフレに大きな影響が及ぶほか、紛争の激しさおよび期間や、エネルギー価格が消費者物価および経済にどのように作用するかによって、中期的な影響は変わってくるとしました。

また、今回発表されたECBスタッフの経済見通し(【図1】の各項目の上段)では、エネルギー価格の上昇を受け、2026年の物価見通しを大幅に上方修正した一方、実質GDP見通しを下方修正しました。なお、基本見通し以外に、悪いシナリオ、深刻なシナリオに基づく予想(それぞれ、【図1】の中段、下段)も示されました。

ラガルド総裁、足元の状況は2022年と異なる
ECBのラガルド総裁は今回の政策理事会後の会見で、ユーロ圏経済は底堅く、低インフレ環境下にあるとして、ECBは有利な立場にあり、現在進行中の大きな衝撃に対処するための体制と能力は十分と考えていると述べました。そして、商品市況のほか、企業景況感や消費者信頼感、企業の価格設定、賃金などの動向を注視するとしました。

また、2022年のロシアによるウクライナ侵攻に端を発したエネルギー危機の際の教訓について質問されると、この4年間で多くを学び、モデルを改善し、戦略を見直してきたほか、見通しを巡るリスクにより注意を払うようになったと応じました。加えて、足元では、インフレ率が1.9%と、中期的な目標水準にとどまっているほか、労働需給はひっ迫していないなどとして、当時と現在とでは状況が大きく異なることを強調しました。

市場では年内の利上げ観測が拡がる
前回2月の政策理事会の際には、ユーロ高に伴なうインフレ率の下振れリスクが意識され、年内の利下げ観測も一部にありました。しかし、足元では状況が一変し、年内に2~3回の利上げが実施されるとの見方が台頭しています。

【図1】[上図]2026年の政策理事会の予定、[下図]ECBスタッフの経済見通し(26年3月時点)
【図2】[左図]金利・為替の推移(2020年1月2日~2026年3月20日)、[中央図]物価・賃金(前年比)の推移(2019年1月~2026年2月)、[右図]PMI(購買担当者指数)の推移(2023年3月~2026年2月)
  • ECBなどの信頼できると判断したデータをもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。