26年は0.2ポイントの下方修正、27年は据え置き
IMF(国際通貨基金)は4月14日に発表した最新の世界経済見通しで、中東紛争が早期に収束し、2026年の原油価格が平均で1バレル=82米ドルにとどまるとの前提に基づいた参照予測(左下の表)として、同年のGDP成長率を0.2ポイント下方修正し、3.1%としました。

また、紛争の長期化を前提に、原油価格(年平均)を26年100米ドル、27年75米ドルと想定した「悪化シナリオ」に加え、重要エネルギー施設への攻撃などを前提に、それぞれ、110米ドル、125米ドルと想定した「深刻シナリオ」に基づいた予測(右下のグラフ)も示しました。そして、後者では、インフレ期待の上振れと金融環境の引き締めが見込まれるなどとして、GDP成長率が2%程度に減速し、景気後退に近い状況に陥るとしました。

下方修正の中心は紛争地域の新興国
参照予測での26年のGDP成長率見通しの下方修正は、世界レベルでは比較的小幅ながら、紛争地域の国を中心に、新興国での下方修正が大きくなりました。ただし、中国については、エネルギー高の負担が、米国の関税引き下げや政府の景気刺激策によって一部、相殺されるとして、僅かな下方修正にとどまりました。また、インドについては、昨年終盤に力強い経済成長が見られた影響に加え、米国との関税合意などが寄与し、上方修正されました。

先進国では、英国について、中東紛争の影響に加え、利下げが遅れるとの見通しなどから、0.5ポイントの下方修正となりました。ユーロ圏については、ロシアのウクライナ侵攻以来のエネルギー高が続くことになる影響などから、0.2ポイントの下方修正となりました。米国の場合、減税や利下げの効果、生産性の向上、同国がエネルギーの純輸出国であることなどがエネルギー高の影響を一部、相殺するとして、下方修正は限定的でした。また、日本については、経済対策やエネルギー価格高騰対策などを背景に、下方修正を免れました。

AI関連投資には上振れ・下振れの両リスク
IMFは、見通しには依然として下振れリスクが優勢だとして、地政学的緊張がさらに悪化し、深刻なエネルギー危機に発展する可能性、国内の政治的緊張の要因が貿易などの国際政策の変化と複雑に絡み合う可能性、貿易関連の対立が激化する可能性、財政赤字の拡大と公的債務の膨大化に伴なう長期金利の上昇などに言及しています。また、AIに関する企業利益の期待が低下する場合や、利幅の見通しが競合激化で悪化する場合、たとえ生産性が向上しても、投資が縮小し、金融市場で急激な調整が起きる可能性があるとしています。

一方で、AI関連投資により、経済活動の更なる活性化につながれば、世界経済の持続可能な成長につながり得るともしています。

【図表】[左図]IMFの世界経済見通し(実質GDP成長率)、[右図]世界のGDP成長率とインフレ率の推移
  • 上記は過去のものおよび予測であり、将来を約束するものではありません。