1兆米ドル超えが見込まれる年末商戦
米国では11月に入ると、ホリデーシーズンと呼ばれる年末商戦が本格化します。NRF(全米小売業協会)は、2026年11~12月の小売売上高を、前年比4.2%増の1兆米ドル強と予想しています。この期間の小売売上高(左グラフ)は、これまで長期的に増加基調をたどっており、今年は、最高額の更新に加え、初めて1兆米ドルを上回るかが、注目されます。

消費者は慎重ながら、拡大が見込まれる年末消費
NRF会長は、消費者は家計に気を配りながらも、年末のホリデーシーズンの支出を(他の用途の支出より)優先するとの見解を示したほか、小売各社が、魅力的な商品やお買い得感のある価格設定など、幅広い選択肢を揃え、様々な予算に応じた需要に備えているとも、話しています。こうしたことから、家計への負担を踏まえて、購入する商品や価格を慎重に選びながらも、年末の買い物を控えるのではなく、楽しもうとする消費者の姿が想像されます。

一方で、消費を取り巻く環境には不透明感も残ります。NRFは、食品やガソリンの価格上昇が、主に低所得者層の購買意欲の減退につながる可能性を指摘しています。また、根強いインフレや金利の高止まりなどを背景に、小売各社が働き手の採用に慎重な姿勢を維持する中、季節労働者の採用は32.5~37.5万人と、前年の35.6万人(推計)と同程度にとどまる見込みです。

米景気を下支えしてきた底堅い消費と雇用
しかし、10月28日のFOMC(連邦公開市場委員会)後の記者会見において、ウォーシュFRB(連邦準備制度理事会)議長は、米国の足元の状況について、経済活動は力強いペースで拡大し、消費は底堅く推移しているとの認識を示しました。また、雇用の増加が労働力人口の増加に追いついており、失業率はほとんど変化していないと説明しました。こうした消費や雇用を取り巻く環境は、これから本格化する年末商戦を支える要因になるとみられます。

個人消費がGDPの7割弱を占める米国では、年末商戦の動向は、景気の先行きを見通すうえでも重要です。年末商戦がNRFの予想通り堅調な結果となれば、家計を取り巻く環境に不透明感が残る中でも、年明け以降の米国景気の先行きにとって明るい材料となりそうです。

【図表】[左図]米国の年末商戦時(11~12月)の小売売上高の推移(2010年~2026年(予想))、[右図]米国の小売売上高と失業率の推移(2015年1月~2026年9月、月次)
  • 上記は過去のものおよび予想であり、将来の運用成果等を約束するものではありません。