インデックス運用とパッシブ運用の違いとは?

インデックス運用とパッシブ運用の違いとは?

  • 最終更新日:2026年10月1日(公開日:2023年10月25日)

資産運用業界にいるとインデックス運用、パッシブ運用の言葉は良く使うのですが、その概念をあまり詰めて考えることは少ないかもしれません。改めてこの概念を整理してみたいと思います。

インデックス運用は運用目標を表したもので、パッシブ運用は主に運用手法に着目した概念ではないかと思います。運用目標はどのような運用パフォーマンスを目指すのかということで、運用手法はその目標をどのように実現していくかというものです。

運用目標としては、
①特定のインデックス(対象指数)を定めて、そのパフォーマンスをトラック(追随)していくこと、
②特定のインデックス(対象指数)を定めないで、一定の目標パフォーマンスを獲得するもの、
③特定のインデックス(対象指数)に対して上回るパフォーマンスを狙うものです。

通常、インデックス運用、パッシブ運用の対義語は共にアクティブ運用です。しかしながら上記運用目標②の中でルールベースの運用はアクティブ運用ではなくパッシブ運用です。また、③の中でルールベースの運用は運用の裁量範囲が、狭ければパッシブ運用とも、広ければアクティブ運用とも言える場合があります。インデックス運用の対義語はアクティブ運用ではなくて「インデックス運用ではない運用」と整理したほうが良いと思われ、以下の表のようにまとめられます。

運用手法と運用目標

※上記は当社独自の考えに基づく分類であり、一般的な分類とは異なる場合があります。

これから順を追ってご説明したいと思います。

インデックス運用

運用手法と運用目標(インデックス運用)

※上記は当社独自の考えに基づく分類であり、一般的な分類とは異なる場合があります。

インデックス運用は、運用目標がインデックス(指数や指標、特定の価格)の動きと運用成果が高位に連動することを目指す運用です。つまりインデックス運用は運用目標を表現したものになります。

インデックス運用の特徴

投資家の視点からは、インデックス運用には以下の特徴があると思います。

✓ 安定性

インデックスの値上がり、値下がりに連動した運用成果になりますのでインデックスの価格変動特性がそのまま反映されることになります。ただし、その運用成果が大きくインデックスと乖離することが少ないということからインデックスに対する運用の安定性は高いと思われます。

✓ 比較的運用コストが安い

競合商品が出易く、価格競争にさらされるため比較的運用コストが安い傾向があります。

✓ リスク分散

連動対象のインデックスによりますが、多くの銘柄が組み入れられていますので投資対象が分散されることにより、リスク分散されます。

インデックス運用のETF

日本では長らく、ETFはインデックス運用によるもののみでしたが、2023年に東京証券取引所でアクティブETFの制度が導入され、同年9月に国内初のアクティブETFが上場しました。

パッシブ運用

運用手法と運用目標(パッシブ運用)

※上記は当社独自の考えに基づく分類であり、一般的な分類とは異なる場合があります。

一方のパッシブ運用ですが、インデックス(指数や指標、特定の価格)の動きと運用成果が高位に連動する、インデックスの動きに受け身的についてゆく運用成果を目指すことを意味している場合はインデックス運用と同義語になりますが、インデックスの構成銘柄・構成比率を様々な手法でコピー、複製するような運用を意味するパッシブ運用は運用手法を表現したものになります。
運用手法には以下のような手法があります。

パッシブ運用の運用手法 1.現物運用

パッシブ運用の運用手法には、インデックス(指数や指標、特定の価格)の構成資産・銘柄(株や債券等)に投資する手法が一般的です。現物運用(Physical replication=現物複製)と言うこともあります。

◆ 完全法

インデックスの構成銘柄・構成比率に沿って、そのまま複製するような運用を完全法といいます。

◆ サンプリング法

意図的に代表銘柄に寄せて運用するサンプリング法と言います。

◆ 最適化法

計量的モデルを使って銘柄選択、組入れ比率を調整する最適化法があります。

パッシブ運用では、運用成果がそのインデックスと乖離することが最も困ることなので、指数をそのまま複製しようとする完全法は手堅い運用方法です。ただし、インデックスの構成銘柄数が多いとか、構成銘柄数には流動性が低く売買コストがかさむ銘柄もあります。そのため完全法で運用する意図であるものの、ETFの資産規模がある程度以上無いと投資しきれなかったりすることがあったり、投資にコストがかかりすぎてしまうことから当該銘柄への投資をしないこともあります。それをルールベース、計量的な管理を取り込んだ手法がサンプリング法であり最適化法になります。その手法は連動対象指数の構成銘柄・組み入れ比率からファンドの構成銘柄・組み入れ比率を変えていくことになります。

パッシブ運用の運用手法 2.シンセティック・レプリケーション運用

連動対象インデックスに相関性が高い別の資産(仕組債、ETF)や先物やスワップ取引のようなデリバティブを使って運用するものもあります。シンセティック・レプリケーション(Synthetic replication=合成複製)運用などと呼ぶことがあります。シンセティック・レプリケーションは指数に採用されていない先物やスワップといった代替資産で行います。

このように見ていくと、パッシブ運用といっても、完全法から、サンプリング法、最適化法、シンセティック・レプリケーションに行くにつれて銘柄選択の裁量が高くなってゆきます。

運用手法と運用目標(パッシブ運用)

※上記は当社独自の考えに基づく分類であり、一般的な分類とは異なる場合があります。

パッシブ運用のETF

東京証券取引所に上場する多くの国内ETFの運用方法はパッシブ運用、完全法のものが主力です。一部のETFに関して、サンプリング法、シンセティック・レプリケーションのものが見られます。
多くの日本株式、外国株式、外国リートETFの運用手法は完全法ですが、採用銘柄数が多い連動対象指数に比してETFの純資産残高が多くない場合、結果、サンプリング法的になっているものがあります。なお、中国株とアジアリートのETFはETFを買って運用するもの(シンセティック・レプリケーション、アモーヴァ・アセットマネジメント調べ)になっています。
外国債券ETFでは、採用銘柄数が多い連動対象指数(グローバル債券、新興国債券)のETFはサンプリング法で運用されています。債券は株式よりも個別の値動きをすることが少ないので、代表銘柄に片寄せして運用することができるといった背景もあります。採用銘柄数が少ない連動対象指数のETFでは完全法で運用されています。
日本リートのETFは、ほぼ完全法で運用されています。

以上、インデックス運用とパッシブ運用の違い、パッシブ運用の運用手法について考察・整理してみました。昨今、インデックス運用のETF、投資信託は人気があると言われますが、その人気の理由の中心は安定性にあるのではないかと思うことがあります。運用商品で顕在化する問題の多くは「投資してこんなはずではなかった」ということです。運用会社は投資家の期待に応えなければならないと強く思いました。

(以上)

ETFのキホンシリーズ

「ETFのキホン」シリーズでは投資家の皆様にETFを良く知っていただいて、より良く活用していただきたいとの思いで書かせていただいています。

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