グローバルREITは、今年、5月末時点で約10%*の上昇となっています。ただし、2月末以降、中東情勢の緊迫化や原油価格の高騰を背景としたインフレ再燃への懸念から、金融市場の先行き不透明感が強まっており、米欧中央銀行の金融政策の動向に注目が集まっています。こうした中、グローバルREITも3月には大きく下落し、一時、2025年末の水準を割り込みました。その後はその下げを埋めたものの、米長期金利の高止まりなどから、足元では上値の重い展開となっています。本稿では、金利上昇とREITの関係を整理するとともに、足元の投資環境について考察します。
S&P先進国REIT指数(米ドルベース、トータルリターン)
金利上昇は必ずしもマイナスになるとは限らない
REITにとって、金利上昇は、一般的に借入コストの増加や、財務負担の拡大、さらには債券との利回り格差の縮小などを通じて、短期的にはマイナス要因とされます。しかし、グローバルREIT市場で大きな割合を占める米国REITの過去の推移をみると、金利上昇が常に逆風となったわけではありません。例えば、2016年から2018年の利上げ局面では、景気回復を背景にREITは上昇しました。(左下グラフ期間(A))。一方、2022年3月から2023年7月にかけては、インフレの高進と急速な利上げに伴なう長期金利の上昇を受け、利回り差の縮小や借入コストの増加が重なり、REITは下落しました(左下グラフ期間(B))。また、利上げ局面とは別に、米長期金利が上昇する局面においても、必ずしもREIT相場が下落するとは限らず(右下表)、その背景にある経済環境が重要な要因となります。特に、経済拡大を伴なう場合には、賃料や資産価値の上昇が収益成長につながる可能性があります。したがって、REITのパフォーマンスは金利水準そのものよりも、その背景にある景気やインフレ動向を併せて見ることが重要です。
足元の市場環境とREITの魅力
不動産は一般に、賃料や資産価値の上昇を通じてインフレの影響をある程度吸収しやすい資産とされています。また、長期契約に基づく安定した賃料収入や稼働率により、収益見通しが比較的立てやすいという特性も有しています。こうした安定的な収益基盤を背景に、2026年1-3月期の米国REITの決算は、賃料収入や稼働率が総じて堅調に推移しました。さらに、ヘルスケアやデータセンターといった今後、需要拡大が期待されるセクターが、REIT市場全体の下支え要因となっています。
以上を踏まえると、金利上昇はREITにとって短期的には重石となり得るものの、その背景が景気回復・拡大に伴なうものであれば、収益成長が下支えとなる余地があります。足元の業績動向や不動産市場の需給環境を考慮すると、REIT価格は短期的に振れる可能性はあるものの、相対的には堅調に推移すると見込まれます。
- グローバルREITはS&P先進国REIT指数、米国REITはS&P米国REIT指数(いずれも米ドルベース、トータルリターン)を使用
- 米政策金利は、FF金利誘導目標の上限
- 当資料に示す各指数の著作権等の知的財産権その他一切の権利は、各指数の算出元または公表元に帰属します。
- 信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
- 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。