26年は0.2ポイントの上方修正、27年は据え置き
IMF(国際通貨基金)は1月19日に発表した最新の世界経済見通しで、2026年のGDP成長率を0.2ポイント上方修正し、24年実績、25年推計と同率の3.3%としました。その主な背景は、米国と主要国・地域との通商交渉の進展に伴なう、米関税引き上げの影響の緩和、AI(人工知能)関連を中心としたテクノロジー分野での投資の急増や財政・金融政策による恩恵です。また、27年の成長率は3.2%で変わりなく、世界経済は安定的に推移すると見込んでいます。
米・中のほか、ユーロ圏・日・印などの26年の見通しを上方修正
26年の見通しの上方修正については、米国と中国がともに0.3ポイントと、比較的大きくなりました。
米国の上方修正の主な背景は、AIインフラへの巨額投資です。中国については、昨年11月の米中首脳会談で1年間の貿易休戦が合意され、中国製品に対する米関税率が引き下げられたことや、輸出先の米国から東南アジア、欧州などへのシフト、2年にわたって実施される見通しの財政刺激策を反映したものです。
また、先進国・地域では、ユーロ圏についてはドイツでの財政支出の拡大など、日本についても、高市政権が掲げる財政政策を背景に、それぞれ、0.1ポイントの上方修正となりました。
新興国では、中国以外に、インドや南アフリカが0.2ポイントの上方修正となりました。一方、ブラジルやロシアについては、それぞれ、0.3ポイント、0.2ポイントの下方修正となりました。
AI関連投資に伴なう上振れ・下振れの両リスクに要注目
IMFは、貿易が混乱する中でも、世界経済が驚くほどの回復力を示してきたのは、AI関連を中心とするテクノロジー分野での投資急増のおかげだとしています。今後についても、AI関連投資により、生産性が大幅に向上し、経済活動の更なる活性化につながれば、世界経済の持続可能な成長につながり得るとしています。そして、世界的なAIの導入スピード次第で、世界の成長率は26年に最大0.3ポイント、中期的には年間0.1~0.8ポイント程度、押し上げられる可能性があるとの上振れリスクを示しています。
一方で、AIによる生産性向上への期待が低下するような場合には、投資が減り、金融市場で急激な調整が起きる可能性があるとしています。また、その影響はAI関連企業にとどまらず、他の分野に拡がり得るとしています。加えて、貿易摩擦の激化、地政学的な緊張、財政赤字の拡大と公的債務の膨大化に伴なう長期金利の上昇などの可能性にも言及し、リスクは全体的には依然として下振れ方向に傾いているとしています。
- 上記は過去のものおよび予測であり、将来を約束するものではありません。