本稿は2026年6月23日発行の英語レポート「Balancing Act」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。
投資環境概観
5月のグローバル株式市場は、AI(人工知能)設備投資関連を中心とするテクノロジー銘柄の好調継続を受けて続伸し、MSCI All Country Worldインデックスは企業利益の底堅い推移を追い風として月間上昇率が5.0%(米ドル・ベース、以下同様)に上った。欧州では、ユーロ圏の第1四半期GDP成長率が前期比0.1%となったほか、5月の総合PMI(購買担当者景気指数)の速報値が47.5となり、2年半ぶりの低水準へと低下した。アジアでは、市場を席巻中のAI関連テーマの恩恵を享受する韓国と台湾市場が当月も際立って堅調に推移した。そうしたなか、ホルムズ海峡の封鎖解除をめぐる協議など、米国とイランの交渉の行方に引き続き注目が集まった。暫定基本合意に達したと報道されたものの、交渉の結末は依然不透明である。
債券市場では、米国とイランの紛争をめぐる地政学的動向の目まぐるしい変化や、経済指標の底堅い推移、米FRB(連邦準備制度理事会)のタカ派的姿勢の強まりを受けて、米国債市場のボラティリティが高まった。当初に米国とイランの和平合意期待が高まり、束の間ながらリスク選好ムードが広がって原油価格が下落したことを受けて、債券利回りは一時低下した。しかし、そうした期待はすぐに後退し、債券利回りは再び上昇に転じた。また、米国の物価統計や雇用統計が相次いで市場予想を上回る結果となったことを受けて、米国債市場では売り圧力が強まった。市場ではFRBの政策見通しの見直しが進み、2027年前半までに1回の利上げが実施されるとの見方を織り込む動きが強まっている。月末にかけては、米国とイランが戦闘終結に向けた基本合意に近づいているとの報道が追い風となり、原油価格が下落するとともに幅広い先進国の債券利回りが低下した。月末の米国債利回り水準は2年物の指標銘柄で前月末比0.133%上昇の4.00%、10年物の指標銘柄で同0.065%上昇の4.44%となった。
伝統的な株式や債券以外の市場に目を向けると、紛争の影響による物価上昇を受けて、FRBを含む世界の主要中央銀行がインフレ加速を避けるために利上げを実施する可能性が高まるなか、金価格は前月末比1.7%下落した。また、依然として障害は残っているものの、米国とイラン間の合意が実現してホルムズ海峡の船舶運航が再開されるとの見方が広がったことを受けて、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油価格は前月末比16.9%下落した。リート(FTSE NAREIT Global Real Estateインデックス)は前月末比で0.1%下落した。
クロス・アセット*
当月は、グロース資産のスコアを中立へと引き下げる一方、ディフェンシブ資産のスコアをプラスへと引き上げた。グロース資産については、3月末以降の堅調な推移を受けてバリュエーションが高水準に達していることを反映し、スコアを変更した。これまで堅調に推移してきたリスク資産のスコアを引き下げ、いくつか存在する当面の逆風要因に備えてより堅実な姿勢で臨むこととした。旺盛な需要動向を受けてインフレが再燃しているように見受けられるほか、中東で続いている紛争の行方も依然不透明である。しかし、企業利益の力強い伸びや世界的な景気回復を踏まえ、グロース資産には中立なスタンスとしている。
グロース資産のなかでは、企業利益の大幅な伸びや見通しの上方修正を受けて先進国株式と新興国株式のスコアをプラスに維持した。コモディティ関連株については、中東紛争の行方が依然として非常に不透明で予断を許さないことから、スコアを中立に維持した。リートとインフラ投資については、他の資産クラスの方がリスク・リターン特性の魅力度が高いとの判断から、スコアをマイナスに据え置いている。
先進国株式のなかでは、AI関連の設備投資動向を牽引役としてテクノロジー企業の利益が大幅に伸びているなか、バリュエーションが魅力的な水準にある米国のスコアをプラスに維持した。同様に、カナダのスコアもプラスに維持している。カナダについては、より景気に敏感な金融や資源などのセクターの割合が大きく、世界的な景気拡大局面の恩恵を受けるとみられるほか、テクノロジー・セクターの割合が大きい米国株式からの分散効果も十分に期待できるとみている。バリュー株の比重が大きく、配当利回りが魅力的な水準にある英国はスコアをプラスに維持した。欧州とオーストラリアは、バリュエーションに割高感があるほか、中央銀行のタカ派姿勢の強まりがリスク資産への逆風となる可能性があることから、スコアをマイナスに維持した。シンガポールはバリュエーションが割高な水準にあることからスコアをマイナスに維持し、日本については、日銀がタカ派的な姿勢を示しているものの、企業収益が市場予想を上回る推移を見せていることからスコアを中立に維持した。
ディフェンシブ資産のスコアを引き上げた理由としては、投資しやすい水準まで価格が調整した金に対して明るい見方をしていることなどが挙げられる。ソブリン債についても、債券利回りが上昇しており、より投資しやすい水準となっている。ハイイールド債と投資適格債の両方に対して引き続き慎重な見方をしているが、好機が訪れる場合にはスプレッドの拡大を捉えてスコアを引き上げていく方針である。
ディフェンシブ資産のなかでは、ハイイールド債と投資適格クレジットのスコアをマイナスに維持した。スプレッドが過去最低に迫るタイトな水準にあり、過去長年の間と異なりこれらの債券の保有により得られるリターンは乏しい。新興国現地通貨建て債券については、世界的なインフレ加速と内外金利差拡大を受けて円安が進み、為替差益の恩恵をもたらすとみていることから、スコアを小幅に引き下げたもののプラスに維持した。先進国ソブリン債は、ヘッジ後ベースの利回り水準が相対的に高い国を有望視しており、スコアのプラス幅を若干引き上げた。金については、最近の市場の調整を受けて魅力的が高まっているように見受けられることから、スコアのプラス幅を引き上げた。
*マルチアセット・チームのクロス・アセット見解は、(1)グロース対ディフェンシブ、(2)グロースおよびディフェンシブ資産内でのクロス・アセット、(3)各資産クラス内での相対的な資産の見方、という3つの異なる段階で示しています。これらの段階は、選好順位の水準は資産クラスが予想可能な形で似た動きあるいは異なる動きを見せるという当社のリサーチおよび直感的認識を表しており、したがって、資産クラスのクロス・アセットでのスコアリングは理に適っているとともに、最終的により熟考された堅固なポートフォリオ構築につながると考えます。
資産クラスの選好順位(2026年5月末時点)

注) 上記のアセットクラスおよびセクターの選好順位とスコアは、マルチアセット・チームの現在の投資見解を反映したものです。リサーチ・フレームワークは3つの段階の分析に分かれています。スコアは、各資産に対する同チームの相対的見方(各資産が属する資産クラスの他の資産対比)を表しています。
各資産クラス内のスコアは、コモディティを除き、平均すると中立となります。これらは投資リサーチまたは投資推奨助言に該当するものではありません。
セクターや経済、市況トレンドに関する予見、予測または予想は、それらの将来の状況またはパフォーマンスを必ずしも示唆するものではありません。
当社の見方
グロース資産
中東で紛争が続くなかでも世界的な景気拡大が続いており、グロース資産は引き続き魅力的だと考える。しかし、3月末から堅調な推移が続いてきたことからひとまずは利益確定を進める機会と捉えるとともに、バリュエーションが過去水準に比べて割高な水準にあることから、リスク資産に対してより慎重な姿勢をとることとした。また、中東における紛争の行方も依然不透明である。より長期的に見ると、企業利益の堅調な伸びや良好な見通しが大きな追い風となっており、グロース資産は引き続き魅力的である。巨大IT企業によるAI設備投資が、世界中のサプライチェーンにおける旺盛な需要の原動力となっており、企業の売上高や利益の押し上げに寄与している。企業の利益率は引き続き拡大しており、グロース資産への追い風となっている。また、米国の経済指標は底堅さを維持し、小売売上高が好調に推移するなか、労働市場も持ちこたえている。こうした流れなどを受けて、当初強まっていたスタグフレーション懸念は和らいだ。
中東情勢の動向については、先行きを見通す上で依然として極めて重要な要素となっており、引き続き注視している。米国とイランの衝突によるインフレへの影響は、その初期兆候が見られ始めているが、リスク選好ムードを妨げるまでには至っていない。停戦と交渉が続いていることは追い風となっているが、より恒久的な紛争解決の兆しが見られることがグローバル市場の好調維持に不可欠であると考えている。なお、紛争が再燃し、それに伴うコモディティ価格上昇を受けて世界的に利上げが行われ、最終的に経済成長に急ブレーキがかかるリスクは存在する。
グロース資産に対する確信度の強い見解
- 米国株式のスコアをプラスに維持:設備投資ブームに沸くなか企業利益や業績見通しの底堅い推移が続く米国に対しては強気な見方を維持している。企業利益が大きく伸びていることからバリュエーションに割高感はなく、テクノロジーやヘルスケアのイノベーション(革新)を原動力とする長期的な成長トレンドから、米国株式を引き続き選好している。また、今後数年間でAI関連の設備投資が大幅に拡大することに伴うデータセンターからのエネルギー需要の増加も追い風になるとみている。
- 英国株式を有望視:英国株式については、配当利回りが高く、相対的にベータ値が低い傾向にあるなど、ディフェンシブ特性を好感し、スコアをプラスに維持した。米国はテクノロジー・セクターの比重が大きいが、それに対して英国は金融、生活必需品、ヘルスケア、資本財・サービス、エネルギーなどのセクターが代表的で、分散効果をもたらす。
- 新興国株式のスコアをプラスに維持:新興国株式は、米国で続く好調な設備投資動向が追い風となっているなか、バリュエーションが魅力的な水準にあることから、引き続き有望視している。また、米ドル安の展開となれば、新興国の中央銀行は自国通貨を防衛する必要性が低下することや、経済活動を押し上げるための利下げ余力がもたらされることから、新興国株式の追い風になると期待される。新興国のなかでは、AI関連の設備投資展開という長期的な成長トレンドへのエクスポージャーとして、半導体の主要サプライヤーでありテクノロジー・セクターの占める割合が大きい台湾を選好している。
- コモディティ関連株のスコアを中立に維持:中東紛争は緊張激化のピークが過ぎ去ったものの、その行方は依然不透明とみていることから、コモディティ関連株に対しては中立的なスタンスを維持した。コモディティ関連株は長期的にインフレに対して優れた分散効果を提供し続けるとみられるとともに、同セクターのファンダメンタルズは、景気循環的にも長期的にも依然有望である。
金属・鉱業セクター:ポートフォリオにおいて果たす役割の変化
需要環境の変化や供給面の制約、地政学的な分断の深まりが追い風となり、産業用金属価格は大幅に上昇してきた。これらの動向は、金属・鉱業セクターがポートフォリオにおいて果たす役割の戦略的重要性が、以前のコモディティ・サイクルの時よりも高まっている可能性があることを示唆している。コモディティは、テクノロジー・セクター主導の設備投資に注目が集まるなかで優れた分散効果をもたらし、また、有形の実物資産であることからインフレ対策に有効である。
投資家のあいだでは、金属のファンダメンタルズは中国需要に大きく左右されるとの見方が依然大方を占めているが、当社では、コロナ禍以降、とりわけChatGPTがリリースされた後の急速なAI普及を受けて、新たな需要構造が顕在化したとみている。太陽光発電、風力タービン、電気自動車などのグリーン(環境配慮型)分野では、生産過程において格段に大量の金属を必要とする。そうした移行の流れは、ホルムズ海峡封鎖による石油危機を受けて自ずと加速した。また、AI、そしてデータセンターの建設においても、大量の金属を用いるインフラの大規模な整備が必要であることから、構造的需要を一層拡大させる要因となっている。一方で、鉱業生産は追い付いていない。世界最大の銅生産国であるチリは、2025年後半以降、一部の鉱山における操業停止などを受けて銅生産量が減少している。また、中東での武力衝突において世界最大級のアルミニウム精錬所が破壊される事態ともなった。
世界の銅供給動向を示す指標として、世界市場シェアが25%と大きいチリの生産量を用いた場合、2026年には銅生産量が前年比で減少しているが、それと同時に世界のPMIは上向いてきている(チャート1参照)。歴史を振り返ってみると、このようにPMIが上昇する局面では、旺盛な需要に対して供給が十分に追い付いていないことを受けて、ベースメタル価格が大幅に上昇してきた(例:2010~2011年、2016~2018年、2021~2022年)。
チャート1:世界の銅需給動向

出所:信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
中長期的に見ると、鉱山企業は前回のコモディティ・サイクルを経てより規律ある事業運営を行うようになっている。積極的に事業を拡大するのではなく、設備投資について慎重な姿勢を維持し、過去の需要拡大局面で見られたような過剰な支出を避けてきた(チャート2参照)。この背景には、ESG面の要件や許認可上の制約によって新規鉱山プロジェクトの開発がより困難になり、開発ペースがより遅くなっていることがあるとみられる。また、規制面のハードルもあることで開発プロジェクトの複雑性が増し、供給拡大が遅れてきた。その結果、当面は生産段階に差し掛かりつつある新規鉱山プロジェクトが見当たらず、供給面の制約がさらに続くことから、当資産クラスに対する強気な見方を強めている。
チャート2:銅鉱山企業大手の設備投資額の推移

出所:信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
また、地政学的な情勢も、金属を取り巻く環境を一変させている。第1次トランプ政権時は、世界の貿易枠組みが混乱し始めた初期段階とみなすことができるかもしれない。そして、トランプ大統領の2期目では貿易戦争が再燃し、さらに拡大したが、これはより持続的な変化を表している。輸入関税の脅威に市場は動揺し、それを受けて米国の輸入業者が在庫を積み増し始めたことで、輸入量が拡大してきたとともに、サプライチェーンにおける「万が一に備える」という姿勢が強まっている(チャート3参照)。トランプ政権が短期的に政策を変更する可能性はあるものの、国際社会からの信頼は低下しており、国家安全保障のために戦略的備蓄の拡大に動く国が増える可能性が高いとみられる。こうした動きなども、銅に対する強気な見方を裏付けるものとなるだろう。
チャート3:米COMEX(ニューヨーク商品取引所)の銅在庫の推移

出所:信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
ディフェンシブ資産
5月はディフェンシブ資産のパフォーマンスが冴えなかった。グローバル債券市場(ブルームバーグ・グローバル総合債券インデックス)は前月末比で0.34%上昇した。米国債10年物利回りは一時4.6%まで上昇したが最終的には上昇幅が縮まって4.4%となり、日本国債10年物利回りは4月に続いて前月末比で約0.15%上昇した。信用スプレッドはタイトな水準にとどまっており、米国5年物CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)のスプレッドは0.50%近辺で推移している。インフレ率が主要中央銀行の目標を上回って推移しているなか、債券利回りに上昇圧力がかかっている。今月の当レポートでは、世界的に債券利回りが上昇するなか、内外金利差の拡大を受けて進んでいる円安の動きについて考察する。
ディフェンシブ資産に対する確信度の強い見解
- 投資適格クレジットのスコアをマイナスに維持:信用スプレッドは中東紛争を受けてボラティリティが高まっているものの、引き続き過去最低水準近辺で推移している。米国の景気は引き続き好調だが、スプレッドは歴史的に平均回帰性を示してきていることから、何らかの悪材料が出てくる場合にはスプレッドが拡大するものとみている。また、スプレッドがタイトな水準にあり、金利が大幅に上昇した場合に影響を吸収できる余地がほぼないことからも、投資適格クレジットについては慎重な姿勢を継続し、デュレーションを短めに維持していく方針である。
- デュレーションについては中立的なスタンス、米国債に対しては慎重な姿勢:5月のCPI(消費者物価指数)上昇率が加速を示したことを受けて、債券利回りは引き続きレンジの上限付近で推移している。米国債についてはデュレーションを短めに維持する一方、カナダとフランスについては、イールドカーブがよりスティープ化しており、景気も低迷していることからスコアをプラスに維持している。
円安
2025年6月以降、日本の実質金利が徐々に上昇し、従来から為替相場の決定要因の1つとなってきた内外金利差が縮小する一方で、円安が進んでいたことから、円は過小評価されているとも言えそうな状況にあった。内外金利差縮小の原動力となったのは、市場で日銀の利上げサイクルの継続に加えて、米国の利下げを織り込む動きが進んだことだった。しかし、そうした予想は外れることとなった。米国とイランの衝突が始まり、原油価格が上昇しインフレが加速したことを受けて、足元の市場では世界的な利上げサイクルの織り込みが進んでいる。
円相場は2025年の半ばに内外金利差から乖離した一方、興味深いことに日本国内の10年ブレークイーブン・インフレ率との密接な連動性を維持し、インフレ期待の高まりに伴って円安が進んできた(チャート4参照)。市場がブレークイーブン・インフレ率の上昇を織り込んでいる背景には、日銀のインフレ対応が市場の信認を得られていない点が挙げられる。日銀がインフレを抑制して長期的なインフレ期待を落ち着かせることができる場合は、円高方向に働くだろう。状況を改善するためには、日銀も他の先進国の中央銀行のように、より積極的に利上げを実施していく必要があるとみられる。そうしなければ、日銀は円を下落圧力に晒し続けてしまうリスクがある。しかし、日銀は市場に先回りして動く意向を示していないことから、当社では利上げペースが加速してブレークイーブン・インフレ率が低下し、円が下支えされる展開になるとは予想していない。
チャート4:米ドル円相場と日本の10年ブレークイーブン・インフレ率の推移

出所:信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
また、原油価格と円の前年比変動率のあいだには引き続き強い相関性が存在している。チャート5が示すように、過去10年間において原油価格は米ドル円相場に対し6ヵ月程度先行して動く傾向を示している(米ドルが上昇すると円安が進行)。したがって、米国とイランの紛争が再開されれば、円安方向の動きが続く可能性が高いだろう。
チャート5:米ドル/円(前年比変動率)と原油価格の推移

出所:信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
これまで、日本の当局は、1米ドル=160円の水準(事実上のレッドライン)を大きく上回る可能性があるとき、為替市場に介入する傾向にあった。ただし、現在もそうしたスタンスを維持しているかは疑問であるように見受けられる。直近の為替介入の効果は1ヵ月しか持続せず、円相場は再び1米ドル=160円付近へと戻ってしまった。為替介入はコストが高いものの効果が低下していることが判明しており、その代わりに、通貨防衛を図るとともにインフレ抑制を促する手段としてより持続的な効果を発揮するであろう利上げを選択する方が理に適っている。しかし、この選択肢にはより大きな問題が伴う。政府債務残高対GDP比が高水準にあり、すでに貸出の伸びも低迷しているなか、金利が上昇すれば経済成長を阻害する可能性があるからだ。日銀は綱渡り的な政策運営を続けるなか、円相場を安定させるためにはより大胆な動きが必要とみられるが、そうした意欲は乏しいように見受けられる。
プロセス
リターンの主要ドライバーを把握するためのインハウス・リサーチ:
