旺盛なAI(人工知能)関連投資に伴ない、世界的にAI関連銘柄や半導体関連銘柄を中心に株価は堅調な推移となっています。こうしたなか、日本でも本年6月以降に、日経平均株価が70,000円、TOPIX(東証株価指数)が4,000ポイントを超える水準へと上昇しています。

これら日本の株式市場を代表する2つの株価指数の推移の違いを表す指標にNT倍率があります。ここでは、そのNT倍率の推移から日本株式市場の現状を探ってみたいと思います。

「水準」ではなく、変動の「背景」の考察が重要
NT倍率は、日経平均株価をTOPIXで除して算出され、上昇は日経平均株価の相対的な優位を、低下はTOPIXの相対的な優位を示します。NT倍率の2001年以降の推移【グラフA】からは、2008年まで概ね10倍程度だったのが、その後、じりじりと上昇し、足元では16倍を超えていることが分かります。

指標としてNT倍率をみる場合、現在と過去の水準自体を比較することに大きな意味はなく、なぜ変動してきたかという背景を考えることが重要であり、また、この先どうなるかを考える手掛かりの一つとなります。その理由は、NT倍率の基となる日経平均株価とTOPIX、それぞれがカバーしている銘柄、すなわち捉える産業が異なることに由来します。

日経平均株価は2000年以降、構成銘柄選定基準の見直しの結果、それまで中心に据えていた重厚長大産業の銘柄が少なくなり、代わりに情報通信やハイテク銘柄の配分が高まりました。一方、TOPIXは東京証券取引所の市場区分変更を契機に、流動性を加味した時価総額が大きい企業で構成される指数へと変化しています。こうした指数の構造変化に伴ない、NT倍率も大きく変化してきました。したがって、今後のNT倍率の推移を考える上では、日経平均株価に多く採用されるAIや半導体、データセンター関連企業の利益成長と、TOPIX、すなわち、主たる日本の上場企業全体の利益成長のどちらがより高まるかを検討することが重要と考えられます。

EPS予想値の違いを反映し続けるNT倍率
2023年以降の両指数の予想EPS(1株当たり純利益)の推移【グラフB】からは、この期間、日経平均株価の予想EPSの伸びがTOPIXを上回っており、この差が、NT倍率が上昇した要因の一つであったと考えることができます。足元のNT倍率は、日経平均株価に過熱感が出て頭打ちとなるなかで、出遅れていたTOPIXがキャッチアップしたことで低下傾向にあります。

この先、政府の成長戦略などもあり、内需を含めた日本経済全体の成長が期待されるなか、大型のハイテク銘柄がより高い成長を果たすのか、それとも、政策の波及効果などにより、内需や製造業なども含む幅広い銘柄が高い成長を遂げるのか、これからもNT倍率は、日本の株式市場の姿を明瞭に示し続けると思われます。

【図表】【A】NT倍率(単位:倍)の推移
【図表】【B】指数別の予想EPSの推移
  • 信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
  • 指数に関する著作権等の知的財産権その他一切の権利は、当該指数の算出元または公表元に帰属します。
  • 上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。