本稿は2026年4月24日発行の英語レポート「Balancing Act」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。
投資環境概観
米国とイランの衝突を受けてホルムズ海峡が封鎖される事態となり、エネルギー価格が高騰するなか、3月のグローバル株式市場は大幅に下落した。当初は衝突が短期間で終わると期待されたが、そうした見方が後退すると、世界中の株式市場が動揺し、大部分の資産市場でリスクオフ・ムードが広がった。さらに、投資家のあいだでは利下げ観測も後退し始め、先進国市場ではタカ派的な金融政策を織り込む動きが進んだことを受けて、世界の経済成長をめぐる懸念も強まった。厳しい市場環境が米国、欧州、アジアへと広がるなか、最終的にグローバル株式市場はMSCI All Country Worldインデックスで前月末比7.4%(米ドル・ベース)下落した。月末にかけては、停戦の可能性に関する発言等が出てきたことで状況はやや落ち着いたが、米国・イラン間の交渉にこれといった前進がみられず、市場では神経質な動きが続いた。
債券市場では、米国債利回りが急上昇した。債券利回りの上昇幅が0.30~0.44%にのぼり、イールドカーブ全体が上方にシフトした。注目を集めたのは中東における紛争の激化で、原油価格が高騰し、それに伴ってインフレ期待も高まった。米FRB(連邦準備制度理事会)は当月の中旬に開催した会合において、政策金利の据え置きを決定するとともに、地政学的動向を受けて先行き不透明感が強まっているとの認識を示した。当月は、ECB(欧州中央銀行)による割とタカ派的な発言や、RBA(オーストラリア準備銀行)による利上げなどを受けて、世界的に金利上昇リスクを織り込む動きが強まる展開となった。月末の米国債利回り水準は2年物の指標銘柄で月初比約0.42%上昇の3.80%、10年物の指標銘柄で同約0.38%上昇の4.32%となった。
オルタナティブ資産に目を向けると、金価格は、地政学的緊張が高まるなかでも、最近の上昇を受けた利益確定売りの動きや実質金利の上昇、米ドル高を受けて前月末比11.6%下落した。中東紛争の影響でエネルギー価格が高騰し、利上げ期待が高まったことで米ドルは魅力が増しており、「安全な逃避先」として好まれるようになっている。そうしたなかでも、第1四半期でみると金価格は8.0%上昇した。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油価格は、イラン紛争が2ヵ月目に突入するなか月間上昇率が51.3%にのぼった。ホルムズ海峡を通って海上輸送される原油の流れはほぼ遮断された状態にある。それによって同地域の精油所や石油プラントなどのエネルギー関連インフラが打撃を受けており、供給面のさらなる混乱をめぐる懸念が強まった。リート(FTSE NAREIT Global Real Estateインデックス)は前月末比で7.5%下落した。
クロス・アセット*
当月は、グロース資産のスコアをマイナスに引き下げるとともに、ディフェンシブ資産のスコアのマイナス幅を縮小した。グロース資産については、世界的に景気が改善してきているなか、好調な企業業績によって株価が下支えされるだろうと当初はみていた。しかし、イラン紛争が激化し、原油価格が急騰として1バレル=100米ドルを超えなか、リスクに対してより慎重な姿勢をとりつつ状況を見極めていくことが賢明であると判断した。現在は、緊張緩和の時期がより明確にみえてくるまで、グロース資産のスコアを小幅なマイナスに維持していく考えである。4月の上旬には米国とイランが2週間の停戦に入るなど、初めて明るい兆しがみられた。概して、紛争が比較的短期間で収束して原油価格が安定し始めるならば、経済への打撃は対処可能な範囲にとどまり、再びグロース資産のスコアを引き上げていくことができるとみている。一方、紛争が長引く場合には、原油価格の高止まりによって経済成長が圧迫され、インフレも高止まりするなかで株式市場がさらなる下押し圧力に晒される可能性が高い。そうしたなか、コロコロ変わる米大統領からの情報発信を踏まえてシナリオを調整していく必要があり、当面はある程度機動的に対応していくことが求められるだろう。
グロース資産のなかでは、これまでスコアをプラスにしてきた資産の多くについて、中東での紛争の行方がより明確になるまでスコアを中立とする方針とした。これを受けて、先進国株式と新興国株式のスコアを小幅なプラスから中立へと引き下げ、その分だけリートおよびインフラ投資のスコアを引き上げた。今年の企業業績の伸びについては引き続き有望視しているが、足もとでは、中東紛争がホルムズ海峡の封鎖という事態に至っていることを受けて陰りが出ている。今後数週間で紛争が終結する場合、今年の先進国株式の見通しは良好であるように見受けられる。実際、PER(株価収益率)は低下しておらず、市場では増益への期待も引き続き強い。先進国株式のなかでは、日本と欧州のスコアを小幅に引き上げる一方、カナダのスコアを引き下げた。日本と欧州は、足もとでバリュエーションの魅力度が増しているように見受けられることから、スコアを中立に戻した。その他、米国については、ナスダック100指数のPERが2025年の関税発表時と同様の水準まで低下しているなど、投資妙味が出てきているように見受けられる。中東の軍事衝突に収束の兆しがみられる場合には、新興国株式のスコアを再び引き上げる可能性がある。
ディフェンシブ資産では、ハイイールド債のスコアのマイナス幅を拡大する一方、先進国ソブリン債のスコアのプラス幅を拡大した(ただし、原油価格の上昇などを背景に、デュレーションは短めに維持する方針である)。投資適格クレジットのスコアは小幅なマイナスに、新興国現地通貨建て債券のスコアはプラスに維持した。ハイイールド債のスコア引き下げの理由としては、スプレッドがタイトな水準にあり、過去長年の間と異なりハイイールド債の保有により得られるリターンが乏しいことが挙げられる。中東紛争を受けてスプレッドの拡大が続く場合には、ハイイールド債のスコアの再引き上げを検討するつもりだが、当面はやや慎重な姿勢を維持している。現在はリスクを取っていくには情勢が不安定であることから、デュレーションの長期化を検討するのは、ホルムズ海峡の封鎖解除や原油価格の正常化の兆しがみられてからとなる可能性が高いだろう。
*マルチアセット・チームのクロス・アセット見解は、(1)グロース対ディフェンシブ、(2)グロースおよびディフェンシブ資産内でのクロス・アセット、(3)各資産クラス内での相対的な資産の見方、という3つの異なる段階で示しています。これらの段階は、選好順位の水準は資産クラスが予想可能な形で似た動きあるいは異なる動きを見せるという当社のリサーチおよび直感的認識を表しており、したがって、資産クラスのクロス・アセットでのスコアリングは理に適っているとともに、最終的により熟考された堅固なポートフォリオ構築につながると考えます。
資産クラスの選好順位(2026年3月末時点)

注)上記のアセットクラスおよびセクターの選好順位とスコアは、マルチアセット・チームの現在の投資見解を反映したものです。リサーチ・フレームワークは3つの段階の分析に分かれています。スコアは、各資産に対する同チームの相対的見方(各資産が属する資産クラスの他の資産対比)を表しています。
各資産クラス内のスコアは、コモディティを除き、平均すると中立となります。これらは投資リサーチまたは投資推奨助言に該当するものではありません。セクターや経済、市況トレンドに関する予見、予測または予想は、それらの将来の状況またはパフォーマンスを必ずしも示唆するものではありません。
当社の見方
グロース資産
米国・イラン間での地政学的緊張の高まりを受けて、グロース資産は2025年序盤以来となるボラティリティの急激な高まりに直面している。このように先行き不透明な状況が続いているなか、株式全体について中立的な見方をしている。速やかに解決へと至れば2026年の見通しは明るいものとなるだろうが、衝突が長引き、原油価格が100米ドルを上回り続ける事態となれば、世界的に景気が圧迫され、株式市場が下押し圧力に晒される可能性がある。とは言え、イランの軍事力が急激に弱体化していることから、長期的な経済的損害が生じる前に合意に達する可能性があると引き続き期待している。
このように不安定な情勢にあるが、中東での軍事衝突が起こる前までは企業利益を取り巻く環境はかなり良好だった。次の決算シーズンは、足もとにおける企業の利益成長の軌道を改めて見極める機会となるだろう。テクノロジー・セクターのなかで他に先駆けて発表された台湾のテクノロジー企業の業績は好調に推移しており、大半の先進国においても収益期待は引き続き高い。一方、紛争の影響が織り込まれるにつれて状況は変わる可能性もある。足もとではPERが年初時点と比較して割安な水準にあり、ある程度の業績下振れは許容される余地があるほか、見通しが急速に明るくなる可能性もあると引き続きみている。
グロース資産に対する確信度の強い見解
- 株式全体について中立的な見方:先進国株式のスコアを再び中立へと引き下げた。新たな動きとして米国とイランが停戦に至ったことで、和平合意に達する確率は高まっているが、交渉では互いが譲らず、許容可能な結末について双方で隔たりがあることから、その行方を見通し難くなっている。したがって、状況がより明確になるまで、中立的なスタンスを維持する方針である。
- 米国株式のスコアを中立に維持:テクノロジーやヘルスケアのイノベーション(革新)を原動力とする企業収益の長期的な成長性から、米国株式を引き続き選好している。また、今後数年間でAI(人口知能)関連の設備投資が大幅に拡大することを受けたデータセンターからのエネルギー需要の増加も追い風になるとみている。中央銀行の対応や輸入関税懸念の緩和など、市場にはポジティブ・サプライズが起こる可能性が残っている。足もとでは企業業績に上方修正の動きがみられており、株式の益回りの水準も過去平均へと向かいつつあることから、バリュエーションが再び魅力的な水準となっている。一方、米国のスコアを大幅なプラスへと引き上げることについては慎重な姿勢を維持している。中東紛争が長期化すれば株式市場の重石となる可能性があり、2022年の事例が物語るように、原油価格が高止まりし、それを受けて金利が上昇する事態となればテクノロジー企業の業績悪化を招きかねないからだ。
- 新興国株式を有望視:3月末時点では新興国株式のスコアを中立へと引き下げたが(「資産クラスの選好順位」を参照)、バリュエーションが魅力的な水準となっていることや、米ドルが下落する場合には新興国株式を下支えするとみられることから、足もとではスコアを再びプラスに引き上げている。米ドル安の展開となれば、新興国の中央銀行は自国通貨を防衛する必要性が低下することや、経済活動を押し上げるための利下げ余力がもたらされるとみられることから、新興国資産の追い風となる。新興国のなかでは、コモディティへのエクスポージャーをもたらすとともに、インフレ率の低下を受けて実質金利が高水準にある中南米諸国を有望視している。また、AI関連の設備投資展開という長期的な成長トレンドへのエクスポージャーとして、半導体の主要サプライヤーでありテクノロジー・セクターの占める割合が大きい台湾も選好している。
- コモディティ関連株のスコアをプラスに維持:コモディティ関連株は長期的にインフレに対して優れた分散投資効果を提供し続けるとの考えに変わりはない。また、中東地域で続いている紛争の影響に対する防衛手段ともなっている。コモディティ関連セクターのファンダメンタルズは、景気循環的にも長期的にも依然有望である。
ナスダック100指数は底打ちしたのか
米国とイランの協議の膠着が続き、市場がリスクオフ・ムードに転じるなか、ナスダック100指数はファンダメンタルズからみて投資妙味が出てきているか、という疑問が生じ始めている。原油価格高を受けて世界経済が減速するリスクは依然として大きいものの、当社独自の株式リスクプレミアム指標は今や、2025年序盤に米国政府が追加関税を発表した時期と同じくらい割安な水準にある。これが好機であることを示す分かりやすい例を挙げると、ナスダック100指数の予想PER(12ヵ月先の利益予想に基づく)は、それまで3年間にわたって上昇基調が続き、過去5年最高値に迫る水準で推移してきたのち、今では過去5年最低値近くまで低下している。同指数の構成銘柄でもある「マグニフィセント・セブン」の予想PERをみてみても、Nvidiaが21倍、Microsoftが20倍、Amazonが24倍というように過去5年で最も低い水準にある。こうした状況が訪れているが、AI関連の投資テーマは力強く前進し続けており、その勢いを活かすことができる企業に大きな成長の可能性をもたらしているとの見方に変わりはない。
そうしたPERの推移について考察する際には、それに向こう12ヵ月間の利益成長をめぐる市場予想が色濃く反映されている点にも留意しなければならない。チャート1が示すように、予想PERは市場による12ヵ月先の利益予想に基づいており、中東紛争を受けてボラティリティが極端に高まっている可能性があると言える。
チャート1:ナスダック100指数の予想PERは過去5年間の最低水準に接近

出所:信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
下のチャート2をみてみると、ナスダック100指数のEPS(1株あたり利益)の市場予想は依然として非常に強気な水準にあり、向こう12ヵ月間で30%超の成長が見込まれている。注目すべき点として、米国市場の予想EPSは非常に正確な傾向にあり、予想が外れたのは主に、経済が波乱に見舞われた2008年、2012年、2018年、2022年などの局面である。確かに、米国・イラン間の紛争がその最新の事例となる可能性もあるが、米国とイランの和平協議が早期での合意に達する場合には、これまで通り大幅な増益傾向が続くとみている。PERが割安な水準にあり、EPSも好調な伸びを示していることから、中東での紛争が何らかの解決に至れば、米国株式市場にとって非常に強気のシグナルとなる可能性がある。
チャート2:ナスダック100指数の12ヵ月先予想EPSと過去12ヵ月実績EPSの推移

出所:信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
S&P500種指数に代わってナスダック100指数を選好する姿勢を再び強めてきてはいるが、米国株式のスコアを中立からプラスへと本格的に引き上げるまでには至っていない。下のチャート3は、中東の紛争が長引けばナスダック100指数の重石となる可能性があることを示している。2022年の事例のように、原油価格高を受けて金利が上昇すればテクノロジー・セクターの企業業績を下押ししかねない。過去5年間においては、原油価格が1バレル=85米ドルを超える水準まで上昇するたびに、ナスダック100指数のPERが大幅に低下してきている。それ故、ホルムズ海峡の封鎖が解除されれば、PERが急ピッチで上昇すると考えられる。それがいつになるかは誰にも分からないが、ナスダック100指数のファンダメンタルズは良好であることから、今こそ米国テクノロジー株に再注目し始めるべき時かもしれないと考えている。
チャート3:ブレント原油先物価格が1バレル=85米ドルを超えた局面とナスダック100指数のPERの推移

出所:信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
ディフェンシブ資産
3月はディフェンシブ資産のパフォーマンスが低迷し、ブルームバーグ・グローバル総合債券インデックスは前月末比で3%超(米ドル・ベース、以下同様)下落し、年初来リターンもマイナス圏に転落した。原油価格が上昇してインフレ圧力再燃への懸念が強まるなか、米国債市場は大幅に下落した。米国債10年物利回りは月末時点で4.32%となり、上昇幅が0.38%にのぼった。そうした苦境の大部分は米国政府が自ら招いたものとも言える。米国がイランを攻撃したことで、ホルムズ海峡が封鎖され、原油価格が1バレル=100米ドルを超える事態となった。当月、主要中央銀行の多くがタカ派的な姿勢を強め、市場ではFRBの利下げ観測がすっかり後退した。今月の当レポートでは、債券と株式が正の相関関係にあり、足もとの市場環境において資産防衛手段がほとんど存在しないことを改めて認識させられるなか、安全資産としての米ドルについて考察する。
ディフェンシブ資産に対する確信度の強い見解
- 投資適格クレジットのスコアをマイナスに維持、ハイイールド債はスコアのマイナス幅を拡大:2026年に入っても信用スプレッドは縮小傾向が続き、2000年代半ば以来の低水準に達している。当面はスプレッドの拡大を招き得る要因が出てくるとはみていないものの、スプレッドには平均回帰性があるという事実を踏まえ、クレジット物のスコアをマイナスに維持していく方針である。スプレッド・デュレーションを抑えるために、1~5年の短期物を引き続き選好している。また、ハイイールド債についても、バリュエーションが引き続き割高な水準にあり、モメンタムは依然良好ながら失速しつつあり、マクロ環境も中立的であることから、一段と慎重な見方を強めている。
- デュレーションについては中立的なスタンス:債券利回りは原油価格高を受けて大幅に上昇し、足もとでは再びレンジの上限付近で推移している。米国については引き続き短期債を選好する一方、イールドカーブがよりスティープ化しており、景気も低迷していることから金利見通しがより良好なフランスとカナダについては、長期債を選好している。
- 物価連動債:主要中央銀行が金融緩和を進めるなか、経済成長が加速しつつあり、コモディティ価格も上昇傾向にあるなど、足元ではインフレ圧力が再燃し始めつつある兆しがある。インフレとの戦いは道半ばとの見方が強まるなか、米国物価連動債(TIPS)は有効な防衛手段になっているとみている。
米ドルは紛争時における安全資産
3月にはイラン紛争を受けてホルムズ海峡の封鎖状態が続いたが、エネルギー価格上昇の影響は総合CPI(消費者物価指数)のデータにも表れ始めている。米国CPIの前年同月比上昇率は2月時点で2.4%だったが、3月時点では3.3%へと急加速し、他の地域でも同様の加速が見込まれている。2025年の終盤以前であれば、ファンドマネージャーたちはインフレや地政学的リスクに備えるヘッジ手段として直感的に金を買っていただろうし、それが紛争時における主なポートフォリオ防衛手段の1つとなっていただろう。しかし、2025年の終盤以降、金は原油と反対方向の値動きを示すとともに株式よりもボラティリティが高まっているなど、全体的なリスクを増幅させる傾向にある。したがって、当社では、こうした局面下で保有すべき主な安全資産として、金ではなく米ドルにフォーカスするようになった。
ホルムズ海峡の封鎖が続くシナリオでは、原油価格が高止まりする可能性が高い。やがて、エネルギー価格高は他の分野の物価にも波及していくだろう。ホルムズ海峡封鎖で肥料の供給が滞っていることを受けて、食料品価格も上昇が見込まれる。インフレが加速するにつれ、消費者のあいだでは裁量的支出が抑えされ、需要が減少していくことになる。RBAやECB、イングランド銀行などの中央銀行はすでにインフレ抑制への決意を示しており、市場では利上げを織り込む動きがみられ始めていることから、金利は高止まりする可能性がある。そうなれば、消費者需要減少と金利上昇を受けて企業収益が圧迫され、株式市場に悪影響を及ぼしかねない。FRBはタカ派的な姿勢に転じていないものの、市場では2026年内の利下げ観測が概ね後退している。そうなると、金利差が米ドルへ有利に働き、米ドル高が進むとみられる。原油価格と米ドル相場の相関性も引き続き高いことから(チャート4参照)、紛争が長引く場合には米ドルを保有することで、他の資産クラスからの損失を軽減する効果が期待できる。
チャート4:ブレント原油先物価格と米ドル(米ドル指数)の推移

出所:信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
一方、紛争が終結する場合、原油価格が下落してトレンド水準へと戻る可能性が高い。また、各国中央銀行がエネルギー価格ショックの収束を見越すようになる可能性があることから、市場では利上げの織り込みが解消されていくとみられる。株式市場についても、最近の調整局面を経てバリュエーションが非常に魅力的な水準にあると見受けられる米国を中心に、上昇傾向を辿ると予想される。市場が米国の利下げを織り込み始めるにつれ、米ドルは逆風に直面するとみているが、リスク資産の値上がりによって米ドルの下落分は十分に相殺される可能性がある。
他の国々も紛争に巻き込まれる前に解決策を見つけ出したいことから、ホルムズ海峡の封鎖は割と早いうちに解除されると予想しているが、米国・イラン間の交渉難航を受けて市場のボラティリティが高まっており、当面はリスク資産に下押し圧力がかかり続ける可能性もある。幅広いリスク資産において魅力的なバリュエーションに着目した投資機会が生まれているなか(上述のナスダック100指数など)、引き続き他のリスク資産との負の相関関係を示しており、ポートフォリオのリスク低減を期待できる米ドルを保有しておくことにもメリットがあるとみている。
プロセス
リターンの主要ドライバーを把握するためのインハウス・リサーチ:
