26年は僅かながら上方修正、27年は据え置き
IMF(国際通貨基金)は10月13日に発表した最新の世界経済見通しで、2026年のGDP成長率を0.1ポイント上方修正し、3.1%としました。一方、27年については、3.4%へ伸びが高まるとの従来の見方を維持しました。この背景として、中東での紛争が続いているものの、原油在庫の取り崩しや調達先の多角化などが進んだほか、AI(人工知能)関連の旺盛な設備投資が経済活動に弾みを与えていることを挙げました。
また、世界のインフレ率については、25年の4.1%から、26年には主にエネルギーや食料の価格上昇を反映して4.7%へ加速するとの見通しを維持しました。続く27年については、0.2ポイント上方修正したものの、4.1%に鈍化するとしました。
なお、ホルムズ海峡の航行が紛争前の状態に戻る時期について、前回見通しでは27年3月と想定していましたが、今回は同年10月としています。
AI投資やエネルギー問題への対応の違いなどにより、成長は二極化
IMFは、AI投資の効果やエネルギー問題への対応には国・地域によって差があるとして、成長の二極化を指摘しています。例えば、世界全体の成長の95%を32の国・地域が担っているとしています。また、約47%の国・地域について、見通しを下方修正したとしています。
26年の成長率見通しを見ると、AI投資による押し上げ効果が大きいと考えられる先進国については今回、0.4ポイントの上方修正となりました。一方、新興国については、紛争からの直接的な影響が大きい中東・北アフリカ地域での大幅な引き下げなどが響き、0.1ポイントの下方修正となっています。
なお、米国の26年の見通しは据え置かれました。同国ではAI投資が極めて旺盛な一方、関連分野で輸入依存度が高いことなどが、据え置きの背景にある模様です。
見通しに対するリスクは依然、下振れ方向に傾く
IMFは、見通しを巡るリスクが下振れ方向に傾いているとしています。中東での紛争が長期化・激化すれば、エネルギー価格が高止まりし、インフレ圧力の再燃や財政収支・対外収支の悪化などにつながり、成長の重しとなる可能性があるとしています。また、AI関連の収益性・生産性についての見通しが引き下げられるような場合、投資が縮小し、株価調整や金融環境の引き締まりにつながるおそれがあるとしています。
一方、上振れリスクとして、AI関連投資が想定以上に長期化する可能性や、生産性向上がより早く実現する可能性、新たな貿易枠組みによって通商環境の予見性および供給網の強靭性が高まる可能性、燃料価格の上昇がエネルギー安全保障への投資を加速させる可能性を挙げています。
- 上記は過去のものおよび予測であり、将来を約束するものではありません。