EV販売は拡大基調が続く
IEA(国際エネルギー機関)の「世界EV見通し2026」によると、世界のEV(電気自動車)市場は拡大を続けており、2025年の販売台数は2,000万台を超え、新車販売の約4台に1台をEVが占めました。米国ではEV支援政策が終了したことなどから2025年後半に販売が急減したものの、EU(欧州連合)では、CO2排出基準が一段と厳格化されたことなどを背景にEV販売が増加し、新車販売に占めるシェアは3割近くに達しました。また、中国は依然として世界最大の市場であり、EV販売台数の半数以上を占めています(グラフ左下)。加えて、100ヵ国以上でEVの販売が増加するなど、先進国だけでなく新興国にも普及が拡がっています。

原油高と新興国での需要増がEV普及の追い風に
足元では地政学リスクの高まりを背景に、原油価格の上昇圧力が強まっています。ガソリン価格などの燃料コストが上昇する局面では、電力で動くEVの経済的優位性が改めて評価されやすくなると考えられます。EVは環境対応車であるだけでなく、エネルギー安全保障や家計・企業の燃料費抑制という観点からも重要性が増しており、原油価格の上昇はEV需要の拡大を後押しする可能性があります。

さらに、中国の供給力と新興国の需要拡大もEV市場の下支えになると期待されます。中国ではEVメーカー間の競争激化により、低価格帯の車種が増えたことで、消費者にとってEVを購入しやすい環境が整いつつあります。新興国では、こうした価格競争力を備えた中国製EVの台頭や、販売網の整備などにより市場が拡大しており、今後の普及を支える重要な市場として期待されています。

政策支援やインフラ整備が成長のカギに
今後、EVをさらに普及させるためには、各国・地域の政策支援に加え、価格競争力の向上や充電インフラの整備が重要になると考えられ、具体的には、CO2排出規制や補助金などの政策が需要を支える一方、普及が本格化する段階では、従来のICE車との価格差をいかに縮小できるかが重要となります。また、バッテリーコストの低下や量産効果により、総保有コストは低下しつつありますが、充電インフラの利便性向上も欠かせません。これらの進展により、EV市場の成長はより持続的なものになると考えられます。ガソリンやディーゼル燃料などを燃焼させて走行する従来型の自動車

EVの進展が産業構造の変化を促す
EVの普及は、単なる自動車の電動化にとどまりません。EVは、SDV(ソフトウェアの更新によって、制御するシステムや機能を拡張できる車)としての側面を強めています。こうしたSDV化の進展に伴ない、AIや自動運転技術、充電インフラ、電池サプライチェーンなど、関連産業の裾野が拡がると考えられます。IEAの見通しでは、今後ICE車のモデル数は横ばいで推移する一方、EVのモデル数は増加していくと予想されています(グラフ右下)。EVの普及が進むことで、自動車メーカーだけでなく、半導体やソフトウェア、充電インフラなど幅広い企業に新たな事業機会が生まれる可能性があります。

【図表】[左図]EV販売台数の推移と予想(2020年~2025年、2035年(予想))、[右図]自動車の車種別モデル数の推移(2020年~2029年)
  • IEAのデータを基にアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
  • 信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。