経常利益は過去最高、「稼ぐ力」の改善も続く
財務省が9月1日に公表した法人企業統計によると、2025年度の日本企業(本稿では金融・保険業を除く全産業)の経常利益、すなわち通常の事業活動から得た利益は約125兆円と、過去最高を更新しました。注目されるのは、経常利益を売上高で割った経常利益率も改善が続いている点です(図【A】)。売上高に対してより多くの利益を確保できるようになっており、企業の「稼ぐ力」が高まっていることがうかがえます。
より前向きな要因が支える「稼ぐ力」
売上高と経常利益の関係は、以下の式で表せます。
この両辺を売上高で割ると、経常利益率は、変動費率(変動費÷売上高、以下同様)、固定費率、営業外収益率の3要因に分解できます。2005年度以降は、変動費率の低下と営業外収益率の上昇が、経常利益率の改善に大きく寄与してきました(図【B】)。このうち2020年代初めまでは、生産効率の改善や原材料費などのコスト削減(変動費)、海外展開による子会社からの配当金増加(営業外収益)など、国内の低成長が懸念される中で進めてきた地道な企業努力が実を結んだ側面がありました。
一方、2023年度から2025年度にかけては、変動費率の一段の低下による寄与が顕著となっています。背景には、値上げの浸透に加え、AI(人工知能)・半導体関連需要の拡大に伴なう製品・サービスの高付加価値化などがあるとみられ、「稼ぐ力」を押し上げる要因がより前向きなものになっていると評価できます。
設備投資の積極化が今後の焦点に
ここで、企業が生み出した付加価値の分配に目を向けると(図【C】)、付加価値に対する配当金の比率は引き続き上昇傾向にあり、株主還元を重視する姿勢は、企業に着実に浸透しています。
他方で、付加価値に対する設備投資の比率は依然として横ばい圏にあり、企業の成長投資に対する姿勢には、なお慎重さが残ります。もっとも、設備投資を巡っては、経済界が6月末、2040年度の国内民間設備投資の目標額を200兆円から250兆円へ引き上げ、政府もこれを新たな官民目標に位置づけるなど、官民の動きが活発化しています。こうした機運が実際の設備投資に結びつき、企業の「稼ぐ力」をさらに押し上げるかが、今後の焦点になりそうです。
- 財務省などの信頼できると判断した情報をもとにアモーヴァ・アセットマネジメントが作成
- 上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。