足元の金融市場では、イラン情勢の緊迫化を背景に原油価格が上昇し、インフレ動向や景気への影響が意識されやすい状況にあります。加えて、各国・地域の中央銀行の金融政策の方向性も読みづらく、市場は引き続き不確実性の高い状態にあります。

市場の変動性を測るVIX指数とMOVE指数
こうした環境下では、株価や債券価格の水準や日々の値動きだけでなく、市場がどの程度の不確実性を織り込もうとしているのかを把握する視点も有効と考えられます。その際によく用いられるのが、ボラティリティ(価格の変動性)を示す指標であるVIX指数とMOVE指数です。

VIX指数は、米主要株価指数であるS&P500を対象とするオプション取引の価格情報をもとに算出され、今後の株価変動に対する市場の見方を示します。数値が高いほど投資家の警戒感が強い状態とされ、平常時は10~20程度で推移する一方、先行き不透明感が意識される局面ではそれを上回る水準となる傾向があります。一方、MOVE指数は米国債市場における先行きの変動リスクを示す指標であり、金利動向を巡る不確実性を表します。こちらも数値が高いほど、金利の水準や方向性に対する市場の不安が強まっている状態と解釈されます。

両指数から読み取るリスクの所在
株式市場の不確実性を示すVIX指数と、債券市場の不確実性を示すMOVE指数の両方を併せて確認することで、市場がどのリスクを強く意識しているかを捉えることが可能になります。例えば、24年8月のようにVIX指数が主に上昇した局面では、景気後退に伴なう企業業績の悪化が強く懸念され、株式市場が乱高下する傾向が見られました。一方、23年3月のようにMOVE指数が主に上昇した局面では、米国の急速な利上げや金融機関破綻を受けた信用不安などから債券市場では金利上昇(債券価格は下落)や流動性に対する警戒感が意識されました。また、20年以降の両指数が同時に高まる局面では、景気や金融環境に対する警戒感が一段と強まり、株式市場は軟調となる一方で、安全資産とされる米国債に資金が向かい、債券市場が相対的に安定する場面もみられました。(グラフご参照)

もっとも、VIX指数やMOVE指数は、将来の相場を予測したり、売買のタイミングを判断するための指標ではありません。両指数の動きを通じて、不確実性が株式市場に集中しているのか、金利環境に向かっているのか、あるいは全面的なリスク回避局面に近いのかを把握することで、リスク資産の配分や金利変動がポートフォリオ全体に与える影響を点検する材料として活用できそうです。

【図表】【上段】各ボラティリティ指数の推移、【下段】主要資産パフォーマンスの推移(2020年1月初~2026年3月24日)
  • 上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。