好調なGPIFの運用成績
厚生労働大臣から寄託された公的年金の積立金の管理・運用を行なう、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、2025年度末現在、293兆円超の資金を運用しています。今月初旬に発表された同年度の運用成績は、約41.4兆円のプラス(年間収益率は16.47%)となりました。運用成果の内訳を見ると、国内金利の上昇(債券価格は下落)を背景に国内債券はマイナスだったものの、国内株式、外国株式、外国債券はプラスとなりました。堅調な世界景気やAI関連需要の拡大などが株価上昇をけん引しました。また円安基調だったことも外国資産においてプラスに寄与しました。

なお、GPIFが運用する年金積立金は、公的年金制度の一部です。年金制度の持続性を高めるため、将来の少子高齢化を見据えて、現役世代の人口が多いうちに、保険料の一部を蓄えてきたものです。年金積立金の運用は、将来の年金受給者や現役世代のために長期的観点で行なわれているといえます。

国際分散投資などが奏功し、収益率は改善
一般に、値動きが異なる資産に分散投資を行なうことで、価格変動リスクを抑制しつつ、長期的には安定的な収益が期待できますが、前身の年金資金運用基金や以前のGPIFは、国内債券に偏重した運用を行なっていました。GPIFでは、2014年10月に運用方針などの改革が実施され、株式比率を高めるなどリスクを取りながら国際分散投資を進めた結果、収益率が大きく改善しました(左グラフ参照)。

資産配分を維持するためのリバランス
資産構成は、市場環境によって株式や債券の値動きがそれぞれ異なるため変動します。そのためGPIFでは、資産構成が事前に定めている資産配分から大きくかい離しないよう、適時適切に調整(リバランス)を行なっています。これには、特定の資産への偏りを抑え、当初想定したリスク水準を維持する役割があります。また、値上がりした資産の比率を引き下げる一方で、相対的に値下がりした資産の比率を引き上げることにもつながります。こうした調整は、値動きの異なる資産を組み合わせて運用する効果を活かすうえでも有効です。中長期での運用では、こうした継続的なリバランスが運用を支える要素のひとつといえます。

GPIFでは、国内債券、外国債券、国内株式、外国株式を基本とした資産配分(基本ポートフォリオ)を運用のベースとしており、リバランスを行なうことで、その資産構成が維持されます。運用成績が話題になりやすい一方で、その運用を支えているのは、国際分散投資だけでなく、リバランスなど、資産配分の管理です。個人の資産形成においても、バランスファンドなどでは、こうした年金運用の手法が取り入れられているものもあり、資産配分を維持しながら運用が行なわれています。

【図表】[左図GPIFの運用実績(収益率)の推移(2001年度~2025年度)、[右図]GPIFの基本資産配分(概略)の変遷(2006年度~2026年度(当資料作成日現在) )
  • (GPIFの公表データをもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成)
  • 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。