投資信託の分配金とは
投資信託には、運用によって得られた収益などを決算ごとに投資家に分配する、「分配金」という仕組みがあります。預貯金の「利息」は予め決められた利率に基づいて支払われますが、投資信託の分配金は事前に金額が定められているものではなく、運用状況によって増減したり、支払われない場合もあります。分配金には、基準価額が個別元本を上回る場合に支払われる「普通分配金」と、基準価額が個別元本を下回る場合に支払われる「元本払戻金(特別分配金)」があります。
「毎月分配型」などの継続分配をめざすファンドは、低金利環境下の2000年代に定期的な現金収入が得られるとして高い人気を集めました。しかし、分配金が支払われると、その分、純資産(運用資産)は減少することから、最近では運用効率を重視し、分配金支払いの頻度を抑えたファンドが投資家に選好されるケースが増えたほか、分配の受取方法に関しても多様化されており、投資家の選択肢の幅が拡がっています。
「予想分配金提示型」とは
近年、注目されている分配方法に、「予想分配金提示型」があります。これは、基準価額の水準に応じて目標とする分配金額を予め提示する仕組みを言います。下表のように、「基準価額の水準」と「1万口当たりの分配金」が目論見書などに明記されており、一般に、運用会社は決算期末(決算日)の前営業日の基準価額がテーブルのどこに当てはまるかを判定し、対応する額の分配金を支払います*。決算頻度については、毎月決算や隔月決算などが主流となります。
予想分配金提示型のメリットとして、基準価額の水準で分配金額が示されるため、投資家はどの程度の分配額となるのかを把握しやすくなります。また、基準価額が一定の水準を下回ると減配や無分配となることから、分配金の支払いによる基準価額の追加的な下押しを避けることができます。
ただし、分配金の支払いによって基準価額は低下することから、結果として基準価額が上がりにくく見えることがあります。そのため、実際の運用は分配金再投資ベースの基準価額を見るなどして確認する必要があります。また、分配の原資は運用益のみとは限らず、購入価額によっては、実質的に元本の払い戻しに相当する場合があるという点にも注意が必要です。
投資家のニーズに応じて選択できる
このように、投資信託には様々な分配金の支払方法があり、一つのファンドで分配方法が異なる複数のコースが設定されるケースも増えています。「運用効率を重視」、「自分のタイミングで利益を確定したい」という投資家であれば、年1回決算型などが適していると考えられます。一方で、「利益確定のタイミングが難しいため、運用益を定期的に確定したい」というニーズや、「分配金は受け取りたいが、基準価額の下落局面では無理に分配金を出さずに抑え、回復を待ちたい」と考える投資家には、予想分配金提示型が有力な選択肢になるのではないでしょうか。
- 上記はイメージであり、実際のファンドや分配方針を示したものではありません。