2026年に入り乱高下した金相場
金(スポット)価格は2026年1月下旬、一時1トロイオンス=5,500米ドル台の最高値を記録しましたが、3月に入ると、イラン情勢の緊迫化を背景に米長期金利の上昇や米ドル高が進行したほか、流動性確保を目的とした換金売りも重なり、急落しました。もっとも、足元で金相場は徐々に落ち着きを取り戻しつつあります。

こうした状況を踏まえ、本稿では、価格変動を異なる時間幅の動きに分解する多重解像度解析という手法を用い、金相場の動向を整理します。

短期的な調整局面は一巡した可能性
金の価格変動を短期(3ヵ月未満)、中期(3ヵ月以上~1年未満)、長期(1年以上)の3つに分解すると、2026年初来の乱高下は主に短期成分によるものであり、長期成分は上向きを維持しています(図表【A】)。

金融市場では、イラン情勢の緊迫化を受けた原油価格の上昇が、米金融緩和観測の後退を通じて金相場を押し下げたとの見方があります。ただし2022年以降、米実質金利が上昇する局面でも、金相場は総じて堅調な推移を保ってきました(図表【B】)。そのため、米金融政策を巡る見通しの変化は、金相場の基調を左右したというよりも、短期的な過熱感の調整を促すきっかけになったと捉えることができそうです。

実際、短期成分は2026年1月下旬から3月初めにかけて金相場を押し上げた後、3月下旬以降は押し下げ圧力となりましたが、その寄与は足元でほぼ解消しつつあり、一連の調整局面は一巡した可能性があります。

近年の上昇の大部分は長期成分が寄与
近年の金価格上昇の大部分は、長期成分の伸びによるものです。これは、米国の政府債務の拡大に伴なう米ドルへの信認低下や、米ドル建て資産凍結といった制裁リスクなどを背景に進んでいる、外貨準備における米ドルから金への資金移動といった、構造的需要を反映したものと推察されます(図表【C】)。

他方、中期成分は、比較的投機色の薄い投資資金に連動しているとみられます。これに関しては、ETF(上場投資信託)の金保有量が10ヵ月ぶりに減少した3月頃、同成分の押し上げが頭打ちとなった点には留意が必要です。しかし、短期的な調整が収束に向かう中、外貨準備などの構造的需要の根強さを踏まえると、金相場には引き続き前向きな見方ができると思われます。

【図表】[上図]【A】金(スポット)価格と時間幅別変動寄与の推移(2023年1月3日~2026年4月16日、日次)、[下左図]【B】金(スポット)価格と米実質金利の推移(2010年1月1日~2026年4月16日、日次)、[下右図]【C】世界の外貨準備(通貨と金)構成比率の推移(2005年1-3月期~2025年10-12月期、四半期)
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