金は初の5,000米ドル突破後、足元で大幅に調整
2026年に入り、グリーンランドを巡る欧米の対立など地政学リスクや米国の経済政策を巡る不確実性が高まる中、金(スポット)価格は1月下旬、史上初めて1トロイオンス=5,000米ドルを突破しました(図【A】)。同月末、次期FRB(連邦準備制度理事会)議長にウォーシュ元FRB理事が指名され、金融政策の独立性への懸念が後退すると、金相場は大幅に調整しましたが、依然として歴史的な高値圏で推移しています。
短期的要因にとどまらない、構造的需要の強さ
近年、金相場が堅調な背景には、不確実性の高まりだけではなく、構造的な需要の強さがあります(図【B】)。特に、中央銀行による高水準の金購入の継続が目を引きます。これは、米国の政府債務の膨張に伴なう米ドルへの信認低下や、米ドル建て資産の凍結といった制裁リスクなどを反映し、外貨準備における金の価値が増しているためと推察されます。
さらに、2025年1-3月期以降、ETF(上場投資信託)を介した金への投資需要が回復している点も重要です。米トランプ政権の関税政策や、AI(人工知能)関連株式のバブルへの懸念が度々浮上する中、投資家の間でリスク分散のために資産の一部を金へ振り向ける動きが拡がっていると考えられます。
分散投資の手段として、金は引き続き魅力的
足元の世界の金融市場では、株式と債券の連動性(相関係数)が高水準です。このことは、金融市場の混乱時に両者が同時に下落しやすい傾向にあることを意味します。他方、金と株式については連動性が依然として低く、金は分散投資先として魅力的であるといえそうです(図【C】)。世界的なAIブームの中で、株価バリュエーション指標の一部には過熱感がみられる一方、米主力企業の業績見通しは拡大すると予想されています。こうした状況では、株価上昇の恩恵を享受しつつ、下落リスクへの備えとして、金を保有するニーズはなお強いと見込まれます。
上述のように、金需要の強さには国際的な政治・経済情勢に根差した構造的な背景があることと併せて考えると、足元の乱高下を経ても、分散投資の手段として金の価値は損なわれていないと思われます。
本稿では、株式:MSCIワールドインデックス(配当込み、米ドルベース)、国債:FTSE世界国債インデックス(米ドルベース)を分析対象としています。
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