AI(人工知能)の普及が急速に進むなか、データセンター需要の増加に伴なう電力不足が、AI発展のボトルネック(制約要因)として懸念されています。そして、解消手段の一つとして、宇宙データセンターに関心と期待が寄せられています。

AI搭載の人工衛星を活用した宇宙データセンター
宇宙データセンターは、一般に、計算処理やデータ処理などを行なうAI搭載の人工衛星を多数打ち上げ、地球を覆うように配置した衛星コンステレーションによって運営される仕組みです。宇宙関連ビジネスは、2000年代以降、民間主導で目覚ましい発展を遂げ、小型衛星を活用した通信サービスや衛星データの利活用ビジネスが拡がりつつあります。宇宙データセンターは、こうした技術基盤を発展させたシステムといえます。

データセンター機能を宇宙で展開するメリットとして、電力を太陽光発電で賄うため、天候などに左右されにくく安定した電力調達が可能な点が挙げられます。また、発電時に生じる熱を冷却するために必要な水資源が、宇宙では熱放射を利用するため不要であり、建設用地も不要です。さらには、地上を介さずデータ処理を行なうことで、効率性の向上なども期待されます。

AI普及には、電力供給への対応が急務に
こうした取り組みが進められる背景には、AI普及のスピードに電力供給が追い付かず、対応が急務となっていることが挙げられます。データセンター容量の世界需要の拡大が見込まれるなか(下グラフ)、他の調査でも、データセンターの電力消費量が2030年までに倍増し(2024年比)、約945テラワット時に達すると予測されています。これは、現在の日本全体の電力消費量を上回る規模とされています。

メガテックを中心に、取り組みが進む
AIの成長を支えるインフラとして宇宙への注目が高まる中、米国の宇宙開発企業やAI関連ビジネスを推し進めるメガテックなどの動きが活発化しつつあります。
今年1月には、宇宙開発大手が宇宙データセンター向けとされる大規模な衛星運用の申請を当局(FCC:米連邦通信委員会)へ行ない、3月には、他の企業もこれに続きました。さらに、米半導体企業大手が宇宙データセンター向けに最適化したAIプラットフォームを発表したこともあり、注目が高まっています。

実用化に向けた課題はあるものの、ビジネス拡大が期待されるテーマ
ただし、現時点では、その多くが構想の段階です。実用化に向けては、莫大な打ち上げコストが実務的な課題となっているほか、放射線による誤作動の可能性やメンテナンスの難しさなど、宇宙特有のリスクも存在します。そのため、短期的な収益化は難しく、実用化後も、地上設備の補完的な位置づけになると想定されます。

しかしながら、宇宙データセンターは、急成長を遂げるAIのインフラを中長期で支える選択肢の一つであり、宇宙関連ビジネスのこれまでの進化スピードを踏まえると、実用化までの道のりは、遠くないと考えられます。宇宙関連ビジネスとAIの両方の成長を捉えるという観点から、今後の動向が注目されます。

【図表】[左図]データセンター容量の世界需要見通し、[右図]宇宙データセンターに関する主な企業の動向
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