過去最大規模となった26年度予算
今年4月に成立した2026年度の一般会計歳出総額は、過去最大規模の122.3兆円となりました。高市首相が「責任ある積極財政」を推進するなか、防衛力強化や半導体、子育て支援など複数年度で取り組む重要施策に加え、経済・物価動向等を反映した形となっています。堅調な企業業績を背景に税収は増加基調にあるものの歳出を賄うにはなお不足しており、29.6兆円の新規国債の発行で補う状況となっています。

借入れ依存が続く厳しい「日本の家計」
こうした国の予算などを見るにあたって「兆円」という数字はあまりに大きく実感に乏しいため、政府予算を一般の家計に例えてみました(下右表)。なお、以下の文章中の( )内は政府予算の該当部分を示します。

家計の年収を480万円と仮定すると、月々の給与(税収+税外収入)は40万円となります。この家計(政府予算)では、通院・薬代、祖父母への給付(社会保障)のほか、教育費(文教および科学振興)、家の修理代(公共事業)などがかかるため、1ヵ月の生活費(一般歳出)として合計30万円が必要です。その他、田舎への仕送り(地方交付税交付金)に9万円、ローン元利金返済(国債費)に14万円を充てる必要があり、結局足りないお金13万円を新たな借金(国債発行)で賄わなくてはなりません。従来のローン返済を行なう一方で、新しい借金もしなくてはならない状況が長い間続いていることから、借金残高は年々増え続け、家計に換算したローン(借入)残高は約6,000万円にのぼる状況となっています。

27年度予算の概算要求はさらに増額
8月末には、2027年度予算を巡って各省庁が取り組みたい事業や必要経費等をまとめる概算要求が締め切られ、要求額は、25年度補正と26年度当初予算を合わせた約140兆円を上回る143兆円となりました。背景には、高市政権が成長投資や経済安全保障などの一部分野において要求額の上限を設けない方針を採ったことがあります。また、金額未定項目が多く含まれる点は今後の不透明要因となっています。

市場では、歳出に見合った歳入の確保が注視されており、財政運営に対する関心が高まっています。また、世界的にインフレ上昇や政府債務の拡大が意識されるなか、9月初旬には長期金利の指標である日本の新発10年物国債利回りが30年ぶりに3%台に達しています。

利上げ局面で注目される、税収の伸びと利払い費
近年の日本は、物価と賃金の好循環に向けた動きと企業の稼ぐ力向上などの取り組みが進むなか、利上げ局面に移行しています。今後は、企業業績の拡大による税収増が期待される一方、国債依存度の高さに加え、金利上昇に伴なう利払い費の膨張が課題となり、成長による税収の伸びが財政負担の増加を吸収できるかが重要なポイントになると見られます。

こうしたなか、高市首相は国債発行を40兆円程度に抑えるとの方針を示しており、片山財務相も財政政策について「力強い成長と財政の持続可能性を同時に実現する」と述べています。財政運営への評価は市場の反応として長期金利にも反映されることから、今後の成長と財政の動向が注目されます。

【図表】[左図]【2026年度政府予算】、[右図]【家計(1ヵ月分)に例えた場合】
  • 上記は2026年度政府予算をシンプルに解説することを目的としたものです。