本稿は2026年7月24日発行の英語レポート「Balancing Act」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。

6月のグローバル株式市場はまちまちなパフォーマンスを示し、MSCI All Country World インデックスは前月末比で[要確認:PDF抽出では「09%」]下落した(米ドル・ベース)。バリュエーションや投資資金の集中リスクをめぐる懸念が強まり、AI(人工知能)関連銘柄のボラティリティが高まったほか、米FRB(連邦準備制度理事会)の利上げ観測の台頭もさらなる逆風となった。FRBは6月会合で政策金利の誘導目標を3.5~3.75%に据え置いたが、利上げに踏み切る準備はできていることを示唆した。米国の経済指標は、インフレ圧力が高止まりするなかでも、引き続き底堅く推移した。欧州株式は、原油価格の下落や地政学的緊張の緩和が追い風となり、相対的に堅調に推移した。月の半ばにはホルムズ海峡の封鎖解除に向けた暫定合意が発表されたものの、投資家のあいだでは米国とイランの停戦協議のさらなる進展を待って様子見姿勢が広がった。

債券市場に目を向けると、当月も米国債市場はボラティリティの高い展開となり、月の序盤には低迷したが、米国とイランが衝突の終結に向けた基本合意に署名したことを受けて一転好調に推移したのち、FRBの政策決定会合後に再びやや弱含んだ。月の初めに債券利回りが上昇した背景には、中東紛争をめぐる先行き不透明感が根強いなか、原油価格が上昇すればインフレが加速するとの懸念が広がり、市場で世界的な利上げの織り込みが進んだことが挙げられる。米雇用統計が市場予想を上回る結果となったことで、FRBが近いうちに金融引き締めに動くとの見方が一段と強まった。その後、米国とイランによる基本合意を受けて原油価格が急落すると、市場センチメントが変化して世界的に債券利回りが低下したが、FRBの政策決定会合の結果を受けて再びやや上昇した。政策金利見通し(ドットチャート)やインフレ見通しが上方修正されたほか、[要確認:PDF抽出では読点が重複]新FRB議長が明確なフォワードガイダンスを示さなかったことが、市場ではタカ派的なシグナルと解釈された。その後、株式市場全体が売り圧力に押されるなか、投資家のあいだで安全資産に対する需要が高まり、月末にかけて米国債利回りは再び低下した。月末の米国債利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.17%上昇の4.18%、10年物の指標銘柄で同0.03%上昇の4.47%となった。

伝統的な株式や債券以外の市場においては、金利先高観を受けて投資家のあいだで金に対する悲観的な見方が強まり、金価格は前月末比11.7%下落した。米経済指標が市場予想を上回ったことやドル高が進んだことも金価格へのさらなる逆風となった。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油価格は、引き続きエネルギー市場参加者の注目が米国とイランの協議再開の可能性に集まるなか、月間下落率が20.4%に上った。両国が戦闘停止に向けて14項目からなる基本合意に達したことを受けて、戦略的に極めて重要なホルムズ海峡を通過する船舶の往来や世界の石油流通量が再び増加した。リート(FTSE NAREIT Global Real Estate インデックス)は前月末比で2.1%上昇した。

クロス・アセット

グロース資産のスコアをプラスへと引き上げる一方、ディフェンシブ資産のスコアもプラスに維持した。グロース資産については、企業収益が堅調に伸びるなかでバリュエーション指標が低下しており、再びバリュエーション面の魅力が高まっているように見受けられる。決算シーズンを迎えようとしているなか、ここ数ヵ月で期待値は高まっているものの、企業利益は底堅く推移すると楽観視している。グロース資産に対する良好なセンチメントが持続していくには、業績見通しが極めて重要になるとみている。旺盛な需要を受けてインフレが再燃している様子であり、また、中東紛争も先行き不透明な状況が続いている。

グロース資産のなかでは、先進国株式のスコアのプラス幅を若干拡大する一方、米ドル高が進むとの見方から新興国株式のスコアのプラス幅をやや縮小した。コモディティ関連株については、中東紛争の行方が依然として非常に不透明で予断を許さないことから、スコアを中立に維持した。リートとインフラ投資については、他の資産クラスの方がリスク・リターン特性の魅力度が高いとの判断から、スコアをマイナスに据え置いている。

先進国株式のなかでは、AI関連の設備投資動向を牽引役としてテクノロジー企業の利益が大幅に伸びているなか、バリュエーションが割安な水準にある米国のスコアをプラスに維持した。同様に、カナダのスコアもプラスに維持している。カナダについては、より景気に敏感な金融や資源などのセクターの割合が大きく、世界的な景気拡大局面の恩恵を受けるとみられるほか、テクノロジー・セクターの割合が大きい米国株式からの分散効果も十分に期待できるとみている。バリュー株の比重が大きく、配当利回りが良好な水準にある英国はスコアをプラスに維持した。欧州とオーストラリアは、バリュエーションに割高感があるほか、中央銀行のタカ派姿勢がリスク資産への逆風となる可能性があることから、スコアをマイナスに維持した。シンガポールはバリュエーションが割高な水準にあることからスコアをマイナスに維持し、日本については、日銀がタカ派的な姿勢を示しているものの、企業収益が市場予想を上回る推移を見せていることからスコアを中立に維持した。

ディフェンシブ資産については、金に対して明るい見方をしていることを主因にスコアをプラスに維持した。ただし、インフレが加速すれば金が逆風に晒される可能性があることは認識している。ソブリン債はスコアをやや引き下げたがプラスに維持した。ソブリン債については選別的な姿勢を維持し、イールドカーブがよりスティープ化しており、ヘッジ後ベースの利回り水準が相対的に高い一部の国を有望視している。新興国現地通貨建て債券については、利回りが依然割安な水準にあることから、スコアのプラス幅をやや拡大した。新興国現地通貨建て債券は、好調な景気や高水準の実質金利に支えられ、堅調なパフォーマンスを維持すると期待される。

ハイイールド債と投資適格クレジットについては、いずれもスコアをマイナスに維持しているが、スプレッドが拡大すれば好機を捉えてスコアの引き上げを検討していく方針である。なお、ハイイールド債はスコアのマイナス幅を縮小したが、投資適格クレジットはスプレッドが引き続き過去最低に迫るタイトな水準にあり、信用リスクに対するリターンが限定的であることからスコアのマイナス幅を据え置いた。

ハイイールド債のなかでは、足元で利回り水準が改善している米国のスコアを中立に引き上げる一方、依然として利回りが非常に低水準にとどまっているアジアのスコアのマイナス幅を拡大した。投資適格クレジットにおいては、最近の金利上昇を受けて英国のスコアのプラス幅をやや拡大したが、カナダはスコアのプラス幅を縮小した。ソブリン債では、最近の金利上昇を踏まえて米国とオーストラリアのスコアを中立へと引き上げた。なお、カナダとフランスについては、これまで堅調に推移してきたことを受けてスコアを引き下げたが、長短金利差が拡大しておりヘッジ後ベースの利回りが引き続き魅力的な水準にあるため、いずれもスコアをプラスに維持している。

* マルチアセット・チームのクロス・アセット見解は、(1)グロース対ディフェンシブ、(2)グロースおよびディフェンシブ資産内でのクロス・アセット、(3)各資産クラス内での相対的な資産の見方、という3つの異なる段階で示しています。これらの段階は、選好順位の水準は資産クラスが予想可能な形で似た動きあるいは異なる動きを見せるという当社のリサーチおよび直感的認識を表しており、したがって、資産クラスのクロス・アセットでのスコアリングは理に適っているとともに、最終的により熟考された堅固なポートフォリオ構築につながると考えます。


資産クラスの選好順位(2026年6月末時点)

資産クラスの選好順位(2026年6月末時点)

注)上記のアセットクラスおよびセクターの選好順位とスコアは、マルチアセット・チームの現在の投資見解を反映したものです。リサーチ・フレームワークは3つの段階の分析に分かれています。スコアは、各資産に対する同チームの相対的見方(各資産が属する資産クラスの他の資産対比)を表しています。各資産クラス内のスコアは、コモディティを除き、平均すると中立となります。これらは投資リサーチまたは投資推奨助言に該当するものではありません。セクターや経済、市況トレンドに関する予見、予測または予想は、それらの将来の状況またはパフォーマンスを必ずしも示唆するものではありません。

当社の見方

グロース資産

中東で紛争が続くなかでも世界的な景気拡大が続いており、グロース資産は引き続き魅力的だと考える。交渉は進行中だがその行方は依然不透明で、足元では世界的にインフレ圧力が顕在化しつつあり、グロース資産にとっての逆風となる可能性がある。しかし、当面はAI関連の設備投資や世界経済の好調持続を背景に、引き続き企業収益が堅調に伸びていることから、グロース資産を有望視している。巨大IT企業によるAI設備投資が、世界中の様々なサプライチェーンにおける旺盛な需要の原動力となっており、企業の売上高や利益の押し上げに寄与している。企業の利益率は引き続き拡大しており、グロース資産への追い風となっている。また、米国の経済指標は底堅さを維持し、小売売上高が好調に推移するなか、労働市場も持ちこたえている。こうした流れなどを受けて、当初強まっていたスタグフレーション懸念は和らいだ。

中東情勢の動向については、先行きを見通す上で極めて重要な要素となっており、引き続き注視している。より恒久的な紛争解決の兆しが見られることがグローバル市場の好調維持に不可欠であると考えている。なお、紛争が長引き、それに伴うコモディティ価格上昇を受けて世界的に利上げが行われ、最終的に経済成長に急ブレーキがかかるリスクは存在する。


グロース資産に対する確信度の強い見解

  • 米国株式のスコアをプラスに維持:設備投資ブームに沸くなか企業利益や業績見通しの底堅い推移が続く米国に対しては強気な見方を維持している。企業利益が大きく伸びていることからバリュエーションに割高感はなく、テクノロジーやヘルスケアのイノベーション(革新)を原動力とする長期的な成長トレンドから、米国株式を引き続き選好している。また、今後数年間でAI関連の設備投資が大幅に拡大することに伴うデータセンターからのエネルギー需要の増加も追い風になるとみている。
  • 英国株式を有望視:英国株式については、配当利回りが高く、相対的にベータ値が低い傾向にあるなど、ディフェンシブ特性を好感し、スコアをプラスに維持した。米国はテクノロジー・セクターの比重が大きいが、それに対して英国は金融、生活必需品、ヘルスケア、資本財・サービス、エネルギーなどのセクターが代表的で、分散効果をもたらす。
  • 新興国株式のスコアをプラスに維持:新興国株式は、米国で続く好調な設備投資動向が追い風となっているなか、バリュエーションが魅力的な水準にあることから、引き続き有望視している。米ドル高の展開となれば逆風に直面する可能性があるものの、一部の地域は、AI設備投資や人口ボーナスといった長期的な成長テーマの恩恵を受けるとみられる。そのなかでも、AI関連の設備投資展開という長期的な成長トレンドへのエクスポージャーとして、半導体の主要サプライヤーでありテクノロジー・セクターの占める割合が大きい台湾を選好している。また、国内経済の力強い成長が見込まれるインドについても、有望視している。
  • コモディティ関連株のスコアを中立に維持:中東紛争は緊張激化のピークが過ぎ去ったものの、その行方は依然不透明とみていることから、コモディティ関連株に対しては中立的なスタンスを維持している。足元では世界的な景気拡大局面にあり、AI関連設備投資を筆頭に世界的に旺盛な需要が続いていることは明るい兆しであるとみられる。コモディティ関連株は長期的にインフレに対して優れた分散効果を提供し続けるとみられるとともに、同セクターのファンダメンタルズは、景気循環的にも長期的にも依然有望である。

利益予想の質が重要

市場では、バリュエーションが割高な水準にあるかを判断する基準として、PER(株価収益率)が用いられることが多い。この指標は、ある銘柄に対して投資家がどれだけの対価を支払う意思があるかを示すバロメーターの役割を果たしている。ただし、その信頼度は利益予想の質に完全に左右される。利益予想の質が悪ければ、一般的に用いられている投資指標であっても痛い誤算を招く恐れがある。PERの有効性は、その計算式の分母となる「E(Earnings:利益)」の質次第と言える。企業収益のアナリスト予想が過大であったり、不正に操作されていたり、単純に不正確であったりする場合、導き出されたPERは現実を歪めて映し出すものになりかねない。

歴史的に、S&P500種指数の予想EPS(1株あたり利益)は実績EPSと同様の推移を示す傾向にあり、高い相関性が存在する。例外的状況が生じたのは、2008年、2018年、2020年の市場下落局面など、景気が転換点を迎えた時期のみである(チャート1参照)。アナリスト予想は常々、マクロ経済の転換点の予測に失敗しており、景気後退期では先行き予想と現実の大きな乖離が生じている。長期にわたる景気拡大期においては、予想EPSと実績EPSがほぼ完璧な連動性を示している。当社では世界経済の好調が継続するとみている。米国市場は利益予想の精度が高いことから、引き続き企業が12ヵ月先市場予想EPSに沿った増益を達成していくと想定するのが妥当だろう。

チャート1:米国株式の予想EPSは実績EPSとほぼ同様に推移

米国株式の予想EPSは実績EPSとほぼ同様に推移

出所:信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成

一方、中国株式の予想EPSは常に構造的な上振れバイアスを示しており、実績EPSを一度上回るとその状態が何年も続く傾向にある(チャート2参照)。アナリスト予想では、構造的要因による企業利益の大幅回復が一貫して見込まれているものの、実際には実現していない。2011年から2016年までの期間を見てみると、先行き予想では、過去最高益の更新に向けた大幅増益が見込まれ続けていたものの、実際の企業利益は横ばいで推移したのち最終的に2015年には大幅に減少した。こうした傾向は2021年以降際立って深刻化した。アナリストたちは企業利益の回復を予想し続けたが一向に実現せず、一方で国内経済の低迷、不動産市場の不況、消費需要の弱さを受けて実績利益は急減した。したがって、潜在的なバリュートラップに注意を払わなければならない。PERは過去レンジに比べると割安な水準に見えるかもしれないが、企業利益が下振れしているうちは、期待されるPERの見直しが実現することはないだろう。

チャート2:中国株式の予想EPSは過大な水準で推移している模様

中国株式の予想EPSは過大な水準で推移している模様

出所:信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成

日本株の場合、予想EPSに米国や中国市場とは微妙に異なる特徴がある。円相場が企業利益に及ぼす影響の度合いが非常に大きく、変動性も高いため、企業利益の正確な予測が難しく、EPSのアナリスト予想が実績値を下回ることが頻繁にある。中国では過度に楽観視する構造的傾向が見られるが、日本の企業利益動向はマクロ経済要因に強く左右されるという特徴があり、円相場の変動を受けて予想EPSと実績EPSが大きく乖離することがよくある。TOPIX構成企業は自動車大手、産業機械、電子機器メーカーといった世界的な輸出企業の比重が大きく、企業利益が円相場動向の影響を極めて受けやすい傾向にある(チャート3参照)。

詰まる所、PERは非常に効果的な比較分析ツールであることに変わりはないが、それだけで投資判断を下すことはできない。予想EPSの推移や生じ得るバイアスについて理解することも重要である。賢明に投資していくには、バリュエーション指標と綿密なファンダメンタルズ分析を組み合わせ、過去の予想EPSの精度を追跡して分析し、その質を評価することにより、見込まれる利益の本当の持続性を見極める必要がある。そうすることでより効果的な投資判断を下せるようになるだろう。

チャート3:TOPIXの予想EPSは変動性が高い傾向にある

TOPIXの予想EPSは変動性が高い傾向にある

出所:信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成


ディフェンシブ資産

今や各国の中央銀行は完全に利上げサイクルに戻っている。米国とイランの紛争の影響からインフレ圧力が強まっており、再び利上げが必要な状況となっている。こうした流れを受けて、債券以外の複数の資産クラスも逆風に晒されており、特に金価格は金利上昇が響いて大きく下落している。対照的に、米ドルは金利上昇による恩恵が鮮明に見られている。今月の当レポートでは、FRBの今後の政策スタンスに関する見通しと、雇用市場に安定化の兆しが見られるなかでケビン・ウォーシュ新FRB議長がタカ派姿勢を強める可能性について考察する。


ディフェンシブ資産に対する確信度の強い見解

  • 投資適格クレジットとハイイールド債のスコアをマイナスに維持:信用スプレッドは中東紛争を受けてボラティリティが高まっているものの、引き続き過去最低水準近辺で推移している。米国の景気は引き続き好調だが、スプレッドは歴史的に平均回帰性を示してきていることから、何らかの悪材料が出てくる場合にはスプレッドが拡大するものとみている。また、スプレッドがタイトな水準にあり、金利が大幅に上昇した場合に影響を吸収できる余地がほぼないことからも、投資適格クレジットとハイイールド債については慎重な姿勢を継続し、デュレーションを短めに維持していく方針である。
  • 長期債をより有望視、米国債のスコアを中立へと引き上げ:原油価格の高止まりや5月のCPI(消費者物価指数)インフレ率の加速を受けて、債券利回りは上昇しており、足元では今年の序盤に比べるとかなり妥当な水準となっている。債券利回り上昇を捉えて米国債のスコアを中立に戻すとともに、フランスとカナダについては強気な見方を維持している。
  • 米ドルに対しては強気な姿勢:FRBはタカ派的姿勢を強めた感があり、インフレも根強いことから、米国では高金利が長期化して米ドルへの追い風になると予想している。また、米ドルを保有すればポートフォリオで分散効果を発揮するとともに、円、シンガポールドル、カナダドル、ユーロなどの通貨よりも良好なキャリーをもたらしてくれる。

米ドル高

米ドルは2025年の大半の期間において売られる展開が続いたのち、ここ2ヵ月では上昇に転じるなど回復の兆しが見られている。複数の要因が追い風になっているようだが、FRBのタカ派的姿勢が強まるとの見方が主なドル高要因になっていると見受けられる。ここ3ヵ月間は、コモディティ価格の上昇を受けてインフレ期待が高まっており、タカ派的な姿勢の強まりを促す環境となっているほか、ウォーシュ新FRB議長の発言内容も今後の金利動向に関する憶測を呼んでいる。チャート4を見ると、過去3年間において米ドルは12ヵ月先の政策金利の市場予想と連動する動きを示してきており、金利見通しが米ドル相場にとって重要な要因となっていることが分かる。

チャート4:米ドル指数(DXY)と12ヵ月先政策金利予想の比較

米ドル指数(DXY)と12ヵ月先政策金利予想の比較

出所:信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成

インフレの加速がFRBの主な懸念事項であることは間違いなく、金利見通しの上方修正を促す要因となっているが、同様に注目すべき点として、雇用市場も持ち直しの兆しを示している。米国における就業者数の3ヵ月移動平均を見てみると、2025年の後半はマイナス圏に陥っていた。これは通常、中央銀行が警戒を強めて金融緩和へと傾く水準である。しかし、2026年の前半は就業者数の増加ペースが加速して3ヵ月移動平均が約11.1万人となり、長期平均の約16万人まであと少しの水準まで持ち直している。企業利益が引き続き好調で、GDP成長率も良好、PMI(購買担当者景気指数)も上昇していることから、就業者数は現在のペースを維持する可能性が高いとみられる。そうなれば、ウォーシュFRB議長は利上げへとハンドルを切れるようになるだろう。雇用をめぐる懸念が薄れるにつれ、焦点が再びインフレへと移る可能性がある。インフレ率はもう5年以上にわたりFRBの2%目標を上回り続けている。

チャート5:米国の就業者数の推移(コロナ禍の期間を除く)

米国の就業者数の推移(コロナ禍の期間を除く)

出所:信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成

したがって、FRBが実際に利上げに動く可能性は十分にあり、当面は米ドルが比較的堅調に推移するとみている。ポートフォリオにおいて米ドルを保有すれば、債券利回りと負の相関関係を示すというメリットもあり、インフレが高止まりして金利の上昇が続く場合に一定の防衛効果を発揮する。さらに、円、カナダドル、ユーロなど政策金利が相対的に低い国・地域の通貨よりも良好なキャリーをもたらす。

プロセス

リターンの主要ドライバーを把握するためのインハウス・リサーチ:

リターンの主要ドライバーを把握するためのインハウス・リサーチ: