本稿は2026年1月29日発行の英語レポート「Balancing Act」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。
投資環境概観
12月のグローバル株式市場(MSCI All Country Worldインデックス)は前月末比で0.9%上昇し、前年に続いて株価が好調に推移した2025年を締め括った。市場の追い風となったのは米国の景気好調で、第3四半期の経済成長率は前年同期比4.3%となり、市場予想を上回るとともに2年振りの高水準に達した。主要中央銀行による金融緩和やAI(人工知能)投資に対する投資家の高い確信、企業収益の底堅さを受けて、2025年も株式市場の活況が続いたことを受けて、投資家のあいだでは2026年に向けて期待感が高まった。欧州株式市場(Stoxx Europe 600指数)も好調に推移して前月末比で2.2%上昇し、年間上昇率は20%を超えた(現地通貨ベース)。アジアでは、中国政府が年末に開催した中央経済工作会議で2026年の重点政策を定め、消費需要を促進するために2026年に財政支出を拡大する方針を打ち出した。これが好感され、市場は年末にかけて好調に推移した。
債券市場に目を向けると、12月の米国債利回りは概ね上昇した。債券市場に動きがみられたのは主に月の前半で、日銀やECB(欧州中央銀行)、オーストラリア準備銀行などの主要中央銀行が相次いでタカ派的なシグナルを発すると、米国以外の先進国の国債市場で売りの動きが広がり、それに連れて米国債利回りも上昇した。しかし、年末にかけて市場の流動性が細るなか、月の後半にはそうした動きが失速し、債券利回りは狭いレンジ内で推移した。米FRB(連邦準備制度理事会)は12月会合において、大方の予想通り0.25%の利下げを決定し、政策金利の誘導目標レンジを3.50~3.75%へと引き下げた。これで3会合連続での利下げとなった。パウエルFRB議長は、雇用者数の過大計上の可能性を指摘するなど、比較的ハト派的なトーンだったが、全体として金融政策をめぐるメッセージは引き続き慎重で、政策金利が中立的な水準に近いなかで追加利下げを実施するには、労働市況の大幅な悪化が条件になるだろうとの見方を示した。
金価格は前月末比で1.9%上昇し、非常に好調な推移が続いた2025年を締め括った。主要中央銀行による利下げや米国の金融緩和期待、地政学的な衝突、中央銀行からの安定的な需要、ETFによる保有量増加が追い風となり、金価格は2025年の年間上昇率が64.6%にのぼった。一方、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油価格は前月末比で1.9%下落し、年間下落率が20%に迫った。
クロス・アセット*
当月は、グロース資産のスコアを小幅なマイナスに、そしてディフェンシブ資産のスコアを中立に維持した。グロース資産はこれまで良好なパフォーマンスを示してきており、2026年には企業収益の好調な伸びが株式市場の追い風になるとみているが、バリュエーションがやや割高な水準に達していることは懸念され、多少慎重な姿勢を維持することが妥当とみられる。2026年を迎えるなか、米国経済が引き続き市場予想を上回る成長を遂げていることや、FRBが当社の予想以上にハト派的な姿勢を示していることを受けて、グロース資産のスコアの見直しを検討し始めることになる可能性が高いだろう。ディフェンシブ資産については、FRBが利下げを実施してきており、2026年も金融緩和政策を継続する姿勢と見受けられるなか、インフレが市場の予想以上に根強いとみているが、中立的な見方を維持している。2026年においては、株価が数十年ぶりの高値水準に達しておらず相対的に割安、かつ企業収益の成長加速の恩恵を得られる株式市場を探していく方針である。
グロース資産のなかでは、先進国株式と新興国株式の両方のスコアを中立に維持した。ディフェンシブ特性を有し、リスク・リターン特性の魅力度が高まっているインフラ投資については、スコアをプラスに維持した。先進国株式のなかでは、米国とカナダのスコアを中立に維持し、バリュエーションが魅力的な水準にあるとともに中央銀行がハト派姿勢を強めている英国のスコアをプラスへと引き上げた。オーストラリアについては、企業収益の成長減速やインフレの加速を受けてスコアのマイナス幅を拡大した。シンガポール株式は、規制緩和や底堅い経済活動の恩恵が見込まれる金融セクターの割合が高いことから引き続き有望視しているが、英国のスコア引き上げとの兼ね合いでスコアのプラス幅を縮小した。日本については、同国株式市場にとって追い風になるとみられる円安期待と、日銀のタカ派的な姿勢のバランスを考慮してスコアを中立に維持した。また、2025年に堅調し、バリュエーションの魅力度が年初時点に比べて低下したと見受けられる新興国株式のスコアも中立に維持した。
ディフェンシブ資産では、前月からスコアに変わりなく、投資適格クレジットのスコアをマイナスに、先進国ソブリン債のスコアを小幅なプラスに、ハイイールド債のスコアを中立に、新興国現地通貨建て債券のスコアをプラスにそれぞれ維持した。新興国現地通貨建て債券については、キャリー水準の高さや世界的な景気改善、米ドル安が進行して新興国の追い風となる可能性を踏まえて、引き続き有望視している。先進諸国の国債が非常に好調に推移すると見込んでいるわけではないが、投資適格クレジットのスプレッドがすでにタイトな水準にあり、この先のさらなるスプレッド縮小を見込みづらいという理由から、引き続き投資適格クレジットよりも先進国ソブリン債を選好している。一方で、ハイイールド債は、構造的に金利が高く利回り水準が依然魅力的であり、ポートフォリオ全体のキャリー水準を高める効果をもたらすことから、スコアを中立に維持している。地政学的リスクが高まり続けているなか、ディフェンシブ資産をめぐる投資判断は難しくなっている。トランプ米大統領はベネズエラで強硬手段に出たほか、堂々とグリーンランドの取得を試みていることから、国債への投資はどう転ぶか読めない可能性がある。当面は、債券のスコアのプラス幅やマイナス幅を適度に維持し、地政学的な動きがどう転ぶか、そしてインフレが最近のコモディティ価格の好調を受けて実際に加速し始めるかどうかを見極めていく方針である。
*マルチアセット・チームのクロス・アセット見解は、(1)グロース対ディフェンシブ、(2)グロースおよびディフェンシブ資産内でのクロス・アセット、(3)各資産クラス内での相対的な資産の見方、という3つの異なる段階で示しています。これらの段階は、選好順位の水準は資産クラスが予想可能な形で似た動きあるいは異なる動きを見せるという当社のリサーチおよび直感的認識を表しており、したがって、資産クラスのクロス・アセットでのスコアリングは理に適っているとともに、最終的により熟考された堅固なポートフォリオ構築につながると考えます。
資産クラスの選好順位(2025年12月末時点)

注)上記のアセットクラスおよびセクターの選好順位とスコアは、マルチアセット・チームの現在の投資見解を反映したものです。リサーチ・フレームワークは3つの段階の分析に分かれています。スコアは、各資産に対する同チームの相対的見方(各資産が属する資産クラスの他の資産対比)を表しています。各資産クラス内のスコアは、コモディティを除き、平均すると中立となります。これらは投資リサーチまたは投資推奨助言に該当するものではありません。セクターや経済、市況トレンドに関する予見、予測または予想は、それらの将来の状況またはパフォーマンスを必ずしも示唆するものではありません。
当社の見方
グロース資産
世界の経済成長は底堅さを維持すると予想しており、米国が牽引役となって企業収益の伸びが再加速するとみられることから、グロース資産は引き続き魅力的だと考える。ただし、世界的に株価が割高な水準にあることから、当面は慎重な姿勢で臨むのが妥当だろう。市場センチメントは依然良好で、投資家のあいだではFRBによる今後の追加利下げ期待が高まっており、リスク資産にとって追い風になると見込まれる。この先数ヵ月間における米国の雇用・物価データは、FRBの政策金利の軌道を見極める上で極めて重要となるだろう。インフレについては世界的に落ち着いた状況が続いているが、世界の経済成長が再び加速する場合にはインフレ上振れリスクが出てくる可能性がある。
概して、企業の利益率は拡大傾向を維持しており、グロース資産への追い風となっている。来四半期の企業収益成長見通しはここ数ヵ月で徐々に上方修正されてきているが、多くのセクターで未だに「解放の日」時点の水準を下回っており、グロース資産は十分に下支えされるとみられる。米国の税制改正の成立は、企業業績と消費の両方にとって追い風になると期待される。さらに、FRBによる今後の追加利下げも米国の経済活動が堅調さを維持するのに一役買うだろう。しかし、グロース資産はバリュエーションが高水準に達していることから、当面はより慎重な姿勢を維持し、経済指標が先行きをより明確に示すようになるとともにインフレが収束に向かっていることを確認できた上でスコアの引き上げを検討していく方針である。
グロース資産に対する確信度の強い見解
- 米国株式のスコアをニュートラルに維持:テクノロジーやヘルスケアのイノベーション(革新)を原動力とする企業収益の長期的な成長性から、米国株式を引き続き選好している。また、今後数年間でAI関連の設備投資が大幅に拡大することに伴うデータセンターからのエネルギー需要の増加も追い風になるとみている。中央銀行の対応や輸入関税懸念の緩和など、市場にはポジティブ・サプライズの起こる可能性が残っている。しかし、当面は高水準のバリュエーションが逆風となる可能性があることから、市場の調整局面が訪れるのを待ってから再びスコア引き上げを検討していく方針である。
- シンガポール株式と英国株式を有望視:シンガポール株式は、スコアを若干引き下げたがプラスに維持し、英国株式はスコアをプラスへと引き上げた。両市場とも配当利回りが高く、相対的にベータ値が低い傾向にあるなど、ディフェンシブ特性を好感している。シンガポール市場は、相対バリュエーションの尺度でも魅力度が高いと見受けられ、また経済の開放度が高いため、世界全体の経済活動拡大や銀行セクターの規制緩和の恩恵が見込まれる。
- 新興国株式のスコアを中立に維持:2025年は堅調に推移し、バリュエーションに割高感が出始めていることから、新興国株式のスコアを中立に維持し、市場の調整局面が訪れれば再びスコア引き上げを検討していく方針である。新興国のなかでは、インドなど、内需主導型経済や長期の構造的成長ストーリーが追い風となっている国を選別的に選好している。また、AI関連の設備投資展開という長期的な成長トレンドへのエクスポージャーとして、半導体の主要サプライヤーでありテクノロジー・セクターの占める割合が大きい台湾も選好している。
- コモディティ関連株のスコアを中立に維持:コモディティ関連株が長期的にインフレに対して優れた分散投資効果を提供し続けるとの考えに変わりはない。コモディティ関連セクターのファンダメンタルズは、景気循環的にも長期的にも依然有望である。
- インフラ投資のスコアをプラスに維持:インフラ投資については、ベータ値が低いのに加えて配当利回りも高いなど、そのディフェンシブな特性を好感している。データセンターの建設増加を受けたエネルギー需要の拡大という構造的ストーリーは引き続き有効だ。インフラ投資は契約期間が長期にわたり、収益を見通しやすいことに加え、金融緩和局面が追い風になることから、市場調整局面において魅力的な資産クラスとなっている。
次期決算シーズンの行方を占う
当社では、トランプ米大統領が「解放の日」と称して各国への相互関税発動を発表した後、2025年の半ばから現在までしばらくの間、輸入関税の悪影響は一部のアナリストが予測するほど大きくないだろうと主張してきた。企業業績のアナリスト予想の推移に注目し始めた際、続く2四半期は企業収益が低水準で推移し、それによってハードルが低くなることで市場予想を上回りやすくなるとみていた。以降、S&P500種指数構成企業の利益は市場予想を上回る推移をみせ、それを受けてアナリスト予想の上方修正が進んできた(チャート1参照)。2025年の年末には、第2四半期と第3四半期の両方の企業利益がすでに「解放の日」時点の市場予想を上回っており、そのことがS&P500種指数の好調なパフォーマンスへとつながった。
チャート1:S&P500種指数構成企業の第2四半期と第3四半期の利益は市場予想越えのハードルが低下
(2025年第2四半期および第3四半期の予想EPSの推移)

出所:信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
期間:2023年1月13日~2026年1月13日
第4四半期決算発表シーズンに突入したなか、旺盛なAI設備投資需要を受けたテクノロジー企業の業績好調や金融セクターの規制緩和が追い風となり、市場では米国株式市場に対して強気な見方が広がった。そうした動きを受けて経済活動に弾みがつくと見込まれるほか、今後数四半期におけるFRBの追加利下げ期待も米国の追い風となっている。全体としてみると、足元の企業利益予想は依然として「解放の日」後の水準を下回って推移している。企業収益は「開放の日」前の水準へと向かって増加していくと期待されるが、今では市場予想越えのハードルが高くなっているとみられる。セクター・レベルの利益予想をより詳しくみてみると、今回はハードルをクリアするのがより困難になる可能性があると示唆される。
チャート2:第4四半期決算シーズンはS&P500種指数構成企業が超えるべきハードルがますます高くなっている
(2025年第4四半期の予想EPSの推移)

出所:信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
期間:2023年1月13日~2026年1月23日
ここ数ヵ月間においてテクノロジーおよび金融セクターの利益予想は、解放の日以降で最も大幅な上方修正がみられてきた。目下、四半期利益の前年同期比成長率はテクノロジー・セクターで約30%、金融セクターで約20%となっている。注目すべき点として、S&P500種指数の構成セクターのなかでも、利益予想が解放の日時点よりも高い水準へと上方修正されているのはこれら2セクターのみである(チャート3参照)。また、両セクターは主要最終市場がモノではなくサービスを中心としていることから、関税関連の下押し圧力を最も受けにくい。
テクノロジーと金融セクターを合わせるとS&P500種指数構成比率の半分近くを占めており、両セクターのより良好な収益見通しは同指数全体のパフォーマンスに非常に大きな影響を及ぼしてきた。これまでは、これら2つのセクターが業績上方修正の主な牽引役となったが、指数全体の利益成長が引き続き加速していくには、今度はそうした勢いが広がりをみせていく必要がある。つまり、資本財・サービス、一般消費財、コミュニケーション・サービス、ヘルスケアなど、今後関税の影響をより受けやすい可能性のあるセクターからの寄与拡大が求められることになる。
チャート3:S&P500種指数構成セクターのなかでテクノロジーと金融セクターはクリアすべきハードルが最も高い
(2025年第4四半期の予想EPS成長率、前年同期比)

出所:信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
ディフェンシブ資産
当月はディフェンシブ資産が堅調に推移して2025年を締め括った。ブルームバーグ・グローバル総合債券インデックスは月間上昇率が0.26%(米ドル・ベース、以下同様)となり、年間上昇率が8%強にのぼった。2025年には、米国債の10年利回りが0.37%低下、2年物利回りが0.77%低下するなど、多数の国で金利が低下した。また、金価格は目覚ましく好調に推移し、年間上昇率が65%を超えた。FRBは12月会合で利下げを決定し、これで政策金利が2024年に達したピーク水準の5.5%から3.75%まで低下している。トランプ大統領が利上げを迫り続けているほか、米国のCPI上昇率が鈍化して3%を下回っていることから、今後数ヵ月間における追加利下げ観測が浮上している。一方で米国以外に目を向けると、日本では物価上昇圧力と歳出拡大の組み合わせが債券市場の逆風となっており、債券利回りの上昇傾向が続いている。今月の当レポートでは、日本で解散総選挙が実施される可能性と、それが円相場と債券利回りに及ぼし得る影響について考察する。
ディフェンシブ資産に対する確信度の強い見解
- 投資適格クレジットの信用スプレッドに対しては慎重な姿勢:信用スプレッドは過去数四半期にわたって好調に推移し、2000年代半ば以来の低水準に達している。当面はスプレッドを拡大に転じさせる要因が出てくるとはみていないものの、スプレッドには平均回帰性があるという事実を踏まえ、クレジット物のスコアをマイナスに維持していく方針である。スプレッド・デュレーションを抑えるために、1~5年の短期物を引き続き選好している。
- 金は割高だが必要不可欠:金価格は過去1年間以上にわたって上昇傾向が続いておリ、米国のマネーサプライ対比でも割高な水準に達している。それでもなお、米ドル安期待、蔓延したインフレ、FRBの独立性が脅かされるリスクを背景に、金をめぐるマクロ環境は良好さを維持している。こうしたなか、政府の財政運営が中央銀行の金融政策を左右する状況となれば、金はソブリン債と比較して強力なヘッジ手段になる可能性がある。
- 物価連動債を取り入れることが有効:主要中央銀行が積極的に金融緩和を進めるなか、経済成長が上向きつつあり、コモディティ価格も上昇傾向にあるなど、足元ではインフレが再加速し始めつつある兆しがある。インフレとの戦いは道半ばとの見方が強まる場合に備える手段として、米国物価連動債(TIPS)を取り入れることが有効だと考える。
日本の解散総選挙
先日、高市首相は解散総選挙を行う意向を表明した。自身の高い支持率を活かし、日本維新の会との連立を通じてかろうじて衆議院の過半数議席を維持している自民党の基盤を強化することが狙いだ。高市人気の一因は、減税と現金給付を実施する意向を示していることにあり、日本の経済成長を促すためにより拡張的な財政政策運営を目指している。しかし、こうした政策にはリスクが伴う。日本は世界でも特に政府債務残高が大きく、1992年以降、財政収支の赤字が続いている。市場はこうした事実を強く意識するようになっており、日銀が緩やかなペースながら利上げサイクルを継続しているなかでも、解散総選挙の呼びかけを受けて円安傾向が続いている。多くの金融モデルは、円が過小評価状態にあることを示している。通常、内外金利差は為替相場に影響する主な要因の1つであり、日本の実質金利は徐々に上昇し始めている。チャート4が示すように、足元の市場では、日銀がタカ派的な動きを強めるシナリオではなく、高市首相の政権基盤が強化され財政拡張路線が強まる可能性に注目が集まっている。
チャート4:日米実質金利差と米ドル円相場の推移

出所:信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
期間:2017年1月3日~2026年1月15日
新たに連立を組むことで辛うじて発足した現政権にとって、衆議院の過半数議席を維持し、さらに獲得議席数を伸ばす結果になる保証は全くないが、与党にとって良好な結果に終わればインフレ方向に働くとの見方は出てきている。こうしたなか、市場ではインフレ期待が高まっており、最近の物価上昇傾向が定着していくなかで徐々に勢いを増している。日本は大量のエネルギーを輸入していることから、円安が進めばそうした動きに拍車がかかることに疑いの余地はないだろう。さらに、現金給付と減税も物価上昇の加速を招く可能性がある。そうなれば、日銀がタカ派的な姿勢を強め、金利が上昇していく展開になる可能性がある。しかし、過去18ヵ月間の緩やかな利上げペースが示唆するように、そうした展開となるまでには時間がかかる可能性もあるだろう。
チャート5:日本のインフレ率と10年ブレークイーブン・インフレ率の推移

出所:信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
期間:2013年10月31日~2025年12月31日
今後、日本国債についてはデュレーションを短めに維持することが得策と考えられる。解散総選挙の結果にかかわらず、日銀は利上げを続ける必要があると見受けられる。円については、中長期的な戦略的アセットアロケーションにおいてはスコアをマイナスとしているが、短期的な戦術的アセットアロケーションではスコアを中立としている。高市首相は財政拡張路線を目指しているが、2024年に日本とフランスで行われた解散総選挙はともに、それを決断した党にとって悲惨な結果に終わっていることから、市場が先走り過ぎているリスクもある。加えて、日米金利差は円に上昇余地があることを示しており、もし日銀が利上げを行う場合にはより日本に有利な状況となることから、慎重な姿勢を維持しながら重要イベントの行方を注視していく方針である。
プロセス
リターンの主要ドライバーを把握するためのインハウス・リサーチ:
