高市政権は「危機管理投資・成長投資による強い経済の実現」を重要課題に掲げ、AI・半導体をはじめとする17の戦略分野を定めており、今年6月には、分野別のロードマップを反映した「成長戦略」を打ち出す予定です。こうしたこともあり、日本の半導体産業が改めて高い関心を集めている一方で、半導体市場にはシリコンサイクルと呼ばれる約4年周期の景気循環があることなどから、今後の後退期を懸念する声もあります。日本の半導体産業は持続的な成長を遂げることができるのでしょうか。
半導体需要の構造的な変化が起きている
これまで半導体需要の主な牽引役はスマートフォンやPCであり、シリコンサイクルはこれらの需要変動に大きく影響されていました。しかし、近年、牽引役がAI(人工知能)にシフトしたことで、半導体市場の成長速度と持続性が変化したとみられます。生成AIの普及とデータセンター需要の拡大により、ロジック半導体やメモリの需要は足元で大きく拡大傾向にあります。今後、AIがデジタル世界からリアル領域へと進化の場を移し、フィジカルAI*1が本格化すれば、この流れは更に加速すると見込まれます。加えて、ロボットやEVといった、フィジカルAIの動作部分で使用されるセンサーやアナログ・パワー半導体など、幅広い半導体の需要拡大も期待され、成長の持続につながる可能性があります。
現実世界の情報をセンサーなどで認識し、状況に応じて自律的に行動できるAI
サプライチェーンの強靭化が日本の魅力を引き上げ
近年、主要国では半導体が経済安全保障上の重要な戦略物資に位置付けられ、生産地の分散や、サプライチェーン整備が進められています。日本政府も半導体の安定供給確保に向けた取組方針を公表し、これまでに供給網を構成する関連企業などへ4,000億円超(最大助成額)の支援を決定しました。そうしたなか、日本で初めて先端ロジック半導体の製造を手掛けるJASMと、次世代ロジック半導体の量産をめざすラピダスの登場により、日本でも先端半導体のサプライチェーンが整いつつあります。両社の工場周辺などでは半導体製造装置や材料、人材派遣、物流など多くの産業が集積しているほか、今後の半導体の性能向上を担う後工程技術の研究機関なども設立されています(右下ご参照)。こうした動きは、政府の投資促進策「AI・半導体産業基盤強化フレーム」(24年)によって加速するとみられ、国内産業の振興と共に、海外企業による地域分散の受け皿としての魅力向上にもつながると期待されます。
中長期的な成長性を見据えた投資を
このように、需給両面での構造変化は日本の半導体産業にとって持続的な追い風になると考えられます。ただし、半導体産業は景気循環や各国の通商政策、地政学リスクなど、様々な理由から短期的な停滞に陥る可能性があります。また、株式投資においても関連銘柄の値動きは相対的に大きく、先行きの不透明感が高まる局面では不安定な展開となることもあります。そうした局面では、目先のネガティブなニュースに過剰に反応せず、中長期的な企業のファンダメンタルズや旺盛なAI需要に大きな変化がないことを確認し、今後の成長性を見据えた投資対象として日本の半導体産業を捉えてみてはいかがでしょうか。
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